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チーム説明


 食事をし終わった九麗亜たちは、宿に戻り、お風呂を狩りて念入りに体を洗った。特にカリアとクルスは、九麗亜が丁寧に洗っていた。その途中、二人の嬌声が上がったのはご愛嬌。


 4人は、部屋に戻って楽な姿でベッドに腰かけていた。


「さて、明日からは、カリアとクルスも一緒に依頼を受けましょう。それで、今後の方針を決めるわ。」


 九麗亜が、そう言ってベッドの真ん中に寝転がる。


「わかりました。手ごろな依頼があればいいですが。」


 と、ミーリンもその横に転がる。


「私は、魔物と戦うのは初めてだな。ちょっと緊張しているよ。」


 カリアが、ミーリンとは反対側の九麗亜の横に寝転がり、


「私も、他種族を受け入れてくれたご主人様の役に立ちたいです。」


 と、クルスがミーリンの横に転がる。そして、4人は夢の世界に旅だった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「まったく、この子たちどう寝たらこんな感じになるのかしら?」


 翌朝、九麗亜は少し寝苦しくて目を覚ました。そして周囲を確認してその理由を知った。

 まず、ミーリンが彼女の右腕と右足に手足を絡ませている。

 そしてカリアが、その反対の左側を占領し、極めつけに、クルスが、どうやってミーリンを超えてきたのかわからないが、九麗亜の上にかぶさっている形になっていた。


「......、こら~!いいかげん起きなさい!!」


 九麗亜は、大きな声を出して、自身に引っ付いている奴隷たちを引き離した。その拍子に3人とも起きて、


「っひゃ!?」


「なっ、何だ!?」


「んにゃ!?」


 と、変な声を出した。


「あなたたち、さっさと起きなさいな。さ、クランに行くわよ。準備しましょ。」


 九麗亜は、自分の装備を身に着けていく。それを見た奴隷たちも自分の装備を手に取り装備していく。全員が準備できたら、


「よし、じゃあ行くわよ。」


 九麗亜を先頭に、クラン支部に向かっていく。道中、朝食を食べていなかったので、どこか手頃の屋台を探していると、


「あら、あの屋台は、みんなあそこで少し食べましょ。」


 と、九麗亜はある屋台を見つけ、3人を引き連れて近づいていく。


「おはようございます。お久しぶりですね。」


 と、九麗亜は、その屋台の店主に声をかける。


「はい、お、九麗亜さんじゃないですか。1週間ぶりですね。」


 その店主は、九麗亜とミーリンが初めて『ソラールの町』に来た時に、立ち寄った串焼きの屋台だった。九麗亜とミーリンは、その後もちょくちょく利用していたため、店主に顔を覚えられてしまった。

 

「ええ、それで、私たちまだ朝食食べてなくて、何か軽いものあります?」


「そうだな。女性だけみたいだし、こんなのはどうだ?

 『コケの胸肉』を『バジイルの葉』で蒸し焼きにしたんだけど、新作なんだわ。試食した感じは悪くなかったんだが、どうだ?食ってみるか?試食扱いだから無料でいいぜ。」


 と、串焼きを4本差しだしてきた。串焼きとはいえ、結構なボリュームがあり、1本か2本食べれば朝食としては十分の量だった。


「いいんですか?じゃあお言葉に甘えて。」


 九麗亜は、串を受け取り食べた。若干、肉汁が染み出たが、脂っこくなくさっぱりしている。また、『バジイルの葉』で蒸しているため、ハーブの香ばしい風味がより味を引き立てている。


「さっぱりしていて美味しいわ。朝食にはいいわね。でも、夜や、仕事終わりでがっつり食べたい人なんかには向かないかも。女性客を焦点に合わせるならいい商品だと思うわ。」


