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かけがえないんだろう、と騙されてあげる  作者: 今井葉


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檸檬爆弾は、私の台所でスープになる。―檸檬

 国産のレモンが手に入り、真っ先に仕込んだレモン麹。以前にも投稿させて頂いたレモンのこと。また取り上げさせて下さい。




 レモンは一年中、スーパーに並ぶようだけれど、国産のものは、稀。娘がレモンをそのまま食べるくらい好きで、一緒に買い出しに行くと、必ずレモンをチェックするほどに好物なのだ。「お母ちゃん! 売ってる!」と半ば興奮気味に手に入れたそれは、綺麗なレモンイエロウの手のひらサイズ2個入りパックのもの。早速、買い物かごに入れさせて頂きました。




 我が家で大好評だったレモン麹。私が今回試したいのは塩レモンだ。レモンをざくざく切り、種を除き、ミキサーで細かくする。塩を混ぜて保存容器に入れ、一週間は常温に置いて時々、かき混ぜる。作り方はレモン麹と似ている。




 早く食べたい。一週間が早く経たないかな、と待ち遠しい。




 一週間経った日の朝は、早起きしてしまった。心が踊って、なかなか熟睡できなかったけれど気分はいい。早速台所に立つ。作るのは、塩レモンのスープ。付け合わせに、スパイスキャロットケーキを作る。




 レモンに、スパイスに。刺激が、私の求める朝だ。



 大きくカットした野菜に、鶏肉を鍋に入れ、チキンブイヨンを入れる。もちろん塩レモンも入れ、煮込む。シンプルだけどこれだけ。期待が高まる。

 にんじんはすりおろし、スパイスをすり鉢ですり潰す。レーズンとくるみも入るから、食べ応えがあるだろう。




 焼いている間、梶井基次郎の『檸檬』を読む。まだ夜明け前で、窓の向こうは真っ暗だ。温まってきた室内で読む『檸檬』は、病んだ梶井とは裏っ返したような健康的な朝活をする私で、なんだかおかしい。檸檬爆弾は、私の台所でスープになる。




 朝ご飯が出来上がった。きょうだいたちも起きてくる時間だ。



 

 塩レモンスープの鍋を温めなおし、キャロットケーキをお皿に添える。キャロットケーキは、今回、カップケーキにした。スープボオルにたっぷり注ぎ、テーブルにセットする。




 席についた娘から食べ始める。私も頂く。爽やかだけど鶏肉の甘みでコクのあるスープ。これから発酵が進んでいくに従って、またまろやかになっていきそうな塩レモン。娘は黙って平らげ、ケーキを頬張る。私も一口。そのうちに息子も席につく。良人は、一目見るなり、「コーヒーがいるね」と、カップを用意する。





 静かな朝。スープボオルは空になる。

「インドカレーみたいなケーキだね」 

 良人だけがそう言った。




 我が家の塩レモン。冷蔵庫にスタンバって、また私の胃を爽やかにしてほしい。鶏肉の塩レモン蒸し。塩レモン唐揚げ。塩レモンの白菜漬け。台所を彩ってほしい。




 我が家の檸檬爆弾を召し上がれ。





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