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魔物の街 33

「どういう人物なんでしょうか?」 

 そのまま寮を出て駐車場のカウラの車にいつもどおり後部座席に要とアイシャが座り、誠は助手席でそうつぶやいていた。

「人体実験だからな、今回のは。研究者の矜持で動いているんじゃねえの?まったく迷惑な話だな」 

 要は無関心そうに動き出した車の振動に身を任せている。アイシャは誠に見つめられると首を振っていた。

「あっさり引くなよアイシャ。お前も私もこの前の肉の塊に変化した少女と違いは無いんだ」 

 ハンドルを切りながらカウラが言った。二人は人の手で創られた存在であり、科学が生み出した地球人類を超える存在をうたわれて作られた人造人間である。

「それはそうかもしれないけど。私は誰が私を作ったかなんて考えたこともないし……ってそれじゃあ嘘になるかもね」 

 そう言いながらアイシャは笑う。車は前に飛び出してきたサラを後ろに乗せた島田のバイクについて走る。

「科学者の好奇心?禁秘に触れる快感?自分の理論の証明?どれにしても勝手な理屈だな」 

 要の言葉に誠達は頷いた。後ろを見やればすぐに茜のセダンが迫っていた。

「そう考えると……今のところはヨハンも容疑者の一人なわけだな」 

 要の一言。あぜに黄色い枯れ草を晒している田んぼの向こうに巨大な菱川重工業の豊川工場の姿が見え始める。

「まあアリバイはすぐ取れるからいいとしても聞いてみる価値はありそうだな。同じ法術の研究者として今回の事件のきっかけを作った理論を組み上げた奴が何を考えていたのかをさ」 

 要の声に全員が心を決めるように頷いた。工場に向かう車にトレーラーが混じり始めると流れは極端に悪くなり、それまで先導するように走っていた島田のバイクがその間を縫うようにして先行した。

「島田の奴、ヨハンをつるし上げたりしないだろうな」 

 冷ややかな笑みを浮かべる要を誠はにらんだ。 

「冗談だって!島田もそこまで馬鹿じゃねえのは分かってるよ。だがアイツの法術を使っての体再生能力は今回の実験で作られた化け物の共通点だ。アイツが珍しく頭に血が上ったとしか思えない暴走ばかりしていたのは覚えているだろ?」 

 そんな要の言葉に車の中の空気が寒く感じられる。工場の正門を抜け、リニアモーターカーの車体を組み上げていると言う建物の先を折れ、生協の前を抜けると保安隊を囲む高いコンクリートの塀が見えた。

「ただ容疑者が一人減るだけじゃないの。そんなにエンゲルバーグが信用できないの?」 

「アイシャ。エンゲルバーグ呼ばわりをしながらそんなことを言っても何の意味も無いぞ」 

 カウラが笑みを浮かべながら部隊のゲートに車を進める。警備部の隊員が珍しそうに詰め所から顔を出した。

「あれ?今日は帰ったんじゃ……」 

「残業だよ!」 

 スキンヘッドのスラブ系の警備部の隊員に要が叫んだ。彼の軽い敬礼に右手を上げると再びカウラは車を駐車場へ向けた。

「ご苦労さん!」 

 車から降りた誠に声をかけたのは手に干したとうもろこしを持った第四小隊隊長のロナルド・J・スミス上級大尉だった。その隣ではひっくり返り、腹を見せて服従の姿勢を見せる巨大な小熊グレゴリウス13世の口にとうもろこしをねじ込むフェデロ・マルケス中尉。そして鎖を引っ張るジョージ・岡部中尉の姿があった。

「今日は早いですね」 

 誠がそう言うのも遼州同盟との関係を重視する地球の大国アメリカの軍籍を持つ彼らがいつもなら東和軍の施設に最新兵器の実験の為に派遣されていてまるで見ないと言う事実があったからだった。

「たまには息抜きもいるんだよ」 

 そう言いながらロナルドがグレゴリウスの口に保安隊の空き地で育てたとうもろこしを突っ込む。

「島田は……」 

「ああ、アイツならハンガーに向かったぞ」 

 特に余計なことは言うつもりはないという表情で岡部が答える。カウラは隣に立っていたアイシャに目を向けるとそのままハンガーへ向かう。

「しゃあねえなあ」 

 要もそれに続くのを見て誠もハンガーを目指した。

 野球部のグラウンドの前に立つアサルト・モジュールを待機させているハンガー。誠達は沈黙に支配されている夕闇が近づくハンガーを覗き込んだ。

「あ、ベルガー大尉」 

 兵長の階級章の整備員がカウラを見て敬礼する。その敬礼を返しながら静かなハンガーをカウラ達は見回していた。

「いねえなあ」 

 要はそう言いながらやはりいろいろ言われているものの隊の象徴になりつつある美少女のカラーリングを施された誠の機体に目をやりながら奥の階段に向かう。

「冷蔵庫がやはり一番機密性は保てるでしょ?」 

 アイシャは後ろに続く誠にそう説明した。いつもならもっと活気にあふれているハンガーが沈黙していたのはそこでのナンバー2である島田がヨハンをつれていったと言うことを暗示している。そう彼女には思えているようだった。

