エピソード1「いつもの出来事」
あらすじ
地元でも優秀な学校、海波学園に通う小馬谷詩緒は三時間目にある原瑞夜美の授業を受ける。しかし、その授業は……
──この学園は普通だった。
確かに偏差値は高いが、青春も出来る楽しい学園だった。
その為、学園に争いが増えるなんて全く思っていなかった。
そうその時はだが──。
〜二時間目終了後〜
〜海波学園 1ーBにて〜
〜主人公視点〜
「ふう、次の授業はなんだったかな。」
此処は海波学園。偏差値50〜65(高校)の地元の中でも優秀な小中高一貫の学園。
私?私は小馬谷詩緒。ごく普通の海波の中学1年。実は海波には小学校もあるのだが私は海波には行っていない。その為、中学から入学して来た事になる。
そんな私はあまり目立たず、まあ普通に過ごしている訳だが…
そんな私でも気になる事がある。
私達の国語を担当している原瑞先生だ。
この先生は本名を原瑞夜美と言った。原瑞先生は授業は悪くない、という言い方はおかしいが、上手で物言いも一見すると優しいと言う先生だ。
此処まで聞くと悪くない先生に見えるが原瑞先生は違う。
それは“他の先生よりも作文などの面倒な課題が多い”事だ。
大前提にこれは授業の聞いていない人だけが言っている訳ではない。真面目な人も言っているのが特徴だ。
まず国語の授業では一学期に一回作文があると別の副担任でもう一人の国語に関係ある、下藤先生が言っていた。
その為、最初に原瑞先生に作文をやると言われてた時は違和感が無かった。が、しかし。
作文を書くのは1週間に一回と段々やる回数が増えていった。
作文を書くのはそれなりの労力がいる。だから最初は原瑞先生に何も言ってこなかった生徒も段々と愚痴を言うようになった。
「……えっと今が二時間目終わって、次が…」
その時、私は時間割表を見て少しショックを受けた。原瑞先生の授業だったからだ。
「はあ〜!?国語〜!?多すぎね!?」
私がショックを受けている時に丁度クラスメイトも驚いていた。まあ、最も国語が毎日あるのは珍しい事じゃないが。
「誰担当だったっけ?」「原瑞。」「えっ、ダル…寝ようかな。」
それぞれのクラスメイトのため息混じりの声が聞こえる。
だがこのクラスメイトだって問題児に等しい。
他の先生の授業でも授業は全く聞かずに遊んでいるし、先生に注意されたらすぐに反抗する上、生徒が注意しても聞かない時すらある。後、良く寝る。
だから寝るという選択は平常点を下げられるだけだから私はするべきでは無いと感じた。
「はあ…国語の用意するか。」
そう言ったが、本当は私も心の中では「作文だるいな」と思っていたのだった。
そして数十分後、国語の授業が始まる時になる。しかし、誰も座ろうとはしない。
「ちょっと!皆、座ろうよ!」
声を上げたのは私が唯一まともに話せる生徒、白銀理羽ちゃんだ。
理羽ちゃんは1ーBでの常識人で優等生。皆からも頼られており、信頼は厚い。そんな彼女は先生の事も考えている。
「(理羽ちゃん…流石だな。皆に言えるなんて。)」
「……ちっ。まあ、理羽が言っているなら仕方がないか。」
理羽ちゃんの言葉だとどんなクラスメイトもすぐに座る。私はそんな理羽ちゃんを尊敬している。
と、そんな内に原瑞先生が来た。
「──皆さんこんにちは。授業を始めます。」
「(シーン…………)」
驚く程に静か。前の騒がしさはどうしたのだろうか。それとも単に叱られたら面倒だから黙っているだけか。
「お、お願いしますー。」
私と理羽ちゃんや、真面目な人は辛うじて挨拶をしたが、他の人は誰も「お願いします」とも言わなかった。
「さて、前回は『恐れること』という文章を読みましたね?」
『恐れること』とは物語文で主人公のU川A子と転校生のY宮B美、そしていじめっ子のC野C花、D原D郎、E園E太が登場する。
あらすじとしてはA子はつまらない毎日を送っていた。が、ある時に転校生のB美が来た。しかし、転校生と関わっていく内にいじめっ子三人衆に関わっている事に気付いてしまい…というものである。
この文はクラスメイトにはあまり興味が無さそうだったが私は面白かったと感じている。
飄々としているA子と臆病なB美は一見すると相性が悪いが優しさもあるA子がB美に話してかつての過去を聞くシーンは正直教科書に乗るのも納得のレベルだった。
「今回は最初にもう一度改めて黙読した後──」
「作文を書いてもらいます。」
私は心の中で呆れるも「やっぱりな」と思っていた。
「はあ!?」「また!?」「何回やるの?これ」「何の時間なのマジで。」
クラスメイト達のブーイングが教室内に聞こえて来る。しかし、原瑞先生は気にしない…どころかさらに語気を強めた。
「貴方達、作文も大事な教育であり国語の内容です。それを馬鹿にするかのような言い方は辞めてください。真面目にやっている人に失礼です。」
私は「確かに理羽ちゃんは真面目にやっているよね」と感じた。
しかしクラスメイトは全く聞かなかった。
「あのさあ……私達は馬鹿にしているんじゃ無くて多さを疑問視しているだけなんだけど…?」
「そうそう!下藤先生も作文は一学期に一回程度って言ってたしね!それを破るとか先生どうなの?」
なんでこの人達は下藤先生とA組の担任の話はよく聞くのだろうか。
「下藤先生は正確に言うとこの学年の国語担当ではありません。そしてわたしへ下藤先生は“先生の好きなようにやって下さい”と言っていますからね。」
「皮肉な事に貴方達が信頼している下藤先生はわたしの事の方が信頼しているようですね?」
