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[自作フィギュア]モンスター美少女たちのパパになったら、全員俺を殺しにくるんだが!?  作者: 矢崎 那央
第5話 第3幕『パパって呼ばれたかっただけなのに、娘の世界にパパという概念がなかったので、私は何者にもなれませんでした』
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Epilogue:『おとうさん、立ち上がる』


 体が重い。


 何もしていないのに、だるい。

 何もされていないのに、つらい。



 ——いや、厳密(げんみつ)には、「されていない」

 というのは嘘になるか。



 (いや)された。

 全力で、癒された。

 全身、ありとあらゆる細胞(さいぼう)が、甘やかされた。


 にもかかわらず、この敗北感はなんだろう。

 


 「……うぅ……

 わ、私の……おとうさんポイントが……ゼロ……?」



 私は地べたに倒れ、草のにおいを()いでいた。


 ちょっと湿(しめ)った土の感触。

 かすかに(かお)る、フィロレーナの甘い香り。

 遠くで、虫が()いている。


 私は小さく(うめ)きながら、空を見上げた。



 「……勘違(かんちが)いだったんだな……」


 

 日記には、名前も書かれていなかった。

 “わたしと話して、げんきがでたおきゃくさま”。

 それだけ。


 あれほど感動していた“再会の儀式(ぎしき)"も、

 この私だけに向けたものではなかったのだ。


 私は、特別ではなかった。

 父でもなかった。

 たまたま、癒された通行人にすぎなかった。



 「…………ははっ、まいったな……」


 

 私の白衣は、花粉と土でぼろぼろだった。

 (かみ)も枝に引っかかってるし、

 なんか鼻の穴に花びらが入ってる。


 私はそれを取る気力もなく、ぐったり息を吐いた。


 

 ——それでも……。



 「……ふっ」



 私は、ふらりと体を起こす。

 ヒザが笑っている。腰が砕けそうだ。


 だが、その目にはわずかな光が宿っていた。


 

 「そもそも“父である”とは……。

 たとえ娘に父として認識(にんしき)されていなくとも……」


 「たとえ名前を忘れられていようとも……」


 「勝手に名乗るものであるッ!!」


 

 私は、ぐっと拳を握った。

 が、同時にヒザがガクンと折れた。



 「……っつう……でも!」



 ふらふらと立ち上がる。

 白衣の裾が、夕日に()まっている。

 


 「……でも、さすがに……一回ラボに戻ろう……」

 


 私は、力強く温室を後にする。

 でも、フラフラした歩き方は、

 ……完全におじいちゃんだった。



《それでも彼は、こうして歩き出した。

 次なる“娘”のもとへ。

 次なる“しばき”の試練へ》



——the episode’s end.

 私は、帰路についた。

 癒されたはずなのに、心にはぽっかり風が吹いていた。


 けれど、私はあきらめない。

 “父性”とは、敗北してもなお立ち上がる狂気である。


 向かうは、再びラボ。そして、その先には……


 白装束の巫女。

 知恵と皮肉に満ちた、ツッコミ系式神。

 

 癒しからの復帰戦。

 次なる試練は、働く系キツネのお仕置きフルコースである。

——ご期待ください。


——次回予告。

次回、第6話 第1幕 キツネ面の巫女と、はたらくお父さま!


——エピローグあとがき——


この物語に登場する、魅力的な“娘たち”──

実は、作者がひとりひとり、立体作品として造形しています。

  挿絵(By みてみん)

(※画像は、ポヤポヤ花咲娘「フィロレーナ」)


もしお時間がありましたら、彼女たちが登場する

〜もうひとつの物語〜

『君は、風に還る。』もぜひご覧ください。


https://ncode.syosetu.com/n3644kl/


異形の少女たちが、自分の翼で“生きる意味”を探し旅をする。

そんな、少しだけ優しくて痛みをはらんだ物語です。

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