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身代わりの人形

作者: 椅稲滴



 霧が立ち込めているのか

 人が霧に立ち込められているのか

 間断なく露が落ち

 靴の布を濡らしている


  冷たさが頬を食い破り

  おそらく

  その甘さに肢が震えた


 レコードは鳴り続けている


 支えを失ってどこかへ

 ぼくと 村だった場所から

 何かを奪い去っていく


 レコードは回り続けている


 それはもりのおとだとおもう

  それはちいさなこどものこえのようだった

   それをおもったのはじぶんのこえだ

 ここでは何もかもがまわっているので

    それは きりがいわせたものであり

        ぼくがいったものでなく

        ぼくにぼくのじゆうはなかった! かんじょうだ!


 ぼくはぼくのものではなかった


 レコードは空回りして嫌な音をた


 身体は森の水に覆われ今にも溶けだそうとしている


 帰るべき家だろうか?

 アスファルトの先

 霧の中に 見えて消えた

 干され続けたままの洗濯物が

 昏い空虚な部屋が

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― 新着の感想 ―
[良い点] いいですね。この短い中に容れ物から溢れ出すほどの味わいが詰まってる感じ。何度も読み返してしまいます。 田村隆一っぽくもありながら、言葉に支配されて自然の声がわからなくなった人間……ではなく…
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