■キーワード7 『光』
バトン回答、および記録
■キーワード7 『光』
「光にありたい。そう思うのは至極当然だな。だがお前は気付かなかった、否、気付かないフリか? 強い光を求めるあまり、いつしか暗い暗い影になった事に。そんなにも光を望むから、こうやって白昼、姿態に刃物を突きたててやったのだ。血を散らせるたびに、どうしてこうされるのか余す事無く感じられるように囁いた。お前が影に落ちた漆黒の薔薇であったと気付くように。大きく手を振り上げる度に、その体が形を成さなくなり、次第に真紅の薔薇が出来上がる。完成した時、皆その姿を見て感動し、余りの美しさに涙ぐんでいたな。光の中で咲き誇る薔薇の意識は、闇の中だがね」
光に在りたい。生きていれば当然の選択。
だが極度に求め過ぎれば、誰かを踏み台にし、蹴落とし、登り詰めるしか方法はない。
光の頂点に立ちし者ほど、暗い場所にいる。
その恨みを背負った者が、今、やっとその闇に気付きながら逝った。
まあ、光に居たいと言うから、世間に騒がれ、脚光が浴びせられる死なら本望だろう。
とりあえず何事も程々にしないとこうなるが、思慮に欠ける者が多い。
私も殺り方はその時の依頼者に合わせて、程々にわきまえている。
問題は何もなく、今日も私の依頼主は量産されている。
続きます。