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第六話

 後日、事件は解決した。

 3Dモデルの原型となった頭蓋骨が古代のものではないと判明し、容疑者は研究室の面々に絞られた。

 ゼミ生の一人の机から、頭蓋骨だけがない人骨が複数見つかり、無事犯人逮捕となった。

 動機は、教授の隠蔽工作を知ってしまったことだった。

 山城教授は、発掘中に誤って出土した頭蓋骨を破損してしまい、それを隠蔽しようと代わりの遺体を用意する計画を立てていた。

 そのゼミ生はたまたまその計画を知ってしまい、これは考古学への冒涜だ! と義憤に駆られて犯行に及び、教授が用意した生首を使って映像を作ったのだという。

「だから早く俺に調べさせりゃよかったんだ」

 腹立だしそうに飯田くんが呟いた。

「まあ、こういう時もあるって」

 事件解決祝いに、たまには酒でもということになったが、飯田くんの顔は晴れない。

「あっ、ずるい! 二人とも先に始めちゃってますね!?」

 遅れて来た田島が慌ただしく席につく。

「お腹空いちゃいましたね! なに頼みましょう?」

「俺らはもう頼んでるから、お前は食べたいの頼め」

「はいっす!」

 メニューを開き、目を走らせた田島は、少し悩んだ末に店員さんに声をかけた。

「すみませーん。注文お願いします! ビール一つと、チーズとキムチと生ハムと……、あっ、ぬか漬け置いてある! 居酒屋でぬか漬けって珍しいですね! これもお願いします!」

 全部発酵食品だが、多分わざとではない。多分。

 我々は今回の事件を連想してしまうから、ちょっと避けたというのに。

 私と飯田くんは苦笑いして顔を見合わせた。

「やっぱ俺こいつ苦手」

「慣れれば結構愉快だよ」

 田島にもビールが届いたので、三人で乾杯する。かつん、と軽い音を立ててグラスがぶつかった。

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