Prologue:『第一回、父親面(パパづら)会議』
娘に“パパ”と呼ばれたいだけの男が、
今日もまた死にかけている。
なぜなら娘たちは、
モンスターで、美少女で、
全員ガチで殺しにくるからだ。
なのに彼は言う……。
「これこそが、“お父さん”だ」と。
パラリ…
——ページをめくる音……
薄暗い実験室のなか。
白衣を着たひとりの男が立っていた……。
彼の独白が静かに始まる。
————
これは、ひとりの男の、
ささやかな再挑戦の記録である。
愛する人を取り戻したい。
かつて、それだけの理由で、
世界を滅ぼしかけた、哀れな男がいた。
そして…。
その物語は、いちど幕を下ろした……。
しかし、私は、心を入れ替えた。
そして、もう一度……。
新しいスタートを切ろうと——
「…………うん? なんだ、これ。
自分で自分をナレーションしているのか?」
「……いや、これはそういう始め方をすべき
物語なのだな。
うむ、なかなか良い演出だ」
「では、さて…」
私は、かつて“創造主”とも
呼ばれていた。
愛する人を、この手に取り戻すためだけに、
人の手で命を作るという、
禁忌に手を出した、
狂気の科学者。
それが、私だ。
しかし、実験の果てに生まれた
娘たちと、ぶつかり合いながらも
過ごした時間の中で、
私は気づいてしまったのだ。
本当に求めていたのは、“愛"ではなく…。
——しみじみと
“家族”……だったんじゃないかと。
もちろん、最初の目的を諦めたわけではない。
しかし、それとは別の想いが、
確かに、私の中に生まれていた。
——物語は動き出す。
彼が求めているのは、
罪を償うことではない。
赦しを貰うことでもない。
ただひとつ。
『娘たちに“パパ”と呼ばれたい』
それこそが、新たな
自分としての生き方——
新たなアイデンティティ。
幕は上がった。
自分勝手な理由で、勝手に作り出した
モンスター美少女たち。
そんな娘たちの父親になりたいと願う男が、
全身全霊をかけて挑む、
地獄の旅の始まりである。
——to be the next scene.
——お父さん的プロモーション -Prologue編-——
ふむ、実に良い導入だ。やはり私は“パパの才能”すら持つ男だったのだな。
——作品の良否は別として、“パパの才能”が関係あるかは不明だ。
さあ、待っていろ娘たちよ。
心を入れ替え、父性愛の暗黒面にフルダイブしたパパが、いま会いにいく!
——次回予告。
とうとう地獄巡りが幕を上げた。
次項では娘たちに殺されかける日常の片鱗をお見せする…。
——
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