 九麗亜の感想を聞いた主人は、メモ用紙を取り出しメモを取っている。


「おお、いい意見だ。ありがとう。ほら、お連れさんたちも食ってくれ。何ならもう一本つけてやる。」


 と、主人がせかすので、ミーリンたちも串焼きを食べる。3人とも、うっとりとした表情を見せる。


「これは美味しいですね。エルフの私でも難なく食べれます。お肉が苦手な方でも食べやすいかと思います。」


「これを丈夫な葉で包めば、兵量としてもいいんじゃないか?探索者や、騎士にも売りやすいかもな。」


「私は、もう少し脂身がほしいかもですね。」


 と、クルス以外は好印象のようだった。もっとも、クルスは『ヴァンパイア』であるため、少々肉食気味だからだろう。店主は、それぞれの意見をメモ用紙にまとめていく。


「わかった。貴重な意見ありがとうよ。これからも、新作ができたら試食頼むわ。」


 九麗亜たちは、渡された串焼きを食べ終わると店主に別れを告げ、クラン支部に向かった。クラン支部は、今から私語をしようという者たちであふれていた。


「さて、今日はどんな依頼をしようかしら。戦闘と採取を一つずつ行いましょうか。」


 依頼掲示板の依頼票を眺めながら、九麗亜はメンバーに話しかける。


「そうですね。って、忘れてました!二人の探索者登録をしなくては。」


「あ、すっかり忘れていたわ。カリア、クルス行くわよ。クラン登録をしましょう。」


 九麗亜はカリアとクルスを連れて、カウンターに向かう。すると、エリアと目があい、ちょうど、一つ空いていたのでそこに案内される。


「いらっしゃいませ。九麗亜さん、ミーリンさん。本日のご用件は何でしょうか?」


「ええ、今日は、この二人の探索者登録をお願いしたいんです。」


 九麗亜はそう言って、カリアとクルスを前に押し出した。


「はい、新規登録ですね。では、こちらの用紙に必要事項を記入ください。あと、九麗亜さん、この二人ともパーティーを組まれるんですよね?」


「ええ、そのつもりですが。」


「では、パーティーメンバー更新のため、こちらに必要事項を記入してください。4人以上のパーティーには、いろいろ制約が生まれてくるんですよ。」


「というと?」


 エリアの言葉に、九麗亜は聞き返した。すると、エリアは引き出しからひもでまとめられた書類を取り出して、


「えっと、まずは、4人以上のパーティーは、『チーム』と呼ばれています。そして

 ・『チーム』は、一人のリーダーと、3人以上のメンバーが必要。

 ・『チーム』では、通常のランクとは別に『チームランク』が与えられる。

 ・『チームランク』は、個人のランクとは関係なく、そのチームでの評価となる。

 ・『チームランク』は、S、A、B、C、D、E、F、G、ランクで表される。

 ・『チーム』で依頼に挑む際、『チームランク』より二つ下のランクまでしか受注できない。

 ・『チーム』で依頼を受けても、個人で依頼を受けても、報酬に変化はない。

 ・『チーム』間のいざこざは、リーダーおよび、代表者の決闘で行われる。

 ・『チーム』メンバーを変更する際、その都度、クランに報告する。その際、どのクラン支部でも

  届け出は可能。

 ・『チーム』メンバーの誰かが、クラン規約に違反した場合、『チーム』での連帯責任となる。


 と、こんな感じですね。個人同士が組むには、あまりお勧めしませんが、奴隷と組むなら結構おすすめかと思いますが。」


「どうしてです?あまり変わらない。むしろ、制約が増えてるような気がしますが?」


 エリアの説明に、九麗亜は首をかしげる。


「まずは、メンバーの一人がランクDで、もう一人がFランクだとします。しかし、『チームランク』がDなら、Fランクのメンバーも、依頼に参加できるんです。それに、大型魔物の討伐以来だと、ほとんどの場合、同ランクの探索者を募集しないといけませんが、『チーム』なら、その場ですぐ受注が可能です。それから、これが一番の目玉なのですが、」


 と、エリアは、呼吸を一つ置いて、


「『チーム』を結成したら、初回だけですが、メンバー間で、念話を使用できるようになるアクセサリーを無料で配布してるんです。もちろん、新メンバーが増えるたび、その人数分配布しますが。だから、いつも一緒にいるような人たちで組むのなら、結構おすすめなんですよ。」


 と、エリアはどや顔で言い切った。





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