表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

妄想能力者と現実能力者の討伐戦 特別編 Ⅰ-Ⅰ

 ある日の朝。


 いつもと変わらず、脳神経外科(のうしんけいげか)医師のピエール・ド・アズナヴールは、希和子(きわこ)が作り置きしておいた食品をレンジで温めやフライパンでウインナーを焼いていた。ピエールは、希和子が事前に下ごしらえや調味料の調節をしているだけあって、食事作りの負担はかなり楽をしている。

 希和子が来るまでは、医師という仕事柄、栄養などには気を付けていたものの多忙(たぼう)なため不摂生(ふせっせい)な生活を送っていた。朝食は食べず、ほとんどをコンビニや昼食には食堂で済ませていた。

 なので、彼女との同居(どうきょ)生活を始めてからは、朝夕の食事に関して充実とした食事をすることができるようになった。


 最初に、同居を始めたときは全く心を開かなかった希和子だが、ピエールの料理下手を見てやむを得ず食事担当となり、それを通じて心を開くことができた。


「希和ちゃん」

「なんですか、そんな人にお金を要求するような目を送って。医者なんですから、いくら大学付属の医師でもある程度もらってるでしょ」

「お金のことじゃなくてさ~~。今日は何だと思う?」

「さぁ~、なんでしょう。学校の登校日?それとも、ピエールの出勤日?後は、ワープロ記念日ですか?」

「自分のことなのに、分からないの?」

「朝からイライラするので、顔を近づけるのをやめてください」

「はいはい。まぁ、今日はちょっと遅くなるからってことで。あっ!でも、夕飯の用意はいいからね」

「珍しいですね。ピエールにも、添い遂げる女でも出来ましたか」

「とりあえず、今日は楽しい日になるね」


 今日は一段(いちだん)不振(ふしん)に思うピエールの姿に希和子は何か(たくら)んでいるのではないかと思った。が、そんなことは自分には関係ないと言い聞かせ、学校へ登校した。

 希和子は陰光大学のリベラルアーツ学群(がくぐん)のため、付属陰光(いんこう)高校の北側に位置している。ピエールの勤務している陰光大学医学部付属病院も大学の西側に位置してる。両方とも歩いて十分から十五分歩いたところに位置しているため、途中までの道のりが同じだ。


「ピエール先生!!」

 後ろからピエールの名前を呼ぶ若い女性の声がした。

「おはようございます!希和ちゃんも」

「おっ、おはよう……、ございます……」

 希和子は小さい声ながらも挨拶をした。

 彼女はナタリア・フョードロヴナ。陰光大学大学院医学系研究科・前期課程(ぜんきかてい)の学生。ピエールとは研修で世話になった。その後も、試験などのアドバイスなどを求めて、ピエールの下へ生徒たちが後を絶たない。


「先生、論文でちょっと見てほしいところがあるので、後で見ていただけますか?」

「お昼だったらいいよ」

「ありがとうございます!!それじゃあ、また後で!希和ちゃんも、またね~」

 ナタリアは足早に大学へ向かった。


相駆(あいか)らわず、ピエールは無自覚にモテるわ」

「え~、そんなことないよ。僕は天涯独身(てんがいどくしん)(つらぬ)くから」

「それが、(おんな)たらしへの第一歩ね」

「まぁ、そんなこと言わずに、恋愛とか限らず、友達として付き合うっていうのはとても大事なことだよ。人見知りの傾向は仕方がないけど、もう少し人を信頼してもいいかもね」

 希和子は日常的にピエールをからかっているけれども、その言葉への反抗的な反応をすることはできなかった。


 大学の敷地内へ入ったところで二人は各所属の場所、教室へ向かった。






 希和子は人見知りのため、友達を作りにくい。なので、学校にいるときも基本的には一人っきりでいる。

 最初の授業から次の授業まではお昼休みをまたいだ空き時間が数時間ある。一時限の授業終了後に 普段いる図書館の最も静かな個別室にて、教養科目や三年次以降に学習予定の医学に関する本を読み漁っていた。

 お昼は同じ場所で手作りのお弁当を食べた。


 図書館での学習も終わり、数分だけ外の空気を吸うために、校内を散歩した。


 スマホの通知音が鳴った。

 時間もあるので、画面を見てみると、見覚(みおぼ)えのないメールアドレスに件名のないのメールに少々不審(ふしん)に思った。内容を見てみるとこう書かれていた。

(五時から指定の広場まで来て)

 下へスクロールをし、マップで詳しく場所を確認した。

 場所は医学部付属病院近くの公園だ。そこでは、飲食やバーベキューなどが楽しめる施設がある。(おく)(ぬし)が誰なのかは、だんだんと理解することができた。

 それは、ピエール・ド・アズナヴール。希和子の同居者。

 しかし、今朝もそうだが、一体何を目的にしているのか。お昼過ぎの今も希和子は分からない。


 次の授業も近いので、希和子は教室へ向かった。

本日も『妄想能力者と現実能力者の討伐戦 特別編 Ⅰ-Ⅰ』をご覧くださいましてありがとうございます。

いよいよ、という感じですね。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、あえてここでは言いません。

次回の展開としては、希和子ちゃんのことが分かる回があります。


過去を経た現在の希和子ちゃんをさらに好きになっていただければと思います。


次回の更新は明日を予定います。

詳細は、サイトやTwitterをご覧ください。


忽那和音ポータルサイト

https://waonkutsuna.wordpress.com/


Twitter

https://twitter.com/kutsuna_waon

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=791509356&sツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