有効数字を考える?
※この作品はフィクションであり、登場する教科や人物はすべて架空です。
政治的意思もございません。ギャグ・コメディ作品としてお楽しみください。
「おい物理。予算の資料、計算を頼んでいいか?俺、この後忙しくてさ」
「いいですよ、数学さん。多分一時間ぐらいで終わると思うので」
「じゃあ頼んだぞ」
……これが、間違いの始まりだった……。
ここは、アカデミア学園。学びを求める者は、ここで擬人化した教科たちから最高級の教育を受けることができる。
ここに文系と理系の派閥があることは知っているだろうか。もちろん、全員が全員、それにこだわっているわけではない。しかし、同じ派閥の中の教科は、比較的仲がいいのは確かである。
‥‥‥はずなのだが。
「物理!!!」
大声をあげて職員室に駆け込んできたのは数学である。
「なんだこの資料は!!!」
「珍しいな。数学のやろうが俺のセリフを言うなんて」
「Holy cow!いつも現国が数学に資料についてカチコミにいくもんねー!」
現国と英コミュがひそひそと話した。
「えっごめん数学さん、僕、何かしたかな?」
「えっごめん、じゃない!数字が全部変じゃないか‼」
「どこがです?」
不思議そうに首をかしげる物理の顔の前に数学は資料をつきつけた。
「まず、ここ!学年企画費、190000.0円!」
「えーっと…」
しばらく自分の落ち度について考えた物理は思いついたように言った。
「そっか、ごめん。189999.5円以上190000.5円未満にすればよかったかな?」
「そこだよ!!なんで有効数字になっているんだ!」
~教えて生物兄さん!~
理系科目なんか嫌いだぁ!!などとほざく文系諸君に、「有効数字」とは何かを教えてやろう。有効数字とは、数字を正確に知るための方法だ。
例えば、硫酸を水で希釈させる実験をするとしよう。この時、水の体積、5mlを図るのに、めもりつきフラスコを使うとする。
しかし、考えてみてほしい。そのメモリで量った水は果たして本当に5mlか?メモリの太さもあるから、確実に5mlでぴったり入れられたとは言い切れない。5.00001mlの可能性もある。
でも、突き詰めれば、限りがない。無限に小さく考えられるからな。
そこで登場するのが、有効数字だ。これは、大体この間にある、といういいかたで使われる。
この場合だと、少なくとも、4.5ml以上、5.5ml未満にはあるといえる。
小数点以下が増えていけば増えていくほど、メモリは正確になっていくという寸法さ。だから、科学界では、有効数字、という考え方が非常に大切になってくる。
まあ、あとは慣れるしかねえから、たくさんの実験をして、レポート書いて学べ。
以上!!
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「え、だって、190000円ってあいまいじゃないですか?」
「何言ってんだ、190000は190000だろ!?」
「もしかしたら0.1が含まれる可能性も考慮しないんですか?」
「空気抵抗を無視するのはお前らの得意分野だろうが!なんで有効数字は無視しない?!」
「正確じゃないからですよ!正確でなければ、実験として正しいとは言えない!」
「予算資料作りが実験なわけあるかぁ!!とにかく、有効数字は考慮せずに数字単体を愛すること!いいな!!」
「もしかしたら、税金が小数点でかかる場合があるかもしれないじゃないか!」
「なぜ予算に税金が付くんだ!あほか!もういい!俺がつくる!」
「本日二度目の、Holy cow!まさか、理系たちが喧嘩するとは思わなかったわ!」
「数学が野蛮なだけだ。知らん」
「現国さん淡白~!」
のち、物理が数学の前で数字について語ることはなくなった。なぜなら、物理は知ったからだ。
「数学さんって、数字を概念的にとらえるからなぁ…。同じ数字を見ていても、感じる世界が違うんだな‥‥‥」
今回は、実際にあったらしいことを自己流に解釈してみました
数学専門の方と、物理専門の方が、1という数字について話した時、物理専門の方が有効数字に触れると、数学専門の方は不思議そうな顔で「1は1だろ…?」と話していたらしいです。
特に、教科差別などはありませんが、興味深いなーと思い、書いてみました!
っと、筆者は文系ですので、有効数字と言われると、頭が狂う人でございます…。誤情報がありましたら申し訳ございません。
ご閲覧、ありがとうございました!