嘘の世界から戻れない現実世界
俺は平凡なサラリーマン。
毎日普通に出勤、たまに残業をして帰る普通のサラリーマン
勿論、彼女がいるわけもなく、好きな人がいるわけも無い。
彼女いない歴は、何年になるだろうか・・・年齢だって忘れた気がする・・・
そして俺の楽しみは、土曜日に友人と行く居酒屋とキャバクラである。
キャバクラの女性と会話すると、楽しいし彼女も欲しくなってくる。
人肌恋しくてソープにも行くが、お金が続かない。
そして友人と話しをした。
SNSを使って彼女を作ろうと・・・
誰が沢山の女性の友人が出来るか競争しよう!
そしてコンパを!
意味もなく盛り上がり、みんなでメル友作りをする事になったのだ。
やっぱ、どのような娘がいるかを確認してからのほうが良いな。
幸せな出会い、街角バッタリ出会系、出会系キューピット、ユーガッ・・・
色々なサイトがあるけど、嘘っぽいのも結構あるな!
まあいいや、適当に開けて見てみるか。
**県**市 *** **(19)
『やっほ~**だよ。毎日寂しくて彼氏ほしいよ~連絡頂戴な♡』
**県**市*丁目 ** **(22)
『初めまして**です。彼氏いない歴2年の私です。連絡待っています。』
**県***市 ** **(24)
『旦那のいない時間が暇なの。時間を有意義に使いたいな・・・』
なんか、色々なコメントが載っているな。ちょっと怖いのも・・・
俺の住んでいる街は田舎だ。これと言った目立った産業も無ければ、観光とし
て見る場所も無い。何もしなければ廃れていくのは当然である。
若い奴らは、都会に出て行き、そこで結婚をする。
「こんな街で出会いが、ある訳がないじゃないか!」
ちょっと大声を出してみたが虚しい・・・
学生時代に付き合っていた相手と、必ず結婚しなければいけないのか?
ちくしょう!登録してやる!全サイトに登録してやる(気持ちだけ)!
**県**市*****と住所登録して
名前を、高梨 隆、年齢は、25歳
ニックネームは・・・ティティでいいか。
これだと、知合いに気づかれないよな。
よし!今日は、3人ずつの計9人(3サイト)にでも送ってみよう。
そして、ザーッと目を通し、危なそうなメールの人は無視
純粋そうな書き込みだけをピックアップした。
え~と内容は、『初めまして、ティティと言います。まだメールに慣れていな
いのですが、友達からお願いします』
これを全員に送信と
「・・・」
やばい!2時間も打っていたよ。早く寝ないと・・・メールは明日確認しよう。
こうして俺は、就寝することにした。
___
翌朝、起きてすぐにメールを確認する。
無い!1件も返事が来ていない・・・
仕方が無い、仕事に行って帰って来てから、またやってみるか。
こうして仕事に行くことにした。
昼休みに確認するも、1件も返事が無い・・・
仕事が終わり、メールの返事を確認する。
やはり無い・・・
風呂に入り、食事をし、部屋に戻った。
今日は、5人ずつの計15人(3サイト)に送ってみよう。
内容も少し変更してと、送信!
待ってすぐに来るわけじゃないので、今日はもう就寝することにした。
なんか虚しいな・・・
仕事して家に帰って寝るだけの日々。
翌朝、すぐメールを・・・1件返事が来ている!
え~と
『初めましてティティさん、私はT子と言います。よろしくね』
うおー返事を!
『返事ありがとうございます。これからよろしくです』
来たよ来たよ!仕事行くのが楽しくなったよ!さっさと仕事に行こう。
昼休み、メールの返事が無い。
そして仕事が終わり、またメールを確認する。
あれ? もう1件違う人から来ているよ!すげー!
内容は
『すいません、返事が遅れてしまいました。ティティさん初めまして、
私も慣れていないのですが、よろしくお願いします』
えっと名前は、S子さんね。
T子さんからの返事は、まだ無いな・・・
まあいいか、早く家に帰って返事を返そう。
こうして俺は、家路を急いだ。
準備の出来た俺は、さっそくS子さんに返事を送ってみた。
『お返事ありがとうございます。これから宜しくお願いします』
内容は固いけど、まあ相手も固く送ってきたから良いだろう。
送信と!
でもT子さんからの返事は無いな。
やっぱ沢山のメル友がいるんだろうな・・・
まー待つ間は暇だから、俺も他のメル友探しでもしてみるか。
ピロリン!返事がきた。S子さんだ!
なになに・・・
『よろしくね。ティティさんは、どのような仕事をしているのですか?』
なるほど、仕事ね。まあ嘘を書いても良いけど
どうせメル友だし、どこの会社とかまでは聞いてこないだろう。
え~と
『まだ免許は無いのですが、不動産の仕事をしています』
送信と
S子さんの返信が、思ったより早かったので、嬉しくなってきた。
それから10分程経ち
ピロリン!返事が来た!
『不動産の仕事は、忙しそうですね。私は、スーパーの店員をしています。
休日はバラバラで、夕方からが忙しいですよ』
うわー!良いなこういうの!
こうして俺は、何時間も、S子さんとやり取りをしていた。
もう眠いな・・・
いつもの就寝時間より1時間も伸びている。
今日は終わろう。
『すいませんS子さん。明日も早いので、今日は眠ろうかと思います。そ
れでは、おやすみなさい』
送信と
そして、少し時間が経って
ピロリン!
