切り取った風景に雪景色がある―新古今集
今年も初雪が降った。娘が嬉しさで、おばあちゃんに初雪の報告をした。
庭木の枝に雪が、花のように積もる。葉が落ちて寒そうにしていた枝木に、纏った雪。
昼を過ぎても、静かに降り続け、でもなんとなくそれ以上は積もらない感じ。うっすら纏った雪景色は、いつもの町並みを新鮮に映してくれる。
遠くの山を見ると、雪が降っているようだ。かき氷みたいに見える。麓や町の方より大分降っているんだろう。空や峰は白く霞んでいて、寒そうだ。
私の住む町から、富士山は見えないけれど、山部赤人が歌った歌を思い馳せる。
「田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ」
町から見上げた山の峰は、穏やかな佇まいで、そっと寄り添ってくれるような温かさを感じる。でも山の上にいるなら、厳しい雪模様で凍てつくようだろう。そういう冬の景色は、過酷さを忘れて、つい見惚れてしまう美しさがある。他人事のように見上げて、歌にしたくなる景色だ。
山部赤人も、富士山に雪が降っている、と歌う。細かな雪が山を飾っている。今も降っている。そんな様子なんて、海岸から望めるわけないけれど、きっと今も山に雪が降っている。それくらい富士の峰は近しくて、傍にいてくれるようなんだ。
今日も見つめる。
きょうだいたちの、がんばる姿を見つめる。
きょうだいたちと、見つめる夜空の星星。
見つめる手のひら。指先。
切り取った風景に雪景色がある。親しんだ町から望みたい風景。手袋をして、マフラーをして、温かな息が溶かしてしまうんじゃないかと心配してしまう儚い雪を、そっと瞳の奥にとじこめる。
先ずは、初雪の便りまで。




