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ウザい先輩と可愛げのない後輩  作者: 黒姫 百合


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……別になにも悩んではいませんよ

 放課後になりやっと真希はこのストレスから解放される。


 しかも今日は愛理がさっさと陽子を連れて教室の外に出てくれたおかげでストレス対象がいなくなり、いつもより早く安堵することができた。

 いつもなら早く教室を出て行く真希だが、今回は先に愛理たちが出て行ったので昇降口で鉢合わせになると面倒なので少し時間を置いてから教室を出ようと思いしばらくの間教室に残っていた。


「失礼する。なんだ北野後輩一人か。これは好都合だな」

「やっほー、北野。今日は放課後にも先輩が会いに来たよ~」

「失礼します。ここにいらしたのですね北野さん」


 そろそろ帰ろうかなと思っていた時、紗那たち三年生が一年生教室にやって来た。

 紗那と清美はいつも通りのテンションでうるさく、唯一麗奈だけは礼儀正しく静かに入って来た。


 真希は放課後に紗那たち三人が来たことに少なからず驚いていた。


 朝や昼は一緒に登校したりご飯を食べることはあるのだが、放課後はそれぞれ忙しいらしく集まったことが一度もなかったからだ。


 嫌な予感しかしない。


「すみません。今日は疲れてるので帰りますね」


 最近、愛理たちのせいで疲労している真希は一分でも早く家に帰って休みたかった。

 紗那たちの相手をしているほど真希は暇ではないし、元気もない。


「それはなんとなく分かっている。だからあたしたちに付き合ってほしいと頼んだんだ」


 一人帰ろうとする真希の前に紗那はわざと立ちふさがり、真希の進路を妨害する。

 早く家に帰りたいのにそれを紗那に邪魔をされ、イラっとした真希は紗那を睨む。


「邪魔なんですけど。どいてくれませんか。早く家に帰りたいんですけど」

「いや、どかない。悪いが今日はあたしたちに付き合ってもらうぞ」

「悪いならどいてください。ウザいです」


 今日の紗那は真希に睨まれてもなお、頑なにどけようとはしなかった。


 今日の紗那は頑固である。


 こんな頑固な紗那は初めて見た気がする。


 今日の真希は機嫌が悪いということもあり、真希の口調もどんどん荒くなる。


「今日は先輩女子三人と遊んでストレス発散しようぜ。ストレスばかりためてたら体に悪いよ」


 清美は馴れ馴れしく真希の肩を抱いてくる。

 わざとなのか天然なのか分からないか胸まで押し付けられている。

 制服越しからも分かるぐらい清美の胸は大きいのでその弾力や柔らかさまで直に伝わってくる。


「北野さんが困ってますよ。離れなさい」

「黒木先輩の言う通り邪魔なので離れてください」

「……はーい」


 正直言って麗奈の助け舟はとても助かった。

 真希だって高校一年生の男の娘である。


 異性の、しかも年上の女の子に肩を抱かれて胸が当たっていたらいろいろと意識してしまう。


 もしかしたらこれも清美なりに慰め方だったのかもしれないが、真希には刺激が強すぎて逆効果になってしまった。


 空回りした清美は表情が暗く、素直に真希から離れた。

 そう思うと真希も少しだけ申し訳ない気持ちになる。


「……全くいきなり抱き着かれたら北野後輩だって困るでしょ」

「……北野さんも男の娘なんですからいきなり女の子に抱き着かれたら困惑しますよ」

「……場を和ませようとしたら失敗しちゃった。っていうかあたしもこの空気重くて息苦しかったし、あたしいつもスキンシップで距離を縮めてたから、間違えちゃった」


 先輩たちがコソコソ話しているが、距離も離れていないため小声で話していてもこちらまで筒抜けである。


 二人は清美のことを責めているが、清美だって真希のために今自分にできることを精一杯やったのだ。


 そこに関しては真希も清美に感謝している。


「大丈夫ですよ沢田先輩。分かってますから」


 空回りしている清美を不憫に思った真希は清美に慰めの言葉をかける。

 今日の清美は明らかにテンションがおかしい気がする。

 清美だけではない。紗那もいつもより歯切れが悪いし麗奈は口数が少ない。


「先輩方、なにか私に隠していることありますよね」


 真希がカマをかけると三人の体が微かにビクッと反応する。


 やはり、紗那たちはなにか真希に隠していることがあるらしい。


「それは君もじゃないか北野後輩。君もなにか悩んでいるのではないか」


 紗那はあっさりと肯定し、真希のパーソナルスペースに入ってくる。


「……別になにも悩んではいませんよ」


 この悩みは真希と愛理たちの三人の問題だ。


 紗那たちには関係がない。


 しかし動揺してしまい舌足らずな返答になってしまった。

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