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[立体作品]モンスター美少女たちのパパになったら、全員俺を殺しにくるんだが!?  作者: 矢崎 那央
番外編 第3幕『心も水着も滑ってズレて…どうなっちゃうの!?魂のずぶ濡れフルスライダー』
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Scene15:『やさしさは、糸で編めるか』


 ——光の水が、耳元を滑り落ちていく。


 流れに身を任せると、視界の奥に、

 崩れた温室の中で糸を操る自分が見えた。


 


 黒とオレンジのフリル。

 宙に舞う布。

 木のボタンを二歩脚で削りながら、ワタシは呟く。


 


 「……次は、もっと……飛鳥ちゃんが笑うように……」


 


 水のきらめきが反射して、景色が一変する。




 ——霧の森。

 八つの瞳で、怯えた少女を見つめている。


 その子は、怖がっている。

 ワタシのせいで。

 だけど、なにが悪かったのかは、やっぱり分からない。


 ノーニャの声が、静かに響く。


 『本能は変えられない。でも、やっちゃいけないことは覚えられる』




 再び、温室。


 ワタシは飛鳥ちゃんに服をたくさん着せすぎて、少し疲れさせた。

 だから次は「着て着て」って言いすぎないようにしようと、指先で糸を止める。


 感情は分からない。

 でも、教えてもらえば、覚えることはできる。

 ひとつずつ、少しずつ。




 また森。


 『選ぶのは、おまえ自身だにゃ』

 ——一人で生きれば、楽。

 誰も傷つけず、誰にも傷つけられず。

 でも、それじゃ——。


 「……それでも、一緒にいたい」


 涙が落ちる。

 それが“正しい”かどうかなんて、分からない。




 水面が割れる音。


 そこから、もう一人の“ワタシ”が出てきた。

 瞳は冷たく、糸は断ち切られ、手は空っぽ。


 「……アナタには、どうせできない」


 それは、ワタシの声だった。

 感情も、共感もない——諦めきった“ワタシ”。


 「優しさなんて、無理。

 学んでも、真似しても、結局はズレるだけ。

 また傷つけて、また嫌われる。それがオチよ」


 心臓がひゅっと縮む。

 図星だから。


 でも、糸を握る手に、力を込める。


 「……それでも。

 それでも、ワタシは——形にできる。

 生まれつき無くても、作ることはできる」


 「……作ったつもりになって、どうするの?」


 「それで、笑ってくれるなら——それでいい」


 幻影は、しばらく黙ってワタシを見つめ——やがて、糸に触れた。

 その指先が、裁きの水に溶けて消える。




 温室が、きらきらと流れに溶けていく。


 ワタシは糸をつまみ上げ、未来の自分に向かって縫い込むように言った。


 「やさしさは……ワタシには生まれつきない。

 でも、糸みたいに——覚えて、積み重ねて、形にできる」


 水の流れが加速し、ワタシの作ったドレスの裾をさらっていく。


——その先に、仲間たちの笑顔があると信じて。




——to be the next scene.

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