■キーワード4 『鳥』
バトン回答、および記録。
■キーワード4 『鳥』
「昔語りをしようか? かつてここには美しく鳴く鳥が住んでいた。でも怖くなったのだよ、その鳥を奪われはしないかと。だから僕はそれを犯し、嬲り、従属させ、美しい鳥である事を忘れさせるために翼を折り、羽を一枚ずつ抜いて鎖につないで、籠に入れた。そして死ぬまで鳴かせてあげた。ボロボロになって鳥ともわからない何かが果てた後。君は籠の中に残されていた。その小さく白き卵を、僕はそっと温めたのだよ。あれが鳥として残した最後の旋律をまた聞く為に……ね」
そう言って昔語りをしていた男の手にあったナイフを取り上げ、そのまま刺殺する。
あっさり。男は逝った。
余りに芸も品もなかったが、依頼主がそう望んだのでそれはそれでいい。
男の前に座りつくした小鳥は、目の前に置かれた事実に目を見開き、呆然としている。
今まで信じて頼って来た者が嘘偽りで、今にも襲ってこようとしたその瞬間。
吊り糸が切れた様に、事切れたのだから。
自体が飲み込めなくとも、普通だろう。
依頼を果たしたのだから、私は即座に依頼主を喰った。
待っ……何かを言いかけたが、その時にはもうそれは私の中に納まっていた。
「まま?」
見えるはずのない私が、幼いから見えたかもしれない。
小鳥は小さく、確かに美しく鳴いた。
今日見た全てがトラウマとやらになろうがなるまいが、私には関係のない話だ。
続きます。