一章 第二話 私と彼等とそれから・・・
sideが沢山切り替わります。
わかりにくいかもしれませんが、あしからず。
目