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ウザい先輩と可愛げのない後輩  作者: 黒姫 百合


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す、すみません。笑ってしまって

 何分経っただろう。


 涙が出なくなるまで泣いた真希は少しずつ冷静さを取り戻り、紗那から離れる。


「すみません鈴木先輩」

「別に謝ることはないさ。あたしはなにも嫌なことはされていないからね」

「いや、だって、鈴木先輩に抱き着いて泣きましたし、制服も汚しちゃいましたし」


 真希は紗那に謝罪するものの、なぜ謝罪されているのか全く分からない紗那は首を傾げている。


 具体的に本人に直接言うのは恥ずかしいが、伝わっていないようなので恥ずかしさを我慢して伝えた。


「抱き着いたのはあたしからだし、別にこんなの汚れのうちに入らないだろう」

 紗那は真希が抱き着いたことや制服を涙や鼻水で汚されたことを気にしていなかった。

「でもさすがに制服は悪いです。クリーニング代ぐらい出します」


 紗那は気にしていないとはいえ、さすがに自分の制服を他人の涙や鼻水で汚されたら気分が悪いだろう。


「大丈夫だ。こんなものティッシュで取れる」


 しかし紗那は本当に気にしていないらしく、ポケットティッシュを取り出して拭き取っていく。


「紗那から抱き着いたから別に大丈夫だよ北野」

「そうですね。紗那も別に問題ないと言っているので気にしなくても大丈夫だと思いますよ北野さん」


 後ろから二人の成り行きを見守っていた二人が真希たちの方にやって来る。


 二人にも気にしなくても良いと言われ、紗那自身にも気にしていないと言われたら真希が引き下がるしかない。


 これ以上なにか言っても真希の我がままでしかない。


「少しはスッキリしたかな?北野後輩」

「はい……少し楽になりました」

「それは良かった」


 泣くとストレスが緩和したりスッキリすると言われているが、それはあながち間違いではないらしい。

 泣いて少しスッキリした真希を見て紗那はまるで自分のことのように喜んでいた。


「でもみっともない姿を見せてしまって恥ずかしいです」


 泣いてスッキリしたのは事実だが、人に泣き顔を見られるのは結構恥ずかしい。

 しかも今回は先輩女性、三人の前で号泣してしまった。


 顔から火が出るほど恥ずかしい。


「どこがだ。別にみっともなくはないさ。悲しかったり辛かった時に泣く。なにもおかしくはないだろ。それに嬉しい時にだって人は泣くしな」

「そうそう。あたしもやっぱり泣いちゃうことはあるし、全然みっともなくないよ」

「私も玉ねぎを切る時はよく泣きます」

「「……それは違くないか麗奈」」

「あっ、すみません。確かに違いますね」

「あはは。黒木先輩もそんなこと言うんですね」


 三人とも人前で泣きじゃくった真希をみっともないとは思っていなかった。


 むしろ、そんな真希を肯定してくれた。


 麗奈も慰めてくれようとした事は伝わってきたが、少し的外れで紗那と清美にツッコまれてしまう。


 麗奈も気づいたらしく、少しだけ恥ずかしそうに顔を赤く染める。

 いつもは真面目な麗奈がそんなことを言ったので思わず真希は笑ってしまった。


「す、すみません。笑ってしまって」


 さすがに先輩を笑うのは失礼だと思い真希は謝罪する。


「別にかまいませんよ。自分でも馬鹿なことを言った自覚はありますので」

「いやもっと笑っていいよ。散々あたし麗奈に馬鹿にされるし。こういう時ぐらいしか馬鹿にできないし。なに言ってるの~麗奈~。馬鹿じゃな~い」

「清美。次からは一人でテスト勉強頑張ってくださいね。赤点にならないことをお祈りしています」

「すみませんでしたー、麗奈様ー」


 麗奈は真希に笑われたことを気にしておらず、むしろ自分が馬鹿なことを言ったことを反省していた。


 いつも麗奈に馬鹿にされている清美は一矢報いようとするものの、麗奈に笑顔で脅されすぐさま自分が言った言葉を取り下げ土下座した。


 目が笑っていなかったら余計に麗奈の笑顔は怖い。


 やはり清美は馬鹿だった。


「北野後輩も落ち着いたことだし、どっかファミレスにでも行って北野後輩の話でも聞くか。もう学校も下校の時間だし」


 いつの間にか午後五時になっており、部活動していない生徒は帰らないといけない時間だ。


 紗那はみんなでファミレスに行こうと提案する。


「さんせー。早く行こうよ。ジュース飲みたい」

「清美……あんたね……。でもいつまでもここにいると先生に怒られてしまいますのでファミレスに移動しましょう。私もお腹空きました」


 紗那たちは真希の力になりたいらしく、最後まで真希に付き合ってくれるらしい。


 それがとても嬉しかった。


 本当に良い先輩を持ったものだと真希は心の中でまた涙ぐむ。


「北野後輩もそれで良いかな」

「その言い方意地悪ですね、鈴木先輩」

「別に意地悪で言ったつもりはないのだが、意地悪だったか?」

「すみません、私の早とちりだったみたいです。もちろん良いですよ」

「そっか。それじゃー四人でファミレスに行くか」


 紗那には全然意地悪な意図はなかったらしい。


 意地悪な質問と真希に言われた紗那は素で首を傾げていた。


 これには真希も早とちりしてしまったことを反省し、謝罪する。


 紗那は別に気にしていなかったらしく、このまま教室に残っていると先生に怒られるのでファミレスへと向かった。

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