『遅くまで、ごめんなさい・・・おやすみなさいティティさん。明日も
ガンバです^^』
何この高揚感!今から寝ようと思ったのに目が覚めるじゃないか!
ガンバ!それに絵文字まで・・・
頭から離れない。寝ないと・・・・・・
___
寝たのかも、わからない・・・もう朝だ。
準備して出かけないと。
あっメールメール・・・S子さんからメールが来てるな。
えっと
『おはようございますティティさん、仕事ガンバです^^』
おはようメールだ!
こんなメールが来たら、毎日頑張れる気がする。
___
こうして俺は、S子さんと一週間程、朝昼夜とメールのやり取りをしていた。
なんかメールだけだと、やりづらいな・・・
声を聞いてみたい。
よし!話すことが出来るか、電話番号を聞いてみるか。
『こんばんはS子さん。毎日のメールでの会話も楽しいけど、電話でも話したい
なと思っています。ごめん、突然こんな事を・・・』
送信と
どうだろう、やっぱ早かったかな?
返事が来ない。
一時間経ったであろうか。
そして、トイレに行って帰って来ると、S子さんから返事が来ていた。
『いいですよ^^。少し考えたけど、ティティさんは大丈夫かなって思って。私
の番号だけど、0**-***-****だよ。ちょっと恥ずかしいかな^^;』
おおー!きたよ!きたよ!
緊張する~・・・
ピッピッ・・・・・・・プルルルッ カチャ!
繋がったー
「えーっと、初めましてティティです。本名は隆と言います。電話でS子さんと
話しするのが初めてだから、めちゃくちゃ緊張してます」
俺は少し笑った。
そして、
「プッ、私も緊張してます。電話番号教えようかも迷っていたの。私の名前は。
サクラと言います。これからもよろしくね」
年は20歳で親が離婚して、今は父親と同居しているらしい。
俺は、両方の親が健在で、親と同居していると話した。
そして彼女は、自分が20歳だからと呼び捨の方が良いと言うので、サクラと呼
ぶことにした。俺は“タカシさん”のままである。
それから俺達は、色々と楽しく会話をしていった。
そして彼女が、ごめんね30分も経っちゃった。私の方から掛け直すねって言っ
てきた。
めっちゃ良い子や~ここまで気を使ってくれるって・・・
そして、すぐに電話がかかってきた。
電話をとった後「気にしなくて良かったのに」と言ったが
彼女は、「いいえ、私がもっと話したいから」と言ってきた。
俺は、その言葉が嬉しかった。
その後も、また30分程会話し、今日はありがとうね。
おやすみと彼女が電話を切った。
うわ~!何コレ、毎日こんな感じで話し出来るの?
声も予想していたより可愛かったし!
何この気持ち・・・
そしてメールが
『今日はありがとうねタカシさん。おやすみなさい^^』
メールも来た~!春だ!冬が近いのに春が来た!
メールしていた時も、上司に「何、ニヤニヤしているんだ!」と言われていたが、
明日からは、もっと気持ち悪い笑顔になっているのかも知れない。
よし!今日はもう寝よう!
そしてまた明日だ。メールの返事を送るの忘れてた・・・
こうして俺は眠りについた。
___
翌朝もメール・・・昼にもメール・・・
そんなこんなと
朝昼はメールで会話
夜は電話で楽しい会話をし
俺とサクラの幸せな関係が、何日間か続いていった。
___
そんなある日
プルルルル、カチャ
「はい、もしもし?」
夜中の3時であった。誰こんな夜に・・・
サクラだった!
「ごめんなさい。ごめんなさい、こんな夜中に・・・」
彼女は、泣きながら電話を掛けてきたのだ。
何で泣いているの?さっきまで普通に話していたのにと俺は思った。
話を聞いてみると、彼女の父親は酒癖が悪いらしく、酔って帰ってきては、いつ
も家で暴れているらしい。
それで彼女は、携帯を持って外に出てきたみたいだ。
そして、彼女の父親の酒癖のせいで離婚になり、母親が出て行ったなどの事を話
してきた。
成人するまで育ててもらったけど、親がバカだと辛いな・・・
こうして30分程話し、「父親が、眠ったかも知れないから帰るね」と言い、最後
に「ごめんね」と謝って電話を切った。
___
二日後、また同じような電話が夜中にあった。
さっきも彼女に様子を聞いたのだが、父親は家にいて酒は飲んでないから、今日
は大丈夫だと言っていた。
しかし、俺との電話を切った後に、父親は友達に誘われて出て行って、帰って来
てまた同じように暴れたらしい。
俺は仕事もあるし、彼女に会いに行く事も出来ない。
こうして話しを聞く事しか出来ないのか・・・
___
このような夜中の電話が3日続いていった。
これには、俺も我慢が出来なくなり!彼女に会いに行く事を決めた。
毎週土曜日の友人との飲み会も謝ってキャンセルし、月曜日に有給を貰い、二泊
三日で行く事にした。
そして彼女に連絡をして話すと、彼女は嬉しそうに喜んだ。
「明日の午後三時頃に、そっちの駅に着くと思うよ。新幹線で行って途中で乗り
継ぎすることになるから」
すると彼女が「楽しみ」と嬉しそうに返事をしてきた。
___
そして翌日
車で近くの駅に行き、乗り継ぎ乗り継ぎで彼女の住んでいる街に近づいていく。
初めて会う彼女なので、ドキドキするのが当然だ!
