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ウザい先輩と可愛げのない後輩  作者: 黒姫 百合


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だから陽子のことが好きなんでしょ

 次の日。


 昨日先輩たちに言われた通り、愛理と話し合う機会を伺うも愛理はもともと友達が多く一人になる場面がなかった。


 陽子もずっと愛理といるので、なおさら話しかけづらい。

 そんなことをしているうちに放課後になってしまった。


「職員室に用があるから少し時間かかるかも」

「了解。それじゃー昇降口で待ってるから」

「うん」


 職員室に用があるらしく、陽子は一人で職員室に向かった。

 他の愛理の友達も部活や塾とかあるらしく、みんな教室から出て行った。


 一人になる愛理。


 真希が一日中待ちわびていたチャンスがやっと巡って来た。


 このチャンスを逃せば今日はもうない。それに明日以降あるのかも分からない。


 話し合うなら今しかない。


「桐島。ちょっと良いか」

「はぁ、別に良くないんだけど」


 真希が愛理に話しかけると案の定というか、愛理は敵意むき出しで真希のことを睨んできた。

 だから嫌なのだが、このまま避けていてもなにも解決しないと自分を鼓舞して真希は話を進める。


「牧野のことだ」

「……っ……」


 愛理が真希の話を聞かないで拒絶するのは想定内だ。


 でも陽子の話だったらまた別だ。


 予想通りというか、陽子の話題を振ったらすぐに食いついてくれた。


「牧野のことで話がしたいから少し時間がほしい」

「……分かったわ。でもここだと人が多いから移動するわよ」


 真希の作戦は見事に成功し、愛理を教室から連れ出すことに成功した。

 いくら友達がいない真希でもこの話は誰もいないところでした方が良いくらい分かる。


 だから愛理から人気のないところに移動したのは、真希からしても好都合だった。


 この時間帯で人が少ない場所と言えば屋上と裏庭しかないが、上靴の履き替えが面倒だったということもあり真希は屋上に連れていかれる。


「それで陽子の話ってなに? 返事次第じゃタダでは返さないわよ」


 屋上に出ると、愛理は真希を睨みつけながら話し始める。

 屋上は真希と愛理の貸し切りで、グランドからは運動部の掛け声や吹奏楽部のチューニングの音が聞こえている。


「お前、牧野のことが好きだろ」

「……」


 あれ、おかしいな。

 愛理が固まっている。


 一瞬時が止まってしまったのかと突拍子もないことを考えたが、運動部の掛け声や吹奏楽部のチューニングの音は鳴り響いているので、時は正常に動いている。

 話す順番でも間違えてしまっただろうか。


「……」


 それに気のせいかもしれないが、愛理の頬がどんどん赤く染まっていくような気がする。


 夕焼けのせいでそう見えるだけだろうか。


「……なのね」

「?悪い、声が小さくて聞き取れなかった」

「あんたも陽子のことが好きなのねって聞いたのよっ」

「はっ」


 最初の愛理の声は周りの雑音のせいでかき消されてしまい聞こえなかったので聞き返したら、今度は大声で言って来た。


 言っている意味が分からなかった真希は、素で驚く。

 どうして真希が陽子のことを好きになっているのだろうか。全然分からない。


「どうして私が陽子のことを好きになってるんだ」

「だっていつも教室で話してるじゃない。それに北野って陽子以外のクラスメイトと話さないじゃない。だから陽子のことが好きなんでしょ」


 鈍感な真希も少しずつ紗那たちが言っていたことや、愛理の勘違いが分かって来たかもしれない。


 まず愛理は真希が陽子のことを好きだと勘違いしている。


 そして、紗那の予想通り愛理は陽子のことが好きである。


 つまり、真希は愛理にとって恋敵になっていたのだ。もちろん、愛理の誤解だけど。


 そう考えると、今までのことにも辻褄が合う。


「いや、私は牧野のことは好きじゃないぞ。勘違いだ」

「えっ……」


 真希は愛理の誤解を解くと、愛理は素っ頓狂な表情を浮かべる。

 その表情はこんな笑ってはいけない場面でなかったら笑ってしまうほど傑作だった。


「……そう……良かった」


 真希が陽子のことが好きではないということが分かった愛理は安堵の表情を浮かべる。


 誤解が溶けてなによりだ。

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