織姫と彦星が夜空で出会う。その伝説に添えていくような霜の気配―新古今集
七夕飾りの短冊を、願いを込めて作成する。かつてのきょうだいたちは思い思いの願いを書き連ね、いくつも笹に飾った。アイドルになれますように。世界が平和になれますように。いくつもの願いが、夜空を飾った。
新古今集の一首、「かささぎの渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更けにける」は、七夕伝説を歌った歌。織姫と彦星が天の川を渡る時、かささぎたちが羽根を広げ、橋を作った。その天の川の橋に霜が降りているのを見る。夜が更けたのだなあ。という歌。
天の川にきらきらの霜が降りる。宇宙にも四季があって、夜があって、という発想がとても自分軸に考えられたもので、それはそれでいにしえの人らしく可愛らしい。雨が降らないで、と七夕にてるてる坊主を作るきょうだいたちのように純粋で、宇宙にも雨があって、織姫たちが無事会えないと困るよ、というこどもらしい心配にも似ている。
霜が宝石みたいに、連なるかささぎの橋に煌めく、そういう詩的な感情が生活にある、というのが羨ましくて綺麗。非日常的な表現が現実として信じられているというピュアさがかけがえないんだろう。織姫と彦星が夜空で出会う。その伝説に添えていくような霜の気配。すべてが架空のことのようで、すべてがリアルなんだろう。
夜空に白いひかり。鳥の羽ばたき。そぞろな私。あちらのきみに。