しかし俺は・・・それよりも心配する事あった・・・
朝、家を出る時に1回メールがあって
その後駅のホームで何回か電話をしたのだが繋がらない。
新幹線を降りた後も電話したが、それも駄目だった・・・
ここまで仲良くなったのに騙された?
彼女と知り合って2週間、騙すなどの素振りは一度も無かった。
そして俺は、彼女の事を信じることにして、待ち合わせのしていた場所で待つこ
とにした。
約束の3時を回ったが、連絡が来ない電話も繋がらない・・・
それから、30分経ち
そして1時間が経った。
あ~
ここまで来たのに騙されたみたいだ・・・
俺は、力無くホテルに歩いていった・・・
チェックインをして、部屋に着くと、泣きたくなってしまった。
そして、テレビを付ける。
だが面白くない・・・今は何も面白くない。
それから30分程、俺はボーッとしていた。
プルルル 電話?!ん?公衆電話?
カチャ
「もしもし、タカシさん。ごめんなさい」
え?サクラ!なんで公衆電話から?
それに待っていたのに・・・
俺は、騙されたと思ったなどと話しをしたが、彼女が涙声で、直接会って話しが
したいと言って、俺がいるホテルと部屋番号を聞いてきた。
まあ、何かをしたわけじゃないし、携帯から電話が掛かってこない自体で、危な
い奴と乗り込んでくるとかは無いだろう。
そして、電話を切って少し時間が経った後
ノックの音がした。
はい!と返事をし、扉を開けた。そこにはサクラが立っていた。
見た目は可愛いわけでも、可愛くないわけでも無く普通だ。
俺は軽く会釈をして、彼女を部屋の中に入れた。
そして彼女から、今日の経緯を聞くことにした。
「えっと、まずは自己紹介からだね。俺はタカシ。サクラだよね?ごめん、何も
言わないから、一応聞いておこうかと思って」
俺は少し微笑んだ。
彼女は、俺の顔を見るなり泣き出した。
「ごめんなさい。父親に携帯の事を気づかれて取られてしまったの。そして父親
に殴られて、アイスで冷やしてから会おうと思ったけど」
さっきから俯いていたのは、こういう事だったのか・・・
彼女の目の下には、擦ったような細長い擦り傷が出来ていた。
そして俺は、彼女の傷と涙を見て、彼女を抱きしめてしまった。
「ごめん、俺もここまで来て連絡が無かったから、騙されてた思ってショックだ
ったんだ。でも、サクラが来て本当に良かった」
俺は、サクラを見て微笑みかけた。
それを見てサクラが抱きついてきて、また泣き出した。
ごめんなさいと何度も繰り返して。
俺は、騙されていなかった安堵感と、やるせない気持ちでいっぱいだった。
そして彼女は、俺に抱きしめられたまま、ゆっくりとベッドに座ったのだ。
俺は、そんな彼女を見てキスをしてしまった。
「ごめん、今日初めて会ったんだけど、俺はメールの時から、サクラが好きにな
っていた。俺と付き合ってくれないか?キスの後で言うのも変だけど・・・」
ちょっと噛みながら言ってしまった。
「うん」と答えて、彼女が優しく微笑んでくれた。
そして彼女は、ゆっくりとベッドに倒れた。
それで俺は、彼女に深いキスをした。
「こうするつもりじゃなかったから、アレの準備もしていなかった。ごめん」
ううん、いいよそのままで と、彼女が言ってきた。
そして俺と彼女は、その日会って初めて肌を合わせた。
___
目が覚めて起きると、昼前になっていた。
昨日は、久々だったので、何度肌を合わせたかもわからない。
隣を見ると彼女はいなかった。
そして、彼女は服を着て浴室から出てきたのだ。
「父親が仕事で今は居ないと思うから、携帯を取ってくる」と彼女が言った。
それと、俺が何も食べてないはずだからと、俺の食事も買ってくると言った。
確かに、昨日の昼に駅でおにぎりを食べてから、何も食べていない。
昨日の夜も何も・・・
思い出して、ちょっと嬉しくなった。
それを見た彼女もニコッと笑いかけてきた。
俺は布団から出ると、裸でまた彼女に抱きついてしまった。
「あっごめん!」
手を放して、彼女にお金を渡すと、彼女は微笑みながら出て行った。
俺はシャワーを浴び、着替えて彼女を待つことにした。
2時頃だろうか、ドアがノックされた。
ドアを開けると、今度は頬を押えて彼女が入ってきた。
「何があった!」
携帯を探していたら、父親が帰ってきて顔を叩かれたみたいだった。
頬が赤くなっていて、彼女は涙目になっている。
今日始めて会った俺には、何も出来ない・・・
どうする事も・・・
軽く彼女の肩を寄せて、強く抱きしめた。
そして、それから何時間経っただろうか。
俺とサクラは、一緒に居酒屋へ食事をしに行く事にした。
頬の赤みもとれ、目も腫れていない。今はもう大丈夫だ。
そして2人で酒を飲みながら会話し、愚痴を聞き、またホテルへと戻った。
___
次の日俺は、朝早く起きて帰り支度をした。
10時までにチェックアウトをしないと、いけないからである。
朝食を1人で食べることが出来なかったので、コンビニで軽くオニギリでも買
って食べることにした。
そして2人で駅に向かった。
その間は、2人共無口だった。
チケットを買い、駅のホームに静かに歩いて行く。
電車が来るまで、椅子に腰掛けて話しをしたのだが、涙が出てくる。
彼女は、もうすでに泣いていた。
折角会えたのに・・・
知り合って2週間しか経っていないけど恋しい。
ダメだ!涙が止まらない。そして電車が来た。
「また絶対来るよ!来週は無理だけど。また来るよ!」
そして俺は、電車に乗った。
彼女も口を押えて、泣きながら手を振っている。
なんか、映画の只の1シーンだと思っていた事が、本当にこんな気持ちになって
涙が出るのだと実感してしまった。マジで辛過ぎる・・・
そして、戸が閉まり、彼女がドアの外で手を振っている。
そして俺も・・・
電車が走り出した。しかし彼女は走ってこない。
その場でしゃがみこんで泣いているのが見えた。
くそー!
