1日目
私は「この男」一歩手前です
朝6時、天気は雨。
とある林道の途中にポツンとあるバス停に、1人の男が歩いてきた。
その男の姿は、誰が見ても普通じゃないと分かるだろう。
その男は、なかなかな雨の中を、ヨレヨレのTシャツを着て、手入れのされていない、肩にかかるほどの髪を濡らし、傘もささずに歩いている。
手には雨でびしょびしょになった本を抱えて。
ベンチに座ると、本を広げてしばらくの間読み続ける。
しばらくすると8時31分着のバスがやってきた。
くたびれた大人達を乗せて動き出すバスを目で追う男。
その先に雨ではしゃぐ1人の少女を見つける。
少女と目が合うと少女はしばらく固まったのち、こちらに来ようとした。
が、途中で止まり空を見上げると、林の中へと消えていってしまった。
この男、ここ1ヶ月ほど、8時31分着のバスを見送って家に帰るという生活をしていたのだが、今日初めてそのルーティーンが崩れた。
少女を追いかけていったのである。
「はあ…はあ…!」
走ったのは何年ぶりだろう。体の衰えを感じながら少女を追いかけているうちに、雨は止んでいた。
疲れ果てた男はふと我に帰る。
(なぜ、少女を追いかけたのだろう…)
男に理由はなかった。
林の中へ消えていく少女を心配したわけではない。
逃げる少女を捕まえてみたくなったわけでもない。
男に理由はなかった。
ただなんとなく少女を追いかけたのだ。
そう、この男、異常なのである。
読んでて違和感ある部分あると思いますが、ど素人の暇つぶしなので、多めに見てください。