■キーワード5 『風』
バトン回答、および記録。
■キーワード5 『風』
「希望を運んできた風にお前は乗ったつもりだろうが。けれどもそれこそが間違いだ。爽やかに感じたその風が、ゆっくりと腐臭を放ち、異臭となってお前に纏わりつく。あの日、素直に生きれば、こんな事にはならなかったのだと後悔してももう遅い。浅く浅く体に負わせた傷は、次第にお前自身を蝕み、逝きながらに早く死が訪れるよう願うお前に、私が応える義務はない」
仲間外れにされる事は辛いらしい。
そんなモノはいない私にはわからないが。
ちなみに居たとしたら共食いしそうなので、会いたいかは微妙だ。
とにかく仲間外れにならない為に、彼女は風に乗った。
だが風に乗れず、虐げられた者の気持ちが、私を呼んだ。
自分の良心が傷つかない程度に彼女は相手を傷つけて、風から落ちまいと繰り返す。
治らぬままに、同じ所を薄く傷つけて、血の止まらない状態になり、不潔に裂けて膿んでしまったようだ。
依頼主の望むのは長く長く引きずるような痛み。
だからそんな目をされても、一秒とて短く逝かせてやる気はない。
というか、そこが目か顔か、どうにも解らないほど腐ってしまっているのだが。
続きます。