俺は、涙が少し恥ずかしかったので、帽子を深く被って隠した。
しばらく入口付近にいたのだが、涙も止まったので椅子に移動した。
そして新幹線、電車と乗り継ぎ、家に帰ったのだ。
家に着いた頃には、夕方になっていた。
彼女からの連絡が来ない。
勿論メールも・・・
なんだ、この憂鬱感。恋愛ってこんな気持ちなのか?
わからない、寂しい・・・
俺は風呂に入り、食事をして部屋に戻る。
メールが入っていた!T子からだった。
『ごめんね~遅くなっちゃった。私は主婦見習いをしているよ』だった。
俺が前に送ったメールの返事だったのだ。
こんな気分じゃ無いのに、今頃・・・
俺は、適当に返事を送り返すことにした。
『そうなんですか。いろいろと大変そうですね』
T子は、もうどうでもいい!
サクラは、今どうしているんだろうか・・・
携帯は、どうなったんだろうか・・・
すると、公衆電話から電話が掛かってきた。
「サクラ?!」
サクラだった。するとサクラは、暗い感じで話してきた。
俺がいなくなって寂しくなったや、今にも俺の所へ行きたいなどを・・・
俺は、そんな事を聞いたら、また涙が出そうになってきた。
そして、今度は携帯電話の事を聞いてみた。
サクラは、俺が帰った後、家に帰ったそうだ。
すると、家に入るとバラバラに壊された携帯が、テーブルの上に置かれていたら
しい。
俺はそれを聞いてショックだった。
この前みたいな、電話も出来なくなる。
メールの交換も出来ない・・・
・・・
俺はサクラに、自分で携帯を買って登録する事が出来ないか聞いてみた。
しかし、彼女からの返事は、「登録が出来ない」であった。
父親に殴られて、顔に傷が出来た状態で仕事が出来ず、病休が多いからとスー
パーをクビになったそうだ。
お金も食費や家に入れたので残ってないと言う。
「わかった。俺が買って送るから、それを使ってほしい」
そう言うとサクラは、喜んでありがとうと言ってきた。
良かった!
俺の為でもあるが、少しでもサクラを手助け出来たことが・・・
そして携帯は、家に送ると父親がわかってしまうからと、従兄弟の家に送る事で
話しが決まった。
後は、電話代の件だが・・・俺と会話する時は俺が掛けるからと、通信料も「基
本料金だけで止まるようにしてほしい」とお願いした。
電話代の支払いは、通帳引落としが出来ないから、彼女の従兄弟の家に請求書を
送ってもらう事になった。
基本料金だけなら、アルバイトで払えるから大丈夫と言っていた。
そして、携帯電話の件が色々と決まったので、今日の電話は終わることにした。
よし、明日はショップに行って、さっき聞いた住所に送ってこよう。
こう思って俺は就寝した。
___
次の日、仕事も終わり、ショップに行った。
そして彼女の言う住所にも送れたし、請求書の送り先も大丈夫だった。
ただ、俺が買った携帯で本人が不在な為、名義が俺になってしまっている。
色々と手続きも終わり、家に帰ってきた。
いつものように風呂、食事と終わり、部屋に戻る。
なんか、メールも電話も無いから静かで暇だ、面白くないな・・・
テレビ、音楽を聞く、ゲーム、マンガ・・・
全部面白くない!
突然、公衆電話から電話が掛かってきた。
「サクラ!」
名前を言われたサクラから、フフッと言う笑い声が聞こえてきた。
「さっき携帯送って来たから、明日には届くと思うよ」
すると
「やったー!」
と喜びの声が聞こえてきた。
そして、「早く普通に会話したい、そして会いたい」とも・・・
俺も会いたいよ。
くそー!ハグしたい!そして・・・
明日からは、普通に話せるようになるから,これで会話を終わることにした。
また、従兄弟の家に明日取りに行くようにとも言った。
サクラは「タカシさん、大好き!バイバイ」と言って電話を切った。
むー!サクラー!!
今日は寝よう。
明日からは、またこの前のような生活に戻れるんだ。
こうして俺は眠りについた。
___
次の日の昼休み、公衆電話から電話がかかってきた。
サクラからの電話で、携帯電話が届いていないとの報告だった。
郵便局から送ったのだから、印鑑持って取りに行けば大丈夫だからと説明した。
それから、何時間か経ってメールが入ってきた。無事受けとれたようだ。
仕事が終わり、風呂、食事のセットが終わり部屋に戻った。
そして電話をかける事にした。
プルルル、カチャ
「ごめんなさい、後でかけ直すから」
と電話が切れた。
そうであった!父親に携帯電話の事が知れると、また壊される可能性がある。
それから30分が経ち、電話が掛かってきた。
「もしもし、ごめんね。さっきは・・・」
彼女は、友達が携帯を忘れていったみたいだから、返しに行ってくるからと外に
出てきたようである。
15分程話して、俺がかけ直す。
そしてまた会話が始まる。
前に肌を合わせてしまっている為、会話だけじゃ物足りず、彼女が恋しい。
彼女も同じ気持ちだったのか、会話の節々に「会いたい」と言ってくる。
そして、突然歩いているような音が聞こえてきた!
