妄想能力者と現実能力者の討伐戦 特別編 Ⅰ エピローグ
大学受験を終え、二人で校内を散歩しているとき。
ふと、ピエールにある質問をしたくなった。
「ねえ……、ちょっと聞いてもいい?ピエール」
「何々~もしかして、僕と付き合ってくれ~ってこと?」
「そうじゃないんだけど……、あの……、なんで私のことを、拾っていや、違うか……。保護?
してくれたの?」
「なんだ、そんな質問か。答えはね~。何だったけ?忘れちゃった」
「え~。だっだって、まだ小学生の私を家に入れる行為って、普通なら犯罪になりかねないのよ」
「その前に、学校の寮に侵入しちゃっている時点で、君が先に捕まっているから、僕はそこまで罪は問われないと思うよ」
「まぁ。」
「それに、君。僕が家に入れていなかったら、あそこからどこへ行って、何をしようと思った?結局、目的は陰光大学だったんでしょ。なら、困っている子に手を差し伸べて厚生させるっていうのも、大人の務めだよ」
「でも、ほとんど。あなたの収入は私によってほとんど無くなって」
「それも違うよ。流石に医師の収入は良い方だけど、チェヤオと精神科医の先生たちと混ざって、お 母さんと話したときに、生活費は向こうが出してくれたんだから」
「あ!」
希和子は今、気づいた。私は結局母親に迷惑をかけてばかりいることに。
「だから、僕が希和ちゃんから迷惑をかけたことは一度もないよ。だから、ここが第二の家だよ。この陰光大学がね」
「ふん」
「えっ、今の笑うところ?」
「なんか、ピエールがこの敷地の持ち主みたいで……、普通のおじさんなのに……」
「えー!でも、中学・高校の副校長の遠い親戚だから、実質ここは僕の家でしょ」
「それはなんか変な感じ。(絶対違う気がする)」
「とりあえず、今後もここにいるんでしょ。あっ!でも、そろそろ一人暮らししてもいいんじゃないの?」
「私、一応まだ未成年なので、ラッキースケベのピエール先生のところに居なきゃいけないんです」
「なんか、大学入学が決まってから、口がさらに悪くなったね。僕にはいいけど、初対面の人には気をつけてね。これ、保護者役からの注意だよ」
「安心してください。私、まだ人見知り直っていないので、言われなくても丁寧に対応しています」
「そう。なら良かった。いや、良かったのか?」
この二人の同棲とは言わない、同居生活はこれからも続く。