確かに下藤先生は正確に言うと私達の“サポーター”であり、“国語担当”とは一言を言っていなかった気がする。
しかし、最後の言い方は何だ違和感がある。通じていると思ったら絶妙に通じていないような……
当然この言葉はクラスメイトにとっては求めていた答えじゃなかった。
「違うじゃん!!なんで話が通じないの!?私達はどうにかして作文を減らしてもらいたいの!言い方が悪かったね、はいはい!」
まるで悪くなさそうな言い方をするのはクラスメイトの加茂川さんだ。
加茂川さんはこのクラスのリーダー的な存在でとても明るいのが特徴だ。言い方も非常にはっきりしており、気に入らない相手にはどんな年差でも強く言う。
一方で授業は一部の時以外聞いていない。
「そうだよ!私達は国語が受けたいのであって作文の授業を受けたい訳じゃないの!それは理解出来るでしょ!?」
そして加茂川さんに続いたのが坂井さんだ。坂井さんもまたクラスのリーダーに等しい存在である。
「そうですよ!先生!」「理解して下さいよ!」「優等生の人もこれは厳しいですよ!」
さらにクラスメイトの声が上がる。
だが残念ながら原瑞先生には響かない。それどころか説得力なしのくだらない言葉だと思われてそうだった。
「──説得力なし。加茂川さんや坂井さんに言われても誰も納得しませんよ?」
原瑞先生は冷たく言った。だが流石の私も原瑞先生の言葉は少し疑問に残った。
「(…でも結構な人が声を上げていた気がするしなあ…理羽ちゃんは苦笑いしていたけど。)」
「(原瑞先生にとっては授業を聞かない人はいないも同然、なのかな。まあそんな酷い対応は無いかもだけど。)」
「だってあの人達は反抗が多いけど生徒だから」と心の中で私は付け足した。
もう気付くと10分経っていた。
「……はあ。皆さんのせいで10分を過ぎてしまいました。」
「取り敢えず、作文を今からすぐに書いて下さい。あ、白銀さんはもう始めていますね。流石ですね。」
私は原瑞先生が理羽ちゃんに対してまだ始めないで下さいなんて言うと思っていたからこの反応は良いものだった。
やっぱり原瑞先生だって教師。生徒に理不尽に厳しい事は出来ないんだよ。
「皆さんも白銀さんを見習って下さいね?」
その言葉は原瑞先生の説得力なし発言に反応している生徒には誰にも聞こえていないようだった。
「(…私も早めに書こうっと。)」
そうして私も作文を書き始めたのだが、クラスメイトの声で集中が何度も消え、結局は下書きしか出来なかった事を書いておく。まあ、私の集中力も無いが。
そして散々な態度ながらもクラスメイト達が授業を全て受け終わり、放課後にて。
「ねえ、ぶっちゃけ網元ってさどう思う?」
「え、めっちゃうざくない?」
「(誰か話している…?)」
私は放課後でクラスメイトが話しているのを見かける。恐らく後ろ姿的に坂井さんと加茂川さんだろうか。
「だってさあの人、担任だよ?私達の。それなのに優柔不断過ぎるしさあ…」
「!?」
私は心の中でショックを受けた。
網元先生は私達、1-Bの担任で社会を担当している。私は尊敬しているが、何故かクラスメイトの7割はあまり興味が無いらしい。
前述の通り、私は網元先生を尊敬している。だからこそクラスメイト二人が悪口を言ったのが嫌だったのだ。
「いや、めっちゃ分かる!しかも何故か指示する事がよく分からんのに分からないと言ったら話を聞いていないだけと言われてるし…」
「理不尽だよね!原瑞先生があんな風になったのもやっぱり網元の影響じゃない?」
「(何を言っているの!?あの人達は!)」
私は二人の考えに納得出来ない。確かに近くの人によってその人の性格は影響されるという話は聞いた事がある。が網元先生のせいで原瑞先生が変わったというのはお門違いすぎる。一体、この人達は何を見ているのだろうか。
「………はあ。」
すると二人の近くに網元先生が近づいて行くのが見えた。当たり前だが網元先生は呆れていそうだった。
「…っ!やば!網元が来る!此処から去ろう!」
「そ、そうだね!」
そうして二人は網元先生が来る前に去ってしまった。
「(あの人達…次、先生の前で直接言おうものならきっと指導が待っているだろうな。)」
私はただそう思いながら家に帰った。
〜網元視点〜
「……はあ。なんであの人達に言われないといけないのだろう。」
職員室に帰った自分、網元はそう考えていた。あの人達…1-Bの生徒は自分にとっては問題児に等しい。授業は聞かない、注意したら反抗する、それなのにクラス同士の仲は良い。だからこそ自分も注意しずらかった。
「(なんであのクラスは全く授業を聞いたりしないのだろう…そんな人に自分がボロクソに言われてる権利は無い筈なのに…)」
無論、誰も聞いていない訳ではない。例えば、白銀さんなどはとても真面目に授業を聞いている。
…白銀さん達みたいな人が増えれば自分や他の先生も苦労しないだろうが、そう上手くはいかない。
「………まあいいか。取り敢えず、仕事を終わらせて帰ろう。」
そう言った自分は仕事にすぐに取り掛かり、最終下校までに帰ったのだった──。
皆さんこんにちは。小山シホです。さて今回、新しい小説を書きました!
この小説は半フィクションでして、一部は本当にあった出来事、もう一部は出来事を付け足したものとなっています。私も新しい小説の書き方なので上手くかけているかは分かりませんが、楽しんで書きたいと思います!
次回予告
翌日、網元の授業が始まる。が、しかし皆はやる気もなくただボーッとしているだけで──?