すると彼女は、止まっていると寒かったから歩いて話そうと思ったと言った。
「ごめん、長電話してしまって。明日もあるから今日は終わろう」
と電話を切ることにした。
もう電話だけの会話じゃ物足りないな・・・
彼女を抱きしめたい!
そう思いながら、今日は就寝する事にした。
___
電話を渡して、二週間程たっただろうか。
前のように会話は弾んではいるが、会いたい気持ちが前以上に出ている。
その理由も、夜中に彼女の父親の酒癖での電話である。
何日か連続で続いた日もあったが、次の日の彼女の電話でホッとする。
そんなある日、携帯電話の請求書が届いた。
俺は6万程であった。そして彼女の請求書も俺に届いていて、2万5千円程の請
求が来ていたのである。
あれ?なんでここに届くんだ?
そして、すぐ携帯会社に連絡する。
すると・・・送付先が間違いなのかで、送付出来なかったと言っていた。
そして彼女に、電話が掛けられないのでメールを送った。
しばらくして、電話が掛かってきて、彼女が理由を説明してきた。
従兄弟の姓が違う為、彼女の姓では受け取られなかったのだろうと話した。
そしてサクラが、携帯会社に連絡して、住所の説明をするとも言ってきた。
俺は、2つの携帯分の稼ぎがあるわけじゃないからと彼女に話した。
それで彼女は、俺の口座に振り込むからと言うことで、この話しは終わった。
携帯の話が終わった後、色々彼女と話しをしていた。
よし、今度の週末に一泊二日でサクラの所に行くよ!と彼女に告げた。
最近は、友人と飲みに行っても上の空だからと、飲みに行くも止めている。
そして彼女は、俺にお金も返したいし、迷惑もかけてしまっているからと、俺の
住んでいる県に来ると言ってきた。
彼女の従兄弟のお姉さんが、俺と同じ県で仕事をしているので、1週間程泊まっ
ても大丈夫だと言っていたそうだ。
そこで1週間程泊まり、アルバイトでは無く、今度は就職先を見つける為に出て
くるというのだ。
嬉しすぎる。
またサクラに会える!俺は興奮した(変な意味ではないが・・・)!
そして来週の週末は、俺が駅まで迎えに行き、彼女を従兄弟の家に送って行く事
に決まった。
そしておやすみの挨拶をして、今日の電話を切ったのである。
それから1週間が待ち遠しく進んでいき、勿論、彼女の父親の酒癖の電話もあっ
たが、無事彼女がやって来る日をむかえた。
___
俺は、朝早くからソワソワして仕事をしている。
今日は金曜日だったのだが、彼女が早く会いたいからと、夕方に到着する予定に
なった。
仕事が終わって、すぐ車で彼女を迎えに行き、車の中で優しくキスをした。
そして彼女は、すまなそうに誤った。
この前、父親に携帯の事がバレてしまったらしい。
ガラスも少し割れて、今にも壊れそうな携帯を見せてきた。
大丈夫なんだろ、まだ通話は出来るんだろ?
そう俺が聞くと、うんと頷いて、途中で切れたりもするって答えた。
その後は食事に行き、どこかで休憩して、それから従兄弟の家に送っていった。
「ごめん、明日も仕事があるから、俺は帰るよ」
と挨拶すると、彼女がキスをしてきて「またね」と言ってきた。
彼女は、1週間は会えないと言ってきた。
昼間はハローワークや就職の面接、夜は居候の為、料理の準備や掃除洗濯など
の雑用をしないといけないからと。
だけど来週からの1週間は、就職の電話待ちなどで時間が取れるからと、俺の家
に泊まる事が決定した。
会えないが、電話で会話はできる。
携帯が壊れなければ良いのだが・・・
そう考えながら、俺は夜中に家に到着した。
___
そしてサクラが来て1週間が経った。
夜中に電話が掛かってくる事も無く、平和な日が過ぎて行った。
でも携帯は途切れ途切れで、途中で切れたりもした。
しかし、今日は!サクラを迎えに行く日である。
朝から急いで、彼女を送った場所に向かう!
