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かけがえないんだろう、と騙されてあげる  作者: 今井葉


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岩戸隠れより居間でくつろぐのが何より幸せそう。―古事記

 天照大御神がお隠れになった、天岩戸隠れ。弟の須佐之男があまりに乱暴をするので岩戸に隠れると、日が陰り、高天原が夜になったお話。

 我が家にも頻繁に起こります、天岩戸隠れ。きょうだいたちが幼かった頃は、それはもう頻回。決してきょうだいたちは母に乱暴してるなどとは思っていないでしょう。毎日毎日のバカ騒ぎに居間は大荒れ。どたんばたんと走り回り、転げ回り、震度3か? とも疑われる程の家の揺れ。少しの時間でいい、静かに読書したい。集中して楽しみたいのよ。あーもう、いらいら。



 どっかん、ついに噴火?



 そんなわけありません。怒鳴り散らすなんてキャラじゃないんです。



 向かった先は、居間から離れた二階の押し入れ。ライトと本を持ち込み、念願の読書。階下の仮面ライダー&プリキュアごっこが全く聞こえないわけじゃないけど、かなりいい感じ。母が居なくなったことも気づかずしめしめと言ったところ。



 しかし。



 2ページも読んでないのに見つかっちゃうんです。勢いよく押し入れを開けられ、みーつけた! と今度はきょうだいたち、かくれんぼが始まります。



 なんていうか、天岩戸隠れ、頻繁に起こりすぎて、きょうだいたちは母の行動パターンを読んでる。逆に楽しくなっちゃったりして。



 そんな母の岩戸隠れ。大きくなったきょうだいたちが、母に習って、押し入れに隠れるようになったのでした。



 勉強しなさ〜い! と口うるさく言われ、怒った兄の岩戸隠れ。

 ゲーム機やタブレットを持ち込んでお楽しみをするあたり、母の岩戸隠れを参考にしているとしか思えない。



 そして、出てこない。



 そんな時は、食いしん坊の我が子のために、おいしいご飯を煮炊きする香りを漂わせるしかない。お腹がすくのには抗えない。おいしい匂い。今日の夕飯はなんだろう⋯



 

 単純すぎるだろう。本当にこれで岩戸から自ら出てくるんです。



 ご飯って美味しいよね。



 最近のお兄ちゃんのお気に入り、豆腐料理のフルコースで機嫌がすっかりご機嫌に。岩戸隠れより居間でくつろぐのが何より幸せそう。そりゃあそうだ。





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