一話 トラックと白
思い付きで書き始めました。
一話であらすじより進んでないのは勘弁してください。すぐに書きますので。
なんか一話はシリアス風味になってますが、たぶんコメディ路線になっていくので適当な気持ちで読んでもらえると幸いです。
「ふわぁ・・・。昨日も遅くまでVtuberの配信見ちまったなぁ・・・。」
VtuberというのはVirtual Youtuberの略だ。あんまり知らない人でもキ〇ナアイとかなら聞いたことあるかな?
とにかく俺は今Vtuberにハマっている。今ではVtuberも7000人を超えて毎日配信を追うのが大変だが、睡眠時間を削って視聴しているのだ。
これも日中は学校で寝てもいい(よくない)学生の特権だろう。
「まったく、青い空に明るい陽が眩しいぜ・・・。さすが7月、朝なのにめちゃくちゃ暑いな。」
寝不足だった。いつもならもっと俊敏に動けたかもしれない
暑い夏だった。もう少し涼しければもっと頭がはっきりしてたかもしれない
しかし、そんなIFは現実には存在しない。いつだって起きたことが事実としてあるだけだ。
つまり、俺は、歩道に乗り上げてきたトラックに今から轢かれるのだ。
ごくごく一般的な白い軽トラが、制御のきいていない動きをしながらこちらに向かってくる。
不思議と軽トラの動きがスローモーションに感じ、運転席に座りながら眠る男がはっきりと見えた。その光景を見た瞬間、俺はこれが現実で、これから撥ねられることを完全に悟った。
17年間の人生が一気に脳裏に蘇る。サブカルチャーが好きな人生だった。ゲームと漫画とアニメとVtuberとなろうが好きな人生だった。
幼稚園、遊戯王とスマブラに初めて触れた。小学校、友達と延々とゲームをしてた。PS3を手に入れてハイクオリティのゲームに感動した。毎週のジャンプが楽しみだった。中学校に入るとギャルゲーを、高校ではVtubrを知った。沼が深かった。
いやぁ今期の夏アニメは豊作だったのになぁ
あ、今日推しと推しのコラボだったなぁ・・・みたかった
あーあ、異世界転生しないかn---------------------------------
◆◆◆◆
頭が痛い・・・。気が付いてまず思ったのはそれだった。
頭だけではない、体の節々が痛い
そう、これはまるで、長時間寝た後のような・・・
そこまで考えて俺の思考は現実へと向けられた。
俺は死んだはずだ。死ぬ直前のあの光景は覚えている。あのスピードでトラックに突っ込まれて死なないわけがない。だが生きている。この鼓動、体の熱さ、痛み、どれもが本物だと俺の体が訴えている。
仰向けで横になっていた体を持ち上げ、辺りを見渡す。
天井が白い。まあ病院とかはそういうこともあるだろう。
だが壁も床も何もかもが白い。極めつけは、部屋になにもないことだ。
いや、何もないわけではない。あまりの白さに一瞬気づかなかったが、部屋の中央に真っ白な机と椅子、そしてデスクトップ型のPCがおいてある。
一体どういう状況だ?もし仮に轢かれて生きていたとしても全くの無傷はおかしい。この空間ももっとおかしい。
八畳くらいの真っ白で、窓も何もない部屋にぽつんとPCが置いてあるこの状況。
誘拐だろうか?誰が?なんのために?わけがわからない
・・・ダメだ、全くわからない。何もかもがわからない。やはり俺は死んだのだろうか。
ここは死後の世界なのだろうか。あまりの非現実さに痛む頭がくらくらする。
俺は少しでもこの状況を打破しようと壁際のPCに近づいた。近づいてみてその異様さがわかるようになってくる。
まずコンセントがない。同様にPCもなにひとつコードが繋がっていない。電力はどこから供給しているのだろうか?
次に、液晶もキーボードも白いのだが、その白さが尋常じゃない。物としての白さというより、ある種神聖さを感じるような、まさに純白の二文字が相応しい白さだ。その上液晶の待機画面も黒ではなく白ときた。液晶に触れてみてもその白さは変化しない。
何なんだここは一体・・・俺は何に巻き込まれたんだよ・・・
もうだめなのかな、死ぬのかな俺、あれ死んでるんだっけ、もうわかんねえや・・・
混乱が極まって膝をついてうなだれる。処理限界を超えた状況に脳が考えることを放棄し始めた。
ここは地獄なのだろうか。何もない部屋で時間を過ごすだけの退屈で廃人になる地獄。
つらいかえりたいゲームしたいアニメみたい
カタ カタカタ カタカタカタカタ
突然、わざとらしいタイピング音が耳を打つ。ハッとして音のする方を向く。
見ると真っ白な液晶に黒い字で短文が表示されている
『おはようございます』
読んでいただきありがとうございました。
一話でなんですが、よければ評価、ブクマ、感想等よろしくお願いします。