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ウザい先輩と可愛げのない後輩  作者: 黒姫 百合


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ホントに子供なんだから……

「お腹ペコペコだし、ここでも良いよー」

「そうですね。わざわざ今更中庭に行くのは面倒ですし、私もここで良いですよ」

「それにしても滅多に裏庭に来ないからなんか新鮮だよねー」

「ここは薄暗いですし、それに中庭や屋上の方が人気ですから」


 清美も麗奈も異論はないらしく、ここで紗那たちが食べることに決定してしまった。


「ということで、隣失礼するよ」

「あっちへ行ってくださいって言ったのに聞こえていなかったんですか」


 紗那の自己中心っぷりに真希は非難的な視線を送る。


 さきほど『あっちへ行ってください』と言ったのに忘れているのだろうか、この馬鹿な先輩は。


「だってここは北野後輩の私物じゃないだろ。それにここは学校の公共施設だ。北野後輩に命令される言われはない」

「……」


 いつもはウザくて馴れ馴れしい紗那がこの時だけ怖い口調だった。


 それに紗那の言っていることは正論である。


 ここは真希の私物でもなければ、学校の公共施設である。


 正論を諭された真希はなにも言い返すことができなかった。


「ちょっと、喧嘩っ。どうしたの、紗那。あんなに北野のことばかりはな――」

「ちょ、なにを言ってるんだ清美は。黙れ。それは言うな」


 驚いた表情で清美がなにかを言おうとした時、焦った紗那がそれを遮る。

 怖い口調の紗那も初めて見たが、焦った紗那も初めて見た。


「えぇー別に良いじゃん。さっきの怖い顔も北野にきょ――」

「あーあー、清美、マジで黙れ。それも言うなー」


 清美がまたなにか言おうとするとそれを真希に聞かせたくないのか、大きな声で妨害する。


 一体清美はなんて言おうとしたのだろうか。

 紗那が妨害するせいで、真希は聞き取ることができなかった。


「ホントに子供なんだから……」


 三年生三人の中で一番真面目で大人な麗奈が二人の言い争いを見て、呆れている。

 高校一年生の真希が高校三年生の紗那たちに思ってはいけないことかもしれないが、確かに子供っぽいと思う。


「……もー、紗那も素直じゃないんだから。あんなにむんつけてー。北野にあっちへ行ってくださいと言われて寂しかったんでしょ」

「……あーうっさい。もうその話はおしまい。これだけは言っておくが別に拒絶されて寂しかったわけじゃないからな」

「……はいはい。……ホント変なところで素直じゃないんだから」


 あの二人はまだ小声で言い争っているらしい。


 声が小さくてなにを話しているか聞き取れないが、表情を見る限り紗那が顔を赤く染めて怒っているようで清美がヤレヤレと言ったような表情を浮かべている。


「せっかく裏庭まで来たのでこれ以上移動をすると昼休みが短くなるので、ご一緒に昼食を取れれば良いのですが北野さんが嫌なら私たちは移動しますがどうしますか?」


 きっと麗奈は真希に気を使って言ってくれているのだろうが、先輩にこんなこと言われ『あっちに行ってください』と言える後輩がいるだろうか。いや、いない。


「ここは学校の公共施設なのでご自由にしてください」

「分かりました。では失礼しますね。紗那、北野さんが紗那の言葉で傷つていますのでなんとかしてください」


 別に紗那への皮肉とか嫌味とかなかったのだが、言った言葉がマズかったらしく嫌味っぽくなってしまった。


 麗奈は若干申し訳なさそうな表情を浮かべ、紗那の言葉を引きずっていると勘違いしたらしく紗那を責め立てる。


「ほらほらー後輩イジメちゃダメでしょ紗那ー」


 それに乗じて清美も紗那をからかう。

 清美はとても楽しそうな表情をしている。


「……確かに少し言い過ぎたようだ。すまない北野後輩」


 二人に責められからかわれた紗那は、申し訳なさそうに謝罪する。


 ションボリしている紗那の姿も新鮮だった。


「別に気にしてませんので大丈夫ですよ。……私こそ言い過ぎてごめんなさい」


 むしろ言い過ぎてしまったのは真希の方だ。

 真希も自分が悪いことを自覚したうえで紗那に謝罪する。


「まっ、とにかくこんなことしている間にも昼休みは終わっちゃうから早くご飯食べようよー」

「たまにはまともなことを言うんですね、清美」

「たまには失礼だな。あたしはいつも真面目ですー」

「……よくそんなに自信満々に言えますね……」


 麗奈が珍しくまともなことを言う清美を煽ると、すぐさま清美が噛みついてくる。


 そんな清美に呆れているのか麗奈は頭を抱えていた。


 こうして真希の静かな一人の時間は崩壊し、四人で昼食を取ることになった。

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