 管理部は主計担当の菰田がいないので私服で上がってくる誠達を気にするはずも無く、隣の実働部隊の詰め所では要を心配そうに見つめる楓の姿があるだけだった。

 冷蔵庫に取り出したセキュリティーカードでセキュリティーの一部を解除した後、カウラが網膜判定をクリアーしてセフティーの完全解除を行う。そうして開いた保安隊の情報分析スペースである『冷蔵庫』の中には太りすぎた体を持てあましながら端末をいじるヨハンとそれを監視する島田の姿があった。

 腕組みをして椅子に座るヨハンだが、明らかに重すぎる体重に椅子が悲鳴を上げていた。

「ああ、おそろいでどうも」 

 振り返ったヨハンに頭をかきながら正面に座るのはカウラだった。

「俺は何もしてませんよ」 

「なにか?何かをするつもりはあったってことか?」 

 ニヤニヤ笑う要に島田は硬直したように静かに視線を落とした。

「まあ茜ちゃんを待つ必要も無いでしょ。私達が来た理由は島田君から聞いてるでしょ?」 

 アイシャの言葉にヨハンは頷くとそのまま端末に手を伸ばした。

「確かに今回の研究と関連する論文を書いている研究者はそう多くは無いな。地球人に無い能力を遼州人が持っているということになれば混乱は必至ということで、ほとんどの研究発表は秘密裏に行われていたからな。オカルト連中と仲良くやれって言われたこともあったよ、俺が研究所にいたときは。もっとも神前が『近藤事件』であれだけ派手にアピールしたおかげで今や人気課題だ。どこにでも相当研究費を出したい連中がいるらしいけどな」 

 そうつぶやきながらヨハンのむくれた指が器用にキーボードを叩いている。

 そして画面には顔写真つきの資料が並ぶ。三人の比較的若い研究者のプロフィール。誠達はそれに目を向けていた。

「茜さんの資料と東都近辺に勤務している研究者と言うことで絞り込むとこの三人だ。全員若手の法術研究者としてその筋では知られた顔だがね」 

 そう言って笑うヨハンを無視して誠達はそれぞれの個人の携帯端末の三人の情報を落とし込む。

「若いってことは野心もあるだろうからな。人間を研究する法術関連の技術開発だ。金はいくらでもほしいだろう」 

 要はそう言うと三人の顔を表示させて見比べている。めがねをかけた細身の四十くらいの男。三十半ばと言う目つきの悪い女性研究者。少しふけて見える生え際の後退した男。

「人となりは茜が来てからでいいか?」 

 そう言うと再びヨハンは端末に手を伸ばした。その次の瞬間部屋のセキュリティーが解除されて茜が姿を見せる。

「おい、無用心だぞ。アタシの端末にもオメー等の情報が落とし込まれているぞ。少しは配慮ってものをしろよな」 

 苦笑いを浮かべた子供の様に見えるランがそのまま彼女の小さな体には大きすぎる椅子に登るのを萌えながら誠は見守っていた。

「そうはいいますが神速が必要な時期でしょ?」 

 そう言って平然と三人の顔写真から目を離そうとしない要。

「シュペルター中尉。とりあえずこの三人に絞り込んだ理由を聞かせていただけなくて?」 

 茜の声に頷いたヨハンはそのまま全員の携帯端末の画像に資料を落とし込み始めた。

「法術の基礎理論の開発の歴史をちょろっとやってそこから現在の研究の流行なんかを語ることになりますが……」 

「別に勉強してーわけじゃねーんだ。さっくり説明してくれりゃーそれでいい」 

 ランの言葉にヨハンは静かに頷いた。

「まずこの生え際が危ないアンちゃんは工藤俊介博士。生理科学から法術研究に入った法術研究者としては変り種の人物だ」 

 ヨハンはそう言うと頭髪の後退した一見50過ぎにも見える男の写真を拡大する。良く見れば張りのある肌からその年齢が30位であることが誠にも分かった。

「法術の持つアストラル領域からエネルギーの物質変換を行って体細胞の復元を行う特性に注目した鬼才。5年前にその研究で東都生理学の博士号を取得した逸材と言うことになってる。まあ法術の特性なんかに言及したせいでお上の法術を無いものとして扱いたい事情から冷や飯を食わされて、理論研究の論文を東和国防軍に提出して研究費を稼いでいた時期もあったらしいから金が欲しい研究者の筆頭だな」 

