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ウザい先輩と可愛げのない後輩  作者: 黒姫 百合


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23/57

だから次は私がそうなりたいなって思ったんだ

「なんか北野さん少し変わったよね。入学当初は刺々しかったのに今は少し柔らかくなった気がする」

「そうか?変わってないと思うよ。それにまだ入学して二週間ぐらいしか経ってないだろ? それは牧野の気のせいだ」

「ううん、だって入学当初はもっと私に冷たかかったよ。でも最近少しずつ私とも話しもしてくれるし。少しずつだけど北野さんは変わったよ」


 陽子は真希が少し雰囲気が柔らかくなったと熱弁しているが、まだ真希たちが高校に入学してから二週間程度して経っていない。


 そんな短時間で人の性格は変わるだろうか。いや、変わらないだろう。


 だがいくら真希が否定しても陽子が意見を変えることはなかった。


 これ以上、こんなことで言い合っていても時間の無駄なので真希が折れることにした。


「っていうかなんで牧野は私に話しかけるんだ。牧野が言ったように刺々しくて冷たい私と話すよりも優しい桐谷と話している方が楽しいだろ? 自分で言うのもあれだがもし私が牧野だったらこんな奴と仲良くなりたいと思うどころか話したくもないけど」


 仮に真希と陽子、どっちと友達になりたいかというアンケートを取ったら間違いなく陽子の圧勝だろう。


 真希と比べ陽子は優しいし、コミュニケーション力もあり可愛いくて社交的だ。

 それに比べて真希は愛想はないし、ひねくれているし忖度もしない。

 自分で言って悲しいが真希と友達になるメリットがない。


 なんのメリットもないのに、真希に話しかける陽子の考えが分からなかった。


「なんで私が北野さんに話しかける理由を話す前に一度謝らせてください。ごめんなさい」

「いや、いきなり謝られても困るんだが。それに牧野に謝られる理由がない」


 なにについて謝罪されているのか分からない謝罪ほど迷惑な謝罪はない。


 そもそも真希は陽子に謝罪されるようなことをされた覚えはない。


 だから陽子の謝罪を素直に受け取ることができなかった。


「えっ……あっ……そうだよね。いきなり謝られても困るよね」


 陽子も先走りすぎたことに気づいたらしく、恥ずかしそうに俯いている。

 その数秒後、顔を上げた陽子はなぜ真希に謝罪し、懲りずに真希に話しかける理由は話し始めた。


「私、北野さんが一人でいるのを見て寂しいと勘違いしていた。だから私が仲良くなって友達になろうとしたんだ」

「凄い大きなお世話でお節介だな」

「うん、自覚した。私が北野さんに失礼なことをしてたということも気づけた。一人が好きなのに一人でいることを勝手に寂しいと決めつけて本当にごめんなさい」


 陽子が真希に謝罪した理由、それは一人で教室にいる真希を寂しいと勘違いをしたことについてだった。


 ひどいことを言ったかもしれないが、それは大きなお世話でしかなかった。

 真希は昔から一人でいることが好きだったため、むしろ一人の方が快適だった。


 陽子もそれを自覚し反省している。


「みんな一人でいるのは寂しいと勘違いしてた。私もそうだったから」

「確かに多くの人間は一人でいると孤独だと感じる人は多いからあながち勘違いではないと思う。私が例外的な人間なだけで」

「……ありがとう」


 陽子の言う通り一人でいることに寂しいと感じる人の方が一人でいることが好きな人よりも割合は多いだろう。


 だから陽子の言っていることは完全に間違っているわけではないと真希は思う。

 そのフォローが嬉しかったのか、陽子は静かな声でお礼を言う。


「私さ、小学生の頃なかなかクラスに馴染めなくて孤立してたんだ。その時一人で寂しかったのは今でも覚えている」


 陽子が一人でいる真希にお節介を理由、それは昔の自分を真希に重ねていたからだった。


「そんな時に私に話しかけてきたのが愛理ちゃんだった。その時私は凄く嬉しかった。そこから少しずつ友達が増えて愛理ちゃんとは大親友になったんだ」

「私が知っている桐谷は口うるさいイメージしかないがな」

「そうなんだよね~。なぜか愛理ちゃん、北野さんには厳しいんだよね。本当は心優しい女の子なのに」


 陽子は愛理のことを『大親友』と言った。


 つまりそれぐらい陽子は愛理のことを信頼し、好意を抱いていることが分かる。


 陽子にとって愛理は、恋人以上の存在なのかもしれない。


 しかし、口うるさい愛理しか知らない真希は思わず口を挟んでしまった。


 陽子もなぜ真希にだけ口うるさいのか見当もつかないらしく困り顔を浮かべていた。


「少し話が脱線しちゃったね。私はあの時愛理ちゃんに物凄く救われたんだ。だから次は私がそうなりたいなって思ったんだ。だから私は北野さんと仲良くなりたいと思い、話しかけてたんだ。でもそれって凄く傲慢だし、大きなお世話だったね。私はみんな一人でいるのは寂しいと思ってた。でも北野さんにみたいに一人でいる方が好きだという人もいる。だからそんな理由で北野さんと仲良くしようと思ってごめんなさい。……結構私って最低なことしてたよね」


 陽子は昔クラスで孤立していて寂しかった。


 その陽子のもとに愛理が来て仲良くなり、陽子は救われた。


 だから陽子も今度は愛理のようになりたいと思い、教室で孤立していた真希と仲良くなろうとした。


 でもそれは陽子の傲慢で大きなお節介だと自覚した。


 別に陽子の行いは完全には間違っていないだろう。


 むしろ陽子のおかげで救われる人もいるだろう。

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