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街道に放り出されて



 眼が覚めると青空があった。

知らない天井の方が安心できたのにな・・・


 さてと、・・・ここは一体どこだ?


 足元にある石畳、左に広がる草原右に聳える木々・・・見覚えのない光景だ。

今時 石畳と言ったら古都でしか拝めない、しかも僕は梓を逃す為にナイフで

刺され、出血多量で死んだハズだ。奇跡的に通りがかった人が救急車を呼んでも

目が覚めたときは病院じゃないと辻褄が合わない・・・・・・


 となると、消去法で僕の状況を説明できる最悪の真実がある。


 異世界転移・・・・・・


それしか思いつかないないな、なにせさっきの転移処理だの勇気だの明らかに

超常現象の匂いがプンプンする。中学の頃も妖怪とか超能力とかでヤバイ連中と

やり合ってたけど今回はいかんせん どうにもならない・・・


 僕が非日常の中で生き残ってこれたのは人脈あってこそだからだ。


 人と人を繋ぐアドバイザーとしての役割をこなし、僕以外の主人公って

感じの人達と繋がりを持つ事で僕は自分の存在価値を上げることできた。

更に派閥を構築し、その中核を担うことで自分自身への接触を

ある種のタブーとし、身の安全を確保してきた。


 だが、今回はその人脈が全くない・・・・・


ゼロからのスタートは僕が最も不得手とするフィールド、


 だったら()の出番かな?


僕は状況に応じて一人称を使い分ける。これは非日常、裏の世界と関わる内に

身についた処世術の一環だ 演劇部にいたこともあってか

この方法は僕にしっくり馴染んできた。


 それ故に多重人格とも呼べる程の変貌ぶりを見せると知り合いによく言われる。

俺の役割は状況を覆すこと、つまり危険への対処だ。

戦闘とか裏の連中との交渉に使う。


 まあ、役は他にもあるけど今はそれらの演じ時じゃないし。


「よしっ、移動し・・・」


 あれっ?


 声が高いような、いや それどころか体に違和感が・・・・・・

あれ・・・・・・ナイ。

 何がとは言わない、男の子の象さんだ。


「お 女になってるぅ〜〜!」


 叫んだ それはもう叫んだ。

人生で二番目位には叫んだ ちなみに一番は姉さんの友達に襲われそうになった時

だったりする。


「・・・あ!」


 もしかして、


 さっきの〈叡智持つ救い女〉に適応する為一部肉体の構造を変化しました って

この事なのか。最悪だ、僕の僕のムスコが、まだ未使用だったのに・・・


「悲嘆にくれてる場合じゃない・・・か」


 さてと、現状確認しておかないと。


 今の僕は街道に一人、持ち物は・・・学ラン(ぶかぶか)、白衣(塾の先生用)

あと木刀か。余談だが白衣は塾長が餞別にとの事で頂いた物だ。

チビだから貫禄出した方がいいだろうと笑いながら言っていた。

事実だったので特に何もしなかったけど・・・思い出したら腹が立ってきた。


 しっかし、不思議だな服は破けてないし、血も付いてないし

まあ今 気にする事じゃないし。


 ふぅ、今後の方針だけど移動するとしても街に行くのは危険だな。

手持ちの装備が心許ない、姉さんが言っていたけど・・・

「もし異世界に行ったら先ず金を手に入れておかないけないんだよでも珍品とか

 手持ちの物を売ったらダメだからね、後々面倒ごとの種になるからね。」

と言っていた。

正直なところ姉さんの戯言が役に立つ日がやってくるとは思わなかった

人生何が起こるか分からないもんだな。


 てな訳で、とりあえずは森に行こう。御誂え向きに街道の側に森があるし。

近場を誰か通りかかったところを付いて行こう。 


それまではこの森のフィードワークと洒落込みますか。



 そして2時間程の時が過ぎた頃、森の奥に小屋を発見した。

一見すると平々凡々とした小屋だが、おかしな点が複数存在する。


一つ目に汚れが無さすぎる。

 森の中にしては奇妙と言える程に清潔で汚れがない、そのくせして人の気配が

これっぽっちもない。


二つ目は小屋の造りだ。

 家の小屋にそっくり過ぎ、てかほぼ同じである。

家の小屋は親父のお手製で一点物、似た小屋があることはあり得ない。


 以上の理由でこの小屋はとてつもなく怪しい。

警戒レベルを引き上げて小屋に近づいていく。情報が不足している中で

この小屋を調べない理由は無い。


 そっとドアを開けて、中を検める。

そこにあったのは緑色のコートと指揮者が使う様な指揮棒(タクト)だった。

コートはハンガーに掛けられており、指揮棒は専用の鞘と思わしき物に

収納されていた。更に下に目を向けるとコートのポケットに手紙が入っていた。


 悪いと思っても致し方ない事だと割り切って覗く事にした。

しかし、予想とは違い手紙は僕に宛てられたものだった。

驚くべき事にその差出人は()()()()()()()()()だった。


尚、手紙の内容は以下の通りだった。


拝啓、親愛なる弟へ

ヤッホー、元気かい ならちゃんお姉ちゃんは元気だと思ってるよ。

なんせ私の弟だからねー。さてさて、冗談はここまでにして本題に入ろう。

実はお姉ちゃんは生きていたんだよ、この異世界で

ざっくり言えば異世界転移ってやつだよ。

昔 説明したはずだから細かいことは省かせてもらうね。

さて、お姉ちゃんのことは説明したから ならちゃんの現状を説明してあげよう。

薄々勘付いているだろうけど、ならちゃんは異世界来てるよ。

それもとびっきりの特典付きでね。

突然だけど、この世界にはスキルと魔法が存在するんだ。

特にこと転移者には強力なスキルが与えられる。

その仕組みは目下調査中だけど恐らくは上位の存在が関連した

世界間の法則干渉の延長線上に起こってる事だと思う。

まあ、超能力に目覚めたとでも思ってくれればいいよ。

話を変えるけど、実はお姉ちゃんはある事情で身動きが取れない。

そこでならちゃんに頼みがある。

この世界の国々の文明レベルの上昇を図って欲しい。

これには相当複雑な事情があって説明する訳にはいかないんだ。

それはお姉ちゃんが何でならちゃんが来る事を知っていたのかにも繋がる事なの。

だから、今は何も聞かずにお願いを聞いて欲しいの。

時が来れば自ずと情報が 開示されていくから。

それに問題が全て解決したら元の世界に戻れるかもしれないの。

それじゃあ お願いね私の可愛い弟




追伸、今後の活動に役立つよう魔法の杖とコートを用意しておきました。

   ポケットにはお金と魔法の使い方を書いた手帳を入れてます。






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