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第6話 アナスタシア・レイナード

「ご機嫌よう」


 年上の女の子がレッティを見下ろしつつ不機嫌そうに挨拶をしてきた。


「レッティ……この子は私の従姉妹の娘のアナスタシアよ。

 アルフレッドと同い年でレイナード侯爵家の子よ。

 二人とも仲良くしてね」


 リディアお義母様がニコニコとしながら紹介してくれた。

 そして、久しぶりに会う従姉妹と庭園に向かう。

 冬薔薇を眺めながらお話でもするのだろうか。


 そして残された子供二人。

 アナスタシアを表現するなら、とにかく凄いド派手!!

 キラッキラの金髪を縦ロールにして、リボン過多なドレスで着飾った吊り目の美少女。

 そして、微妙に仰け反るほどに胸を張っている。


 レッティも真っ赤な髪でかなり目立つ方だが、この少女の横にいては背景の一つになってしまいそうだ。


「貴女地味ね!!ちんちくりんだし!!」


 そんな事初めて言われた!

 むしろ両親には目立たない様にしなさいと言われて育ったのに!

 レッティはちょっと面白くなってきた。


「貴女みたいなのが婚約者だなんて、アルフレッド様がお可哀想だわ!

 わたしくは将来の王妃にとお父様はおっしゃるけれど、王子殿下ではわたくしと見た目が釣り合わないの。

 わたしくはアルフレッド様をお支えしたいの。

 貴女は諦めなさいよね!」


 アナスタシアはアルフレッドが好きらしい。

 しかし、貴族の結婚は好き嫌いでは決まらないのを年上なのに知らないのだろうか。


 レッティも負けじと胸を張る。


「家同士で決めた事ですので!!」


 これで完封。

 勝利。

 ……本当のところを言えば、レッティはまだアルフレッドに認めて貰っていないのが心配だが、それは表に出さない。

 アナスタシアには一歩も二歩もリードしているのは事実だ。


 レッティは鼻息荒くアナスタシアを挑発した。


「何ですって!田舎者の伯爵のところのチビが生意気よ!」


 ビンタをして来ようとする。なんと乱暴な!貴族の令嬢として在るまじき所業!

 しかし、

 

 ――――ふっ……

 あまりに遅すぎる。

 それに、そんなフォームじゃ手を痛めるよ?


 レッティはビンタを完全に見極め、ギリギリのタイミングでかわした。


「お嬢様!」


 近くで見ていたハナを始めとする使用人が慌てふためいている。


「避けるな!この!」


 アナスタシアの両手の猛攻がレッティを襲うが、レッティは最小限の動きで紙一重で優雅に交わし続ける。

 スカートを僅かに託しあげて、小刻みに踊るような優雅でリズミカルなステップを踏む。

 普段から鍛えているのだ。そんじょそこらの女の子に負けてたまるもんか。


「はぁ……はぁ……」


 アナスタシアは髪型が崩れて既に息を切らしている。

 それに対してレッティは優雅な所作で、しかし戯けるように頭を下げてみせる。

 上目遣いで見上げて、余裕がある表情でゆったりと微笑む。

 どちらが未来の公爵夫人に相応しいか、これでもわからないのだろうか。

 自らの実力すら分からない女に用は無いのよ!

 レッティは上級者としてアドバイスをしてあげる事にした。


「大振りすぎる。そんなんじゃ体力を無駄に消耗するだけよ」


 そして、レッティは静かに構えを取る。

 年上の少女に敬意を表して、先制攻撃は譲って差し上げた。

 今度はこちらの番。

 一撃で仕留める自信があった。


 レッティが重心を僅かに低くしたところで……。


「貴女達何やってるの!?」


「うえーん!お母様!」


「!?……なんて卑怯な!」


 アナスタシアは自分の母親に泣きついた。変わり身の速さに一瞬出遅れた。

 しかし、レッティも負けじとお義母様に抱きつく。


「アナスタシア様があたしを殴ろうとしたんです!」


「違います!スカーレットが生意気だから!」


 ふふ……語るに落ちているわね!貴女は何よりも先ずは殴ろうとしたのを否定するべきだったのではなくて!?


「アナスタシア……どういう事かしら?」


 アナスタシアの母親は吊り上がった目を更に吊り上げた。

 アナスタシア母娘は何日か滞在する予定だったが、すぐに帰ることになった。

 護身術……習っていて良かった!


 

 

 

読んでいただいて嬉しいです!

(((o(*゜▽゜*)o)))♡

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