彼女が歩いてきた。そして
「1週間お世話になります。宜しくお願いします」
と言ってきた。
それから彼女を車に乗せて、あっちこっちとデートしながら家に帰った。
彼女の事を、親に話してはいるのだが、今日連れて帰って夕御飯を食べる訳には
いかないので、外食して帰ることにした。
___
次の日は、朝からデートに行った。
俺の住んでいる近くのデパートにも連れて行きたかったのもあって、そこで
色々な物を見たり、服を買ったりした。
そして、映画館にも入ったのだが、サクラと会話をしない2時間が勿体無く思い、
映画を見る事は止めて出る事にした。
後は、ゲームセンターなどの遊技場で遊んだり、観覧車に乗ったり、ペットショ
ップで犬猫や熱帯魚などを眺めたりして、デートを満喫した。
日も傾いてきたので、今日はこれで家に帰ることにした。
明日からは仕事である。
だが、気分は晴れやかである。
楽しい、嬉しすぎる。そして幸せも感じる。顔もニヤニヤとしてしまう。
「気持ち悪いよ」とサクラに笑われてしまったのだが・・・
そんなサクラの顔を見ていると、余計に嬉しくなる。
そして、夕御飯を食べに台所へ行った。
まだ親には、きちんとした形では紹介する事が出来ないので、食事は親と少し時
間をずらして食べることにした。
だけど、朝と昼の御飯は、母親にお願いしている。
___
そして、彼女が泊まって4日程経った頃、母親に意味深なことを言われた。
「彼女、大丈夫?見る度に携帯をいじっているようだし、就職も決まったの?」
と聞かれた。
俺といる時は、携帯を触ってないし、壊れているから直るかと触っているだけだ
ろう。
充電も出来ない状態で壊れてしまっている。彼女は、従兄弟の家に戻ったら、
ショップに行って直させるそうだ。
それと、就職はどうなっているのだろうか。
後で聞いてみることにした。
俺は部屋に戻り、彼女に就職の事を聞くことにした。
すると、まだ連絡が来ていないと言ったので、この話しは終わりにした。
明日は彼女を送っていく日である。
このままでいたい気持ちもあるが、俺の住んでいる街で仕事を探すのは
困難である。
それと、俺の給料では同居するなども絶対無理である。
そして、彼女を抱きしめた。
「明日、帰ってほしくない!でも・・・仕事を見つけないと、このままじゃ・・・」
彼女は、微笑みながら「うん」と返事をした。
本当に・・・本当に・・・
ごめん
___
翌朝、彼女を連れてドライブデートしながら連れて行く事にした。
ダムの公園で話しをしたり、本屋に寄ったり、普段とあまり変わらない行動で、
彼女の従兄弟の家に向かった。
日も落ちてきたので、夕御飯を食べることにした。
そして彼女は、注文した物が来る前に
「従兄弟が家に帰ってきているか確認する」
と俺の電話を借りて、店の外に出て行った。
食事が運ばれてきた。しかし彼女は帰ってこない。
仕方無く先に食べることにした。
そして彼女が帰ってきた。
まだ従兄弟は家に着いていないと答えると、俺の携帯を持ったまま彼女も食事
をやりだした。
夕食も食べ、彼女の従兄弟が帰ってくるのを、家の近くで待つことにした。
公園の駐車場に止めた俺は、彼女と会話をしていた。
すると、もう一度電話して確認してみると言って、また俺の携帯を持って車から
出て行った。
なんで、従兄弟の不在を聞く為に車から出ていくんだ?
俺は疑問に思った。
今思えば、母親が言ったことも確かである。携帯が壊れているから、面接会社と
は連絡も取れないだろう。
俺の家に着いた時には、携帯が使えなくなっていた。それなのに、就職先から連
絡を待っている、連絡が来ていないと言った。
なんだ?
それと、彼女は就職の事で、心配している素振りもみせない。
この事を、サクラに聞いてみよう。
彼女が帰って来た。
「どうだった」と俺が聞く。
そして、彼女はまだだったと言ってきた。
そこで俺は、疑問に思っていた事を全部聞くことにした。
「なんで、従兄弟の不在を聞くだけで車から出ていったの?」
そして俺は、彼女から携帯を取った。
「この電話番号に電話かけてみても良い?」
と俺は聞いてみた。
すると彼女は怒り出し、俺が電話を掛けてしまうと、知らない人からの電話だか
らと、従兄弟が次から取らなくなってしまうと言う。
「は? 俺の番号は、従兄弟の姉の携帯に残っているのに、それも俺の携帯でサ
クラが会話したんだから、俺が掛けても問題ないだろう!」
少しイラってきたので、怒りながら言ってしまった。
「いなかったの、留守だったから戻ってきたの」
もっとイラってしてしまった俺は
「この番号を見たら、間違いなく携帯だろ!家の電話を携帯にしている家も多
いけど、従兄弟の姉の家には携帯を置いているって言うのか!」
と先程より強い口調で言った。
すると彼女は、頭を押えて震えながら、「怒らないで、お父さんを思い出すから」
と言ってきた。
やばい!彼女の言うことは、全部矛盾している気がしてきた。
俺は、少し溜め息をついて
「わかった。電話を掛けてみれば済む事なんだし・・・」
待って!と俺の手を掴んできた。
そして、やめてーやめてーと携帯を奪おうと手を伸ばしてくる。
俺は無視して、片手で彼女を押えて電話を掛けた。
すると、彼女はドアを開けて、出ていってしまった。
プルルルルル、カチャ
「はい、もしもし」
と男の声がしてきた。
は?何?何なの?俺はパニックである。
ドアを開けて外に出たが、彼女の姿は無い。
俺は仕方が無く、電話の相手に意を決して話すことにした。
「こんばんは、自分はタカシと言います。サクラさんとお付き合いさせてもらっ
ているのですが、さっきサクラさんが電話を掛けた方と話しがしてみたくて、掛
けさせてもらいました」
と説明した。
すると、電話の方が答えてきた。
「こんばんは、私はサクラの2つ上の兄です」
は?意味がわからない。
なんで兄って言えばいいのに従兄弟って・・・
そして俺は、そちらの家の近くにいて、サクラが逃げた事と、今から会って話し
を聞きたい事などを話すと、快く了承してもらえた。
場所は、公園の駐車場から歩いて行ける距離だったので、俺は車を置いていく事
にした。
ピンポーン
はいと声がして扉が開いた。
そして中に入ると、サクラの兄の彼女もいた。
俺はお辞儀をして、サクラの兄に今までの経緯を話して、サクラの事を聞くこと
にした。
すると、とんでもないことを聞かされた。
サクラ達の親は離婚してはいるのだが、父親と住んではいなかったのだ。
彼氏がいて、その人と同居していたと話してきた。
勿論、俺は唖然とするしか無い。は?
