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100億で落札された俺、ポンコツ美少女に自由を買われる〜幼児化した相棒のせいで、謎組織から無理難題を押し付けられる何でも屋になった件について〜  作者: くまたに
第4章 冷たい少女の護衛

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第42話 最終形態

「だって、レイくん。わたし、あなたが好きだもん」


 その言葉と同時に放たれた氷の棘は、致命傷になり得る急所へとぴたりと伸びてくる。

 地面を離れた瞬間──着地点を狙い撃つ、容赦のない殺意。


「──鬱陶しいなァ!」


 三節棍を横薙ぎに振るい、迫る氷の棘を叩き砕く。

 砕け散った欠片はキラキラと(ステラ)のように光を散らし、幻想的な光景を作り出した。


 綺麗だ──なんて思える余裕は、今のレイにはない。


「ざ〜んね〜ん! トラップでした〜♪」


 砕けた氷が砂嵐のように舞い上がり、細かい痛みと視界不良を生む。


「君は……お前は結局何者だ。氷室か──リリカか」


「ん〜、どっちも? わたしはリリカだし、氷室でもあるからね。ちょっと前に会ったのは、わたしの氷の人形(アイスドール)だよ?」


「なら──お前は俺の敵か?」


「うん、当たり前。今ごろレイくんのお仲間さんたち、わたしのゾンビに食べられてる頃じゃない?」


 肩を揺らしクスクス笑うその姿に、ようやく思い至る。

 自分の知っている“お嬢様の氷室”は仮面であり──その本質は、壊れた悪意そのものだということを。


「レイくん、もう終わり」


【氷の矢】


 未来予知が反応した頃にはもう遅かった。

 放たれた氷の矢がレイの腕を容赦なく貫く。


 グサッ──

 人が脆い生き物であることを、冷酷に突きつけるような音だった。


 痛みに浸る暇などない。途切れなく押し寄せる攻撃に、体力が削られていく。


 潮時か──

 今まで封じていた能力を、ついに解放する。


 腕を貫く氷の矢から滴る血が、ぴたりと止まる。

 歯を食いしばり、矢をゆっくりと引き抜いた。


「リリカ……お前のターンはここまでだ。次は俺のターンだ」


 口角を上げる。

 次の瞬間、レイの姿が掻き消え、冷気の流れが揺らいだ。


「──ッ!」


 三節棍が雷光のように振るわれる。

 リリカは寸でのところで察知し、致命傷をかすり傷へと変えた。

 その速度は、もはや脊髄反射の領域。


「なかなかやるなぁ」


「それはこっちの台詞。獲物は強いほど燃えてくるの」


 "氷室"の華奢な身体が、じわじわと“白”に染まっていく。

 つま先から髪の先まで凍りついた瞬間──空気が変わった。


 ただの冷気ではない。

 心の底まで凍らせるような、異質な寒気。


 ──俺、ビビってるんだ。


 リリカの身体を覆っていた氷が──音もなく砕け散った。


「レイくん、逃げ場なんてないよ?」


 氷の破片が渦を巻く。

 それらはリリカの周囲に集まり、獰猛な形へと組み上がっていく。


 四肢。牙。尾。

 氷でできた巨大な獣が、リリカの影から這い出すように姿を現した。


「──ワオォォォォォォォン!」


 咆哮が鼓膜を刺激する。

 リリカの身体がその場に倒れる。その様子は、まるで役目を終えた道具──もう使わないから、と床に捨てられた玩具のよう。


「コレガ本当ノ、ワタシ」


 狼とも、狐とも言えるような姿。

 奴の毛皮に染み付いた、錆びた鉄の臭いが鼻から離れない。


 一体どれだけの人を殺してるんだよ……


 三節棍を握る手が震える。それは寒さによるものか。それとも──

 頭に思い浮かぶよりも前に、無理やり目を背けた。意識したら、足元がすくみそうだった。

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