残り物には福がある。みんな私が平らげる。―古事記
先日、きょうだいたちが友だちを家に呼びたいと言うので、軽くクリスマスパーティでもしますか! とクレープパーティを考えた。
ひたすらクレープ生地を焼くという下準備の他、いちごや桃の缶詰を切り、生クリームをホイップする。チョコレートシロップや、チョコスプレーも用意し、ちょっぴり贅沢に、コメダ珈琲のいちごバターも買ってきた。
なんと、招いた友だちから差し入れが。ラムネを頂いた。お気遣いありがとう、と早速クレープとともにセッティングする。
準備している間、持ち寄ってくれたゲームで緊張をほぐすきょうだいとそのお友だち。楽しい雰囲気が出来上がってきた。
いざ、小腹も空いた頃、テーブルに集まって、クレープパーティの始まりだ。
それぞれ、思い思いのトッピングで会話も弾む。生クリームやチョコシロップで字や絵を描いてイチゴものせ、盛りに盛ったトッピングで畳むのが難しそう。一枚、また一枚。どんどん平らげていく。ラムネもあおり、お腹の中は甘さでいっぱいになった頃⋯
何故か桃だけが残る。
缶詰だから?
寂しそうにうずたかく居残る桃。
果たして、すっからかんになったテーブルを後に、始まるゲーム大会。リングフィットアドベンチャーで、食べた分を消費しよう! とどたんばたんやりだす。
私は片付けをしながら、残った桃のつまみ食い。寂しそうな桃さん。十分な甘さに、頬の内側の皺が寄る。十分すぎるのだ。この甘さ。
黄泉平坂で、イザナギが黄泉の国の追手に投げつけ、無事に黄泉返りができた、魔除けの果物とされた桃。また夏目漱石『三四郎』において、桃は仙人の好きな食べ物と話しながら、三四郎と広田先生を親密にした水蜜桃。更には、桃太郎の鬼退治。
桃は縁起がいいのだ。ひな祭りにも飾られる桃の花。神の力を持つ実なのだ。
残り物には福がある。みんな私が平らげた桃。来年も縁起も担いで、一人幸せになる。
こうやって友が集まって、わいわいできる幸せ。楽しいクリスマスを、クレープで巻いて。桃をつまんで。来年もきっと家族や友とありますようにと。祈って。
メリークリスマスパーティでした。