サクラは昔から、自分を守る為に、簡単に嘘を付く癖があったと言われた。
だけど、これは嘘の領域を遥かに超えている。
そしてサクラの彼氏は、頻繁に酒を飲んではサクラに暴力をしていたらしい。
しかし、それでも嘘を付く理由にはならない。
もしかして、携帯を送った住所も嘘?
請求書の送り先も・・・
駄目だ・・・
マジで駄目だ。力が入らない・・・
さっきまで、楽しかった時間の事が浮かんでくる。
うわっ!
涙が。くそー!
俺が何したんだ!
俺が悪い事したのか!くそ!!
「・・・」
涙を見たサクラの兄が
「すいませんでした。妹が迷惑をかけてしまって」
とタオルを渡してきた。
そして、サクラが従兄弟の姉と嘘をついた事は、こうやってバレる事を恐れたの
だと思います。と話してきた。
知らない人の前で涙を出し、これ以上ここにいる理由も無いので、俺は早々に帰
ることにした。
サクラの兄は、サクラの事はこちらで探すと言ってくれた。
そして俺は、きちんと話しがしたいので、サクラが帰ってきたら連絡貰えるよう
にお願いして、兄の家を後にした。
車を見ると、さっきまでサクラが隣に座っていた・・・
また涙が・・
駄目だ!これ以上、ここにいたくない!
少し涙が乾くまで待って駐車場から出ていった。
夕御飯も食べられない。
親に顔を合わせないように風呂に入り、部屋で横になることにした。
考えたくないが、頭に浮かんでくる。
サクラと知り合った頃は、もう同居していた。
電話を掛けた時に掛け直すって言ったのも、彼氏に見つかりそうだったから。
そして、俺が会いに行った・・く・また涙が・・・!
思い出すのは止めよう!
俺が悪いのか?
俺が何をした?
メールをしたら駄目なのか?
ドンと床を叩き、タオルで顔を押えて泣いた。
それから一時間ほど経って、サクラの兄から電話が掛かってきた。
サクラは無事に見つかったようである。
そしてサクラは、明日実家に帰ると話してきた。
サクラは、もう一度俺に会って謝りたいとも言っていたようだ。
俺も、電話では無く、きちんと別れ話しをしないといけないと思っていたので、
新幹線の出る時刻を聞いて、明日駅に行く事になった。
___
こんなに落ち込んだのは初めてである。
朝起きて、鏡を見たが少し目が腫れている程度で良かった。
よし!準備して駅に向かうか。
俺は意を決して駅に向かうことにした。
新幹線の出る時刻まで30分を切っていた。
急いでホームに向かうと、サクラが乗る前であった。
俺はサクラに近づいて行った。
「昨日、サクラの兄から全部話しを聞いたよ」
サクラは俯いてうんと言った。
「もう俺達は続けていけないから、わ・・」
胸が締め付けられるような感じで声が出ない・・・
俺は帽子を深く被り、一呼吸付いて
別れようと言った。
俺は言ったと同時に涙が出て、サクラも同じように涙が出ている。
そして、サクラは泣きながら新幹線に乗り、ドアが閉まった後に振り返り、俺の
方を見てすぐに泣き崩れて見えなくなった。
俺は、それを見て更に涙が出てしまい、椅子に座り込んで顔を押えていた。
新幹線が動き出した。
俺は、それを消えるまで見ないで、その後ゆっくりと立って帰って行った。
家に帰った俺は、何もする気にもならない。
ただ横になって天井を眺めた。
当分は、何も出来ないだろう。
少し考えるとサクラのことばかり・・・
たったの二ヶ月の付き合いだったが、俺にとっては結婚を考えようかと思う程
の濃い内容だったと思う。
もう話すこともない、会うこともない。
そして触れることも・・・
明日から何日か仕事を休もう。
こんな状態では、お客様の対応が出来ない。
そして、サクラに渡した携帯も解約してこよう。どうせ繋がらないし、嘘の住所
に送られた請求書は、俺に届くのだし・・・
くそー!今月の携帯代はどうなっているんだ!・・・
怖い、憂鬱になってくる。
もう、いやだ!何もかも。
泣いたからなのか、目が重い。
眠いのか・・・もう寝てしまおう・・・
___
次の日、会社に電話をして、風邪をひいてしまい治るまで休むと連絡を入れた。
そして、友人にも、メル友に騙されたから、前に約束した多くメル友を見つける
のを、言い出したのは俺だけど、ごめん辞めるとメールを送った。
その後みんなから
「また飲みに行こうな、忘れてパーッとしようぜ」
とメールが返ってきた。
やっぱ友人なんだな・・・良い奴らだ。
そして携帯ショップへ行った。
サクラに渡した解約と、今月分の通話料を聞いてみた。解約料が2万円、通話
料が4万円も出ていた。
分割払いにするしかないけど、本当にショックである。
家に帰って、また天井を見上げて横になった。
なぜか体が怠い、本当に風邪をひいたのかと思うぐらい動けない。
そして目が重くなってきたので、少し眠ることにした。
夕方、電話の音で起こされた。友人からの電話だった。
明日、休みだからと、気晴らしに買い物を付き合ってくれないかと言われた。
勿論、OKして、明日は友人に本当の事をあかそうと思った。
___
翌日の昼頃に、友人が迎えに来た。
車に乗り込み、会話しながら買い物場所に向かった。
車の中で、ある程度の事を友人に話した。
しかし、俺の話しが重かったのか、黙って頷く事しかしなかった。
俺も、これ以上の話しは止めたほうが良いと思い、話しを止めることにした。
そして、買い物場所についた。
友人が買い物をしていると、俺の携帯が突然鳴った。
知らない電話番号である。
仕事の電話かも知れなかったので、すぐ店の外に出て、電話を受けた。
「もしもし、タカシさん?」
「サクラ・・・」
「ごめんなさい。タカシさん・・・電話を・掛けて」
本当に悪かったと思っているような、暗い声で話しかけてきた。
彼女のそんな声を聞くと、ホテルで彼女が泣きそうな声で話しかけてきた表情
が浮かんでくる。
これ以上は、止めてくれ!
