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第八話 町に到着【開示の儀】!暴走令嬢?知らない子なので帰って下さい

次で導入編が終わりかな?お楽しみ下さい。間に合えば今日の夜に上げるかも。

 故郷のカートス村を出立してから早くも一週間ちょっと。


 時には野宿をしたり、道中の村で一泊させてもらったりしつつ、カイン達の旅は順調に続いていた。

 そんな中、約一名のテンションがうなぎ上りになっていた。


 「あぁ!私の可愛い可愛いチロル! 貴女は最高ですわぁぁあ!!」

 魔力操作の鍛錬の末、カタリナさんは傍にずっと居た風の精霊である女の子を認識できるようになった。


 最初は旅の初日同様、魔力操作の鍛錬を行っていたのだが、ある日突然大声をあげて混乱していた。


 「なんですのこの可愛い小人は!? 一体いつからここに!?」

 「あー、ついにカタリナさんも精霊を認識できるようになったんだね、おめでとう」


 そう告げると、パニックになっていたのが嘘のようにピタリと動きを止める。

 その後、ギギギッと壊れた人形のように僕に視線を合わせ、怒涛の質問ラッシュが始まった。

 僕はなんとかカタリナさんを宥め、説明を始めた。


 曰く、僕達が初めて顔を合わせた時から肩の上に居た。

 曰く、ずっとカタリナを見守っていた。

 曰く、風属性の持ち主である。

 曰く、精霊と魔力譲渡の契約を行えばいずれ対話も出来るようになる。

 

 と、いった内容を教えてあげると、直ぐにでも! と精霊契約を行った。

 当然、どこでこんな知識を得たのかと問いただされたが、全部シャルからの受け売りなので適当にごまかしておいた。

 お兄さんであるサーフェイスさんには火の精霊が傍にいる事も教えてあげると、お揃いなのが嬉しかったのか、増々テンションが上がり感情が暴走状態になっていた。


 なお、僕とカタリナさんにしか精霊は認識できない為、二人だけの秘密を作られたとベロニカの機嫌が急速下降したのは言うまでもない。

 いつかベロニカにも精霊が寄ってきてくれる事を祈りつつ、必死に宥めた。


 カタリナさん曰く、王国魔導士達の間でも精霊の存在は課題として挙がっていたが、視認できる人がいない為、曖昧で御伽噺のような存在だったという。。

 この国、アインザート王国ではエルフやドワーフといった亜人族を田舎者と見下す傾向にあり、獣人に至っては愛玩具(ペット)や奴隷といった扱いが主なんだそうだ。


 そうとは知らず、つい亜人族の人達なら精霊と親和性が高いんですよねーっと語った時のカタリナさんの表情といったらもう……。

 精霊契約を行い、風の精霊改めチロル名付けられた少女と対話が可能となり、僕の言葉が真実なのかをカタリナさんが問うと――


 『そうだよー。人間さんは色んなマナが混じり合っていて気持ち悪いのー。森とか山とかに住む彼等っを好む精霊は多いよ~』

 と。いう返答が帰ってきてノックアウトされていた。チロルが言うマナとは魔力の事である。


 密かにチロルにシャルの事を尋ねてみると、恐れ多くて勘弁して下さいと素で謝れてしまった。

 精霊を認知できるようになったカタリナさんでもサーフェイスさん同様、シャルを見る事はできなかったので、いよいよもってシャルが謎の精霊という疑念は深まるばかりである。

 まぁ、幼少時代からずっと一緒にいるし、不安は感じていないんだけど。


 チロルと契約を結んで以降のカタリナさんは、元々相性がよかった風魔法を更に磨き続け、ついには中規模の竜巻まで起こせるようになっていた。


 「こ、これがカタリナ様の実力! 素晴らしいですわ!」

 「これは学院に戻ったら学年でも上位を狙えるでは!」

 「くっ……悔しいがカタリナ嬢の努力は認めざるを得ないか」


 「貴族ってすげえんだな。僅かの短期間でここまで実力を伸ばすなんてなあ」

 「ああ、これ王都に戻ってあいつに教えたら荒れるんじゃねえか?」


 上から順にアリーナさん、サブリナさん、リーベさん。

 別に離れた所でジェームズさんとロバートさんが遠い目をして会話をしている。

 同行している子供三人と御者の人達はカタリナを壁にしてブルブルと震えて固まって居る。


 おーほっほっほっ!と高笑いを続ける彼女を抑えてくれとベテランの二人に頼まれたが、僕だってあの状態のカタリナさんは面倒なので馬車で寝ていますね~とスルーした。

 暴走令嬢? 知らない子なので帰って下さい。こら同郷の三人! 馬車をドンドン叩くんじゃあない! 僕は寝るんだ!