 苦笑いを浮かべるヨハン。そして画面には工藤博士が軍に提出した論文の題名が次々とスクロールされていく。

「かなりの量なのか?これは」 

 ランの言葉にヨハンの苦笑いが真剣なものに変わる。

「まあ異常と言っていいんじゃないですかね。東和軍は別に法術研究の部署を秘密裏に組織していましたから。そこにこの御仁が呼ばれなかったのは論文の一部に致命的な欠陥があるんですが……かなり専門的な話になりますが?」 

「オメエの講釈なんか聞きたかねえよ。つまりこの御仁の論文の欠陥を東和軍の連中は知ってて次々と理論展開をさせてたわけだ。ひでえ話じゃねえか」 

 要のタレ目を一瞥した後、ヨハンは画面に女性研究者の写真を表示する。

「片桐芳子医学博士。こちらの方は大脳生理学が専門でしたが、遼州系の脳波の一部に特殊な作用がある。つまり法術を展開することが理論的に可能になると言う現象から法術研究に入った、いわば王道ともいえる研究履歴のある人ですな」 

 目つきは明らかにカメラをにらみつけているようにも見えたが、その目鼻立ちのはっきりした美女と呼べる姿を誠が見つめていると隣のアイシャが足を思い切り踏みしめてきた。

「うっ……痛!」 

 誠の口から漏れた悲鳴にざまあみろと言う表情を浮かべる要。それを一瞥した後ヨハンは話を続けた。

「当然、東和軍なんかの研究者もこう言う経歴の持ち主には緘口令を敷くわけですが、三年前にとある女性誌の働く女性を紹介すると言うような記事で、口が滑ったと言うか法術の存在をほのめかすような発言をしてそれが政府の逆鱗に触れましてね」 

「よくいるわね。口の災いで自爆する人」 

「アイシャ。オメエはかがみを見る必要がありそうだな」 

 カウラの一言に誠や要を見回すアイシャ。全員が大きく頷いているのを見て下を出しておどけて見せる。

「それからは常に監視をつけられていたと言う話を聞いていますよ。事実その発言から一度も学会に論文を発表していない。事実上干されたわけです」 

 ヨハンは一度あくびをした後、再びキーボードを叩き始める。

「そして最後が北和俊博士。一番の変り種と言えばこの人なんですがねえ」 

 そう言ったヨハンの口元に呆れたような笑いが漏れる。誠は画面に映る苦虫を噛み潰したような表情の眼鏡の男に目を移した。

「この顔は見たことあるぜ。テレビかなー……書店で見たのかねー」 

 首をひねるラン。誠もそう言われると記憶の底にこの渋い表情があることに気づいた。

「一時期テレビに出てましたね。怪しげな都市伝説ばかり紹介するバラエティー番組で解説を担当していたのは俺も知ってますよ」 

 島田の言葉にヨハンが頷く。

「覚えがいいな准尉。この人は東都大の大脳生理学研究室出身で博士号を取った後すぐにアメリカに留学。だがそこで何を吹き込まれたか知りませんが法術と神の奇跡の区別がつかなくなっちゃった人でしてね」 

 冷ややかな笑みが辺りを覆った。

「マッドサイエンティストってわけ?凄いわね。映画でもなんでもなく実物が見られるなんて!」 

「引っ付くなよ!」 

 歓喜するアイシャにもたれかかられて迷惑そうに避けるラン。誠も少しばかり興味深く目つきの悪い北博士の写真を見つめていた。そしてそのあまりにそのままな事実に苦笑いを浮かべてしまった。

「全人類は法術師、まあこのおっさんは『選ばれた力を持つ神の子』なんて呼んでますが、そいつに進化する過程にあるってことで本を出したり、怪しげな法力開発グッズを売り出したりして多額の借金を抱えていることで有名でしてね」 

「なんだよ、それじゃあコイツに決まりとでも言うのか?」 

 要の問いにヨハンはあいまいな笑みを浮かべる。

「でも全員が臨床と言うより理論の専門家のように見えるんですけど。今回の法術師の研究は明らかに臨床レベルの経験や知識が必要なんではなくて?」 

 じっと自分の端末を覗きこんでいた茜の言葉。それにアイシャとライラが大きく頷く。

「それなんですが、なんでこの三人を関係者としてあげたのには理由がありましてね」 

「軍や政府から利益より被害を多く受けた人物と言うのは共通点だな。一応神前の力を見てから私も調べたからな。この手の研究者で政府と密接な関係に無い人物を探せば当然あがる名前だ」 

 カウラの一言。隣で要が手を打ち、アイシャが納得したように頷く。

「つまりこの三人ならば調査に法術特捜の捜査権限が生かせると言うことですわね。法術特捜は法術の悪意的使用に関する容疑を立件できることを同盟司法局が認めれば職権にて必要な措置を取ることができる。でも司法局は軍や警察への配慮のためその関係者への捜査の認可が下りることはまず考えられない……同盟厚生局がらみの研究者はもうすでにライラさんが面会して回っているでしょうからね」 