変になってしまいそうだ!!
また涙が出そうになってしまった。
くそー!
「サクラ!これ以上・お・れを・・くるしめ・・・・」
涙が出てしまって声が出てこない。
そして少し深呼吸をして
「もう、かけないでくれ」
と言った後に、ぶふぁっと声も出るぐらい泣いてしまった。
「ごめんね、タカシさん。そして、あり・がと・う」
と言って電話が切れた。
俺は、我慢ができず店の横でしゃがみ込んで泣いた。
そして友人が店の前に出てきて、俺の肩をポンっと叩いて「行こう」と言って車
まで歩いて行った。
___
それから5日程経った日曜日
彼女の兄から電話が掛かってきた。
サクラは、服毒自殺をしたそうだ。
・・・
そしてサクラは亡くなった・・・
一昨日告別式があって、落ち着いてきたので、電話をしたそうだ。
俺は驚き!声も・・・なんで!
騙されたのは俺なのに!なんで!
そして彼女の横には、俺宛の遺書があったそうだ。
「タカシさん、ごめんなさい。あなたの優しさに甘えてしまって、本当の事が言
えないまま、時間だけが通り過ぎてしまいました。
タカシさんには、ごめんなさいしか言えません。本当にごめんなさい」
彼女の兄は、泣きながら遺書を読み上げた。
なんで俺に、なんで・・・
彼女の声、優しく笑った笑顔・・・
うううっ・・・
この前会った顔が浮かんでくる。
そして電話で声を聞いたばかりなのに・・・
ううっ・・・
そして彼女の兄が、サクラと話した事を話してきた。
この前サクラが逃げた日に、兄はサクラから全部内容を聞いたそうだ。
なぜ嘘をついたのかを全部。
暴力を振るう彼氏と、別れたがったが怖くて別れられず
隠れてしていたメールで俺と知り合ったと。
その後は、電話で話すことになり、電話料の請求で彼氏にバレ、殴られ、携帯は
一度守ったが、俺と会う日に準備していた着替えなどで気づかれて、財布だけ持
って逃げたみたいだ。
そして、あの日俺を見たサクラは、この人なら私を助けてくれると思い、既成事
実を作って、彼氏の元から出ていけると考えたらしい。
あの時に、言ってくれれば・・・
だけど、俺の優しさに付け込んで騙しているのが許せなくて、彼氏の所から俺と
逃げる為に、荷物と携帯を取りに戻ったらしい。
それが頬を赤く染めて帰って来た日だ・・・
俺が電車で帰った日は、本当に悲しくて帰りたくないとも思ったそうだ。
そして何日か経った後、彼氏を殺そうなども考えたみたいだが、俺の事が好きに
なっていて離れたくないと思った為、彼氏から逃げる事を選んだ。
俺に会う為に暴力に何度も我慢をして、やっと兄の家に逃げ出せたんだ。
それを、俺に説明をしようとしていたのだが、今までの事が全部嘘になっていた
ので、ずっと言えなくて苦しかったそうだ。
そして、すべてを話したサクラの兄は、俺に謝り泣きながら電話を切った。
俺がもっと、彼女の声を聞いてあげてれば・・・
彼女の兄も、騙された俺が受けたショックが大きいから、黙って別れたほうが良
いと助言したと言っていた。
くううっ俺は!・・・なんで・・・
一昨日告別式ってことは、最後に掛けてきた電話が俺の・・・
あれが最後の・・・電話・・・サクラなんで!!
サクラ!・・胸が痛い・・・はあはあ・・・
なんで俺を、まだ苦しめる。
サクラにも言い分があった。
だけど俺が何をした!
助けたくても・・・
言わなければ、何も出来ないだろう!
くうう・・・くそー!
俺はわからない。
なぜ俺と一緒に居たのに携帯電話の金額4万も・・・
もう人間不信になっている。
女性は信じられない。
もう戻れない、あのメールをする前には、そして現実の世界にも
・・・
そしてT子からメールが来た。
もういい、何も見たくない。
そして俺は携帯を初期化した・・・
解約しよう。
俺に残ったのは、
サクラが言った「ありがとう」
だけ・・・
お読み頂きありがとうございました。
初めての投稿だったので、誤字脱字が多数あったかと思いますが、ご了承ください。
すみません。読みずらかったので修正しました。16/10/10