 さて、カタリナさんのテンション暴走にも見慣れて早数日。ついに目的の町が見えてきた。

 目的地が見え始めたら早いもので、あっという間に門前にまで辿り着いた。


 「止まれ、身分証明になる物を開示してくれ。見た所、【開示の儀】を受けにきた村人に見えるが」

 「ああ、その通りだ。ほれ、ギルドカードと依頼書の写しだ」


 そう言って先頭で護衛していたロバートさんが門番の男性に何かを渡している。


 「……なるほど、学院生の護衛に村人の護衛か。大変だったようだな」

 「まあな、けど得られるもんも沢山あったから全然苦じゃなかったぜ」


 そう言って問題なく許可され、僕達は町へと進んだ。


 「ようこそ、イースティンの町へ! 楽しんで行ってくれ村の子供達」

 「「「「「はいっ!」」」」」


 初めての町という事もあり、年甲斐もなくわくわくしている僕がいた。

 元々好奇心が強いベロニカに至ってはキラキラと輝いた目をしていた。


 「おーっし、それじゃあまずは宿を取って休息にしよう」

 「この町で護衛組の俺達は一度ここで泊まった事もある。貴族の方々も例の宿で宜しいですか?」


 ジェームズさんとロバートさんの言葉に特に反論はないのか貴族である四人は同時に頷く。

 右も左も分からない僕達カートス村の面々は黙って彼等に着いて行く。


 暫くして、ひと際立派な建物に着き、ジェームズさんが一足先に建物に入り、手続きを済ませ戻って来る。

 「無事に部屋も取れた。それぞれの部屋を割り振るから説明を受けたら各々の荷物を持って移動。村の子供達は五人で一部屋だ。疲れただろうからゆっくり休んでくれ。貴族の皆様はお手数ですが、冒険者ギルドへ出向き、今回の依頼達成の報告へ向かいましょう」


 「御者の二人は宿の隣にある馬車置き場に停めてくれていいそうだ。では、解散!」

 

 部屋の説明と宿のルールを教えられ、カートス村の五人は部屋へと向かい、疲れが溜まっていたせいか、適当に寝るベッドを決めて横になると全員が泥のように眠った。

 


 こうして、僕達にとって初めての二週間の旅は終わりを迎えた。


♦♢♦♢


 町に到着してから一週間後。僕達は町の教会に集められ、【開示の儀】が始まるのを待っていた。


 護衛として二週間共に過ごした面々は、王都にある王立学院に戻る為既に出立しており、この町には既にいない。

 貴族である四人にはいつか王都に必ず来いと念を押されて別れる事になった。

 ベテランの二人も拠点は王都にあるらしく、王都に来た時には他のパーティメンバーを紹介したいから是非立ち寄ってくれと互いに握手を交わして別れた。


 一番印象的だったのが、旅の途中ずっと仲が悪いと思っていたベロニカとカタリナさんが抱き合って別れを惜しんでいたのが意外だった。

 一体どういった心境の変化が? とベロニカに聞いてみると、「同じ想いを抱いた者同士の絆よ。カインには分からないあろうけどね。」と断言されてしまった。


 意味が分からないので咄嗟にシャルに分かるか聞いてみると

 『ん? 分かるに決まってるじゃない。気づいていないのはカインだけだよ~。――――最も、一番を譲る気は全くないけどね~』


 と悪戯っぽい笑顔を零していたが、僕にはちんぷんかんぷんだった。

 暫くして、教会の入り口が開き、中から豪華なローブに身を纏った老人が現れた。

 

 「偉大なる女神フロティア様に祝福を受ける資格を持つ若き者達よ、よくぞここイースティンの教会まで遥々参られた。私はこの教会の管理を任されている司祭、アーロンと申す者だ。此度の【開示の儀】の進行をさせて頂く。では順に並び、名を呼ばれた者から前に出るように」


 そう言い終わると、中からアーロン司祭と似た格好の女性達が人の流れを整理し始めた。

 僕達五人も指示に従い、並ぶ事にする。


 「【カートス村、ベロニカ】前へ!」

 「はいっ!」


 それなりの人数が【開示の儀】を受け終わり、虚空を見つめて一喜一憂している子供達がいる。恐らくステータスを見ているのだろう。


 「次、【カートス村、カイン】前へ!」

 「はい」


 いよいよ、僕の番が回って来た。

 指示通り前へ進むと、大人でも抱えるようなサイズの水晶があり、その奥にロバート司祭が立っていた。

 「よくぞ参られた。では、これより【開示の儀】を行う。」


 『慈悲深く、我等を見守り下さる女神フロティアよ。此度ここに新たに成人を迎えた若葉に偉大なる汝の祝福を! この者に秘められし扉の鍵を今、此処へ!』


 ロバート司祭が詠唱を行うと、目の前の水晶が光り輝き、徐々に収束して光の鍵になった。


 「さあ、カインよ。女神フロティア様がお主の成人をお認めになられた。そこに見えるはお主にしか扱えぬ扉の鍵。鍵を使い、扉を自らの手で開く事で【開示の儀】は完了する。さあ、新たな扉を開くが良い」

 そう言われ、僕は光り輝く鍵を手に取ると今まで何もなかった所に小窓程の小さな扉が現れた。

 僕は扉に鍵を差し込み捻ると、頭に声が響いた。


 『ステータスの封印が解かれました』


 唖然としていると、ロバート司祭が話しかけて来た。


 「どうやら世界の声を聞けたようじゃな。これにて【開示の儀】は終了じゃ。自身のステータスを早くに確認したいであろうが、まだ順番を待つ者達が多くいる。確認は教会の外で行ってくれ」


 正気に戻った僕は慌てて教会の入り口へと向かった。外に出るとベロニカが虚空を眺めてにやにやと笑っていた。どうやらあの様子だと望む結果が表示されているんだろう。僕も自身のステータスを確認するべく、短い詠唱を唱える。


 『ステータス・オープン』


名前:カイン Lv:■■■


職業:■■■


HP:84,000/84,000

MP:9640/9640


筋力:3076

防御:2587

魔力:3090

敏捷:2940

器用:3821

 運: 190


スキル:剣術10、魔力操作10、詠唱破棄、魔力高速回復、体力高速回復、全属性適正、料理7、裁縫5、生活魔法


称号:■■■の寵愛、女神の加護、英雄の師、魔王の戦友、厄災吸引、女難の相、鈍感



 ――――なにこれ?

読んで頂きありがとうございます。


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少しずつブックマークや評価が増え、毎日テンション上がりっぱなしです。

拙い作品ですがこれからもよろしくお願いします。


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