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ウザい先輩と可愛げのない後輩  作者: 黒姫 百合


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28/57

……それとも生理?

 それから三日間。


 陽子はもっと真希と仲良くなるために他愛無いことでも話しかけ、それを目撃した愛理が真希を睨んだり邪魔をするということが続いた。

 愛理は自分になんの恨みがあるのだろうか。ストレスである。


 そのせいで真希の心労が溜まり、今ではウザい先輩紗那よりも愛理の方が悩みの種だった。


「おはよう真希ちゃん」

「……おはよう」


 朝教室に入ると陽子に朝のあいさつをされる。


 もちろん、無視をするほど常識知らずではないためあいさつを返す。


 声が小さくなったのは、度重なる愛理の精神的なストレスのせいで疲れているせいだ。


 愛理は陽子に話しかけられる真希が気に食わないのか、朝から睨んでいる。


 ヤバい女である。


 ちなみに今朝、妙に紗那たちがソワソワしていたのは気のせいだろうか。


「愛理ちゃん、睨んじゃダメでしょ」

「別に睨んでないから」


 陽子も最近は愛理が真希のことを睨んでいることを知ったからか、しっかりと愛理に注意する。


 愛理はそれも気に食わないのかムスッとして顔をそむける。

 あれで睨んでいないなら、睨んでいる顔を見てみたいものだ。


「なんで愛理ちゃん、最近あんなに機嫌が悪いんだろう」


 最近愛理の機嫌が悪いことにストレスを感じていたのは真希だけではなかったらしい。


 陽子もまた愛理の不機嫌さを悩んでいた。


「なんで機嫌が悪いかは分からないが、牧野が私に話しかけるのが気に食わないのだろう。牧野が私と話している時結構機嫌悪いよ、桐谷って」

「確かにそうだよね……私の気のせいじゃなかったんだ……。それにしてもなんでだろうね?」

「さぁー、桐谷じゃないから知らん」


 真希だって愛理がどうしていつも機嫌が悪いのかなんて分からない。

 幼馴染の陽子ですら分からないなら真希が分かるわけないだろう。


 陽子も真希と陽子が話している時に愛理が機嫌が悪くなることには気づいていたらしい。


 なら、あまり話しかけてこないでほしい。


 今も愛理が睨んでいるせいで、ストレスで体調がおかしくなりそうだ。


「それが分かっているなら話しかけないでもらえるか。今も睨んでるから」

「うぅ~、私は真希ちゃんと話したいのに」


 真希が席に着いた後も話しかける陽子にこれ以上話しかけるなと言うものの、涙目で我がままを言われる。


 陽子はただ真希と仲良くなりたいだけらしいが、別に真希は陽子と仲良くなりたいとも思わないし陽子が話しかけてこなかったら愛理も睨んだり文句を言ってこないので陽子に話しかけられない方が真希は良い。


「陽子、来週の春祭りの話してるんだから戻ってきなさい」

「はーい。ちょっと待って」

「ちょっと待ってじゃないでしょ。陽子がいないと話が進まないんだからすぐに戻ってきなさい」

「うん、分かってるけど最近愛理ちゃん怒りすぎ。なんでそんなに怒ってるの?」


 陽子を真希に取られたくないという独占欲が強いのか愛理も最近、陽子にも厳しい言葉を投げかける。


 それには陽子もうんざりしているようで、温厚な陽子も口調が少しずつ荒くなる。

 それがショックなのか神経を逆なでするのか分からないが愛理の口調も悪くなり、言い争いに発展していく。


 これも真希の悩みの種の一つになっていた。


 はっきり言って目の前で喧嘩されるだけでもストレスである。


「別に怒ってないから」

「それを怒ってるって言ってるの。最近の愛理ちゃん本当に変だよ。怒りっぽいよ」

「だから怒ってないからっ。北野も陽子に話しかけないでちょうだい」

「別に私が話しかけてるわけじゃないから。それに牧野が誰と話していようが桐谷には関係ないだろ。過保護すぎないか」


 そして言い争いに巻き込まれるからさらにストレスが増えていく。

 ただでさえこのストレスのせいで体調が悪いのに、本格的に学校に行けなくなるほど体調が悪くなりそうだ。


 クラスメイトは三人の喧嘩の迫力に畏縮し、誰も止めに入る人はいなかった。


 触らぬ神に祟りなしという言葉があるようにそれが正解だと真希は思う。


 この喧嘩を止めようとしたクラスメイトが愛理の餌食になるのは火を見るよりも明らかだ。


「うっさい。余計なお世話よ。行くわよ陽子」

「いたっ、最近愛理ちゃん乱暴すぎだよ」

「……ごめん。……痛かったよね」


 陽子を真希から引きはがそうとした愛理は無理矢理陽子の手を握り、自分たちのグループに戻ろうとする。


 しかしあまりにも強い力で握られ引っ張られたせいか、陽子は苦悶の表情を浮かべ愛理を叱る。


 そこでやっと冷静さを取り戻した愛理は、強い力で握られたせいで赤くなっている陽子の腕を見て反省し、陽子を労わる。


「なんでそんなにピリピリしてるの? 私と真希ちゃんが話しているのが嫌なの?」

「べ、別にそういうわけじゃないけど……」

「……それとも生理?」

「それは違うから大丈夫。それにそんなことで陽子に八つ当たりしないから。もう大丈夫だから春祭りの話し合いの続きしよっ」

「……うん」


 入学当初は仲が良かった幼馴染たちも今はどこか亀裂が入り、空中分解しそうなぐらい脆くて儚く見える。


 愛理は陽子と真希が話しているのが気に食わないと言っていたが嘘だろう。


 なぜなら愛理の機嫌が悪くなるのはいつも陽子と真希が話している時だからだ。


 陽子もそれに気づていないわけではないだろう。


 陽子は愛理と幼馴染だ。


 真希が気づいているなら陽子だって気づいているはずだ。


 でもそれを指摘しないのは、愛理が頑なにそれを否定しているからだ。


 陽子は愛理の『大丈夫』には納得していないが、これ以上愛理と言い争いをしたくないのか渋々自分たちのグループに戻っていった。


 これがここ三日で起きている真希の出来事だ。

 正直言って、これなら紗那たち三人と話している方がまだマシである。


「……はぁ~」


 今日も真希のストレスは溜まる一方だった。

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