カリアの装備、クルスの装備
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
緑風鉱の直剣
風属性を帯びた片手直剣。
AT +80
風属性威力 +40
1700ルクス
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
重魔のガントレット
重魔鉱を加工して作られたガントレット
AT +120
1800ルクス
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
となっていた。
「こちらの『緑風鉱の剣』は、素材に『緑風鉱』を使用しており、攻撃時に、風属性のダメージを与えます。また、斬撃を繰り出す際に魔力を籠めることで、風の刃を飛ばしたり、風圧で敵の動きを抑制したりできます。
そして、こちらの『重魔のガントレット』は、『重魔鉱』と呼ばれる大変重たい鉱石を使用しており、攻撃のインパクトを重たくする特徴があります。予算のうちでは、これくらいがベストかと思いますが?」
店員が、確認してくる。九麗亜は、二人に試しに装備してみてといい、しばらく二人は剣やガントレットを素振りしたり、シャドーボクシングみたいなことをして、装備の感触を確かめていた。やがて二人は、九麗亜のもとに戻る。
「あら、どうだったかしら?装備の感触は?」
九麗亜は、二人に問いかける。すると二人は、
「ああ、この剣はとてもいい。魔力を流すだけで、近距離、中距離戦闘がだいぶ楽になる。」
「このガントレットもとっても使いやすいです。振り降ろしたり、不利抜く瞬間だけ重たくなるので、力を乗せやすいですね。」
と、新しい武器を絶賛している。
「気に入っていただけて良かったです。二つ合わせて、3000ルクスに負けておきますね。」
と、やり取りを見ていた従業員が言ってくれた。
「いいんですか?500ルクスもまけて。」
「いいんですよ。自分の店の武器を喜んで買ってくれる。そんなお客様は大事にしたいですからね。今後とも、ご贔屓にしてくださいね。」
店員は笑顔で答えてくれた。九麗亜は、代金を支払い装備を二人に渡す。カリア、クルスはその場で装備し、
「「ご主人様、ありがとうございます。」」
と、九麗亜に礼を述べるのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その後、4人は宿屋『癒しの風亭』に戻ってきていた。
「さて、今日はもう遅いし、ご飯食べて、お風呂に入って寝ましょう。」
「そうですね。では、隣の酒場に行きましょう。」
九麗亜とミーリンは、最低限の装備だけ身に着け、残りは外してラフな格好になっている。だが、カリアとクルスの二人は、どのように動いていいのかわからいようだった。
「えっと、二人とも装備を外して、さっき買ったラフな格好になりなさい。」
九麗亜に言われ、やっと動き出した二人。しかし、
「あの、ご主人様?私たちは、その酒場で残飯でも貰ってきますので、どうぞ二人で食事してきてください。」
と、クルスはおずおずといった感じで言う。しかし、
「だめよ。さっきも言ったけど、あなたたちも、私たちと同じようにご飯を食べて、お風呂に入って、ベッドで寝るの。あなたたちには、一緒にクランの依頼を受けてもらわないといけないんだから、体が資本なのよ。それに、私がそういうの嫌いなのよ。」
九麗亜がそういうと、クルスは、困ったような笑みを浮かべた。そこに、
「クルス、カリア。私も最初は戸惑ったけど、こういう人なんです。九麗亜ご主人様は。だから、喜んでおいしいものを食べましょう。そのほうが、ご主人様も喜んでくれるわ。」
と、ミーリンが助け船を出し、何とか酒場に向かうことができた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
酒場の扉を開けると、いつものようにアルコールの強い香りが一気に襲ってきた。
「はぁ、だめね。このにおいだけは、どうしても慣れないわ。」
九麗亜は、3人を連れて一番窓際の席に座った。すぐに店員がやってきて注文を聞いてくる。
「私は、このキノコのソテーとボア肉のステーキを。」
と、九麗亜が注文をすると、
「では、私は、ボア肉のステーキに、薬草サラダを。」
と、ミーリンが続いて注文する。しかし、ほかの二人は、いまだに悩んでいるようだった。
「ほら、何でも好きなものを注文していいんだから。店員さんが困ってるわよ。」
と、九麗亜がせかす。
「じゃ、じゃあ、このカウのステーキと、キノコのソテーを。」
「私は、ボアとカウのステーキ盛り合わせで。」
と、注文を告げる。
「かしこまりました。少々お待ちください。」
と、店員は水を継いだグラスを人数分置き、厨房に下がっていった。
「は~、奴隷になってこんな高価なもの、食べたことないですよ。」
「気にしないで、って言っても仕方ないわね。少しずつ慣れていきなさい。」
カリアの小言に、九麗亜は笑顔で答える。
しばらくすると、4人が注文した食事が運ばれてきた。どれも湯気が立っており、とてもおいしそうだ。
「じゃあ、みんな手を合わせて、いただきます。」
と、九麗亜がいい、ミーリンもそれに倣うが、
「ご主人様、その挨拶みたいなのは何ですか?」
クルスが、不思議そうに九麗亜に聞く。
「ああ、これはね。私がいた故郷の古い習わしでね。料理された食材の命をいただくのだから、しっかり敬意をこめて挨拶をするの。そして、食べ終わった後は、ごちそうさまと、おいしかったですと、食材と、それを作ってくれた人たち、調理した料理人の方にお礼を言うのよ。」
と、日本の伝統を―九麗亜もうろ覚えで間違っているかもしれないが―二人に教えた。
「おお、それは素晴らしい風習ですね。私たちも真似してもよろしいですか?」
と、カリアが言ってくる。九麗亜は笑顔で、
「もちろん。むしろしなさい。これは、私たちが生きていくうえで、絶対に忘れてはいけないことだと私は思っているから。」
と、肯定した。そして、カリアとクルスも「いただきます」を言い、食事が始まったのだった。