 納得したように茜は頷くとすぐさま端末からコードを伸ばして部屋に据え置きの機器に接続した。要も頷き、カウラもヨハンの端末から茜の目の前の画面に視線を移す。

「どういうことなんですか?」 

 いま一つ状況を飲み込めないのは島田だった。それを見て生暖かい視線を送るヨハン。にらみ合う二人を見てランが口を開いた。

「今回の事件には間違いなく同盟厚生局や東和政府、東和軍のかかわりがあるってことは感じてるだろ?当然、彼らも危ない橋を渡っているという自覚があるわけだ。さらに遼南レンジャーが捜査に参加したことであちらさんも相当警戒している。特に実際にこれから使えると言う臨床系の技術者を囲っておこうと彼らが思っても不思議はねーだろ?」 

「じゃあ見逃せって言うんですか?何人が犠牲になったか分からないんですよ!それにこの技術が今後応用されたらどういうことになるか……」 

「正人!」 

 ランに詰め寄ろうとする島田をサラが押さえようとする。しかし、子供にしか見えないランは動じることなく島田を睨み返していた。

「だからだよ。今回は何がしかの糸口を見つけて研究組織の解体に持っていかなきゃならねーわけだ。シュペルターも三人の名前を挙げたということはこいつ等のうち一人は基礎理論……あの化け物を作る必要があると言い出したってことなんだろ?」 

 ランの言葉に静かにヨハンが頷く。

「この三人なら上の反対も無いだろうから容疑が固まれば身柄を確保できる。取調べが出来ればそこからこの事件の関係者の名前が分かってくる可能性がある」 

 落ち着いてつぶやくランを見て静かに島田は腰を下ろした。

「逆に言えばこの三人以外は身柄を押さえても無駄と言うことだな」 

 誠がそう言ってエメラルドグリーンの髪を掻き揚げているカウラを見た。どこへ向けていいのか分からないような怒りがその整った顔に浮かんでいるのを誠は見逃さなかった。

「食らいつくところが決まったんだ。誰が担当する?……ってアイシャ、目が怖ええよ!」 

 要の視線の先にはらんらんと瞳を輝かせるアイシャの姿があった。

「それでは工藤博士はわたくしとラーナが担当しますわ。そして北博士は……」 

 全員の視線がアイシャに向く。頭を掻いた後、アイシャはその手をサラに伸ばし、サラは島田の腕を掴む。

「その組み合わせ、やばそうだな。仕方ねえやアタシも出る」 

 ランの言葉に茜が頷いた。

「じゃあ残りはアタシとカウラに神前か」 

「悪の女幹部に誘惑されたら困るからね!」 

「アイシャ。頭腐ってるだろ?」 

 アイシャと要の会話に和やかな空気が漂う。それまで端末をいじっていた茜がようやくコードを抜いて振り返る。

「それぞれの端末にデータを転送しておきましたわ」 

 それを聞いて誠も自分の端末を開く。脳に直接データを転送していた要は少し目を閉じた後、複雑な表情を浮かべた。

「なるほどねえ、今回の実験が『近藤事件』を契機に一気に進んだ理由が良く分かったよ」 

「どういうことだ?」 

 カウラの声に要は口元を緩める。その瞳の先の茜が仕方が無いというように頷く。

「法術系の研究をしていた研究者の監視の多くは法術の存在が知られてしまった時点で中止の指示が出てていたはずですわ。それまで監視を受けて研究が進まずにいた研究者はあっちこっちから引っ張りだこ。その研究が合法的なものばかりではありませんし。それが今回の事件が示してくれた結果ですわね」 

「そう言うわけだ」 

 要が誠の襟首を引っ張って立ち上がらせる。カウラも鋭い視線を誠に投げる。

「じゃあ行ってきます」 

「がんばってね。そこの二人!誠ちゃんを襲っちゃ駄目よ!」 

「誰が襲うか!」 

 要はアイシャを怒鳴りつけるとそのままセキュリティーの厳重な冷蔵庫の扉を開いた。心配そうに実働部隊の詰め所から顔を出している楓とシャムの顔が見える。

「見世物じゃねえぞ!」 

 そう言いながら大またでその前を通る要。仕方が無いというようにカウラと誠もそれに続く。

「がんばってくださいね!お姉さま!」 

 クールな調子だが妙に色気を感じる楓の声にびくりと震える要。

「愛されているんだな。いいことじゃないか」 

 じっと要が出てくるのを待っていたであろう楓を見ながら皮肉を飛ばすカウラをにらみつけた要はそのままハンガーの階段を大きな足音をわざと立てながら下り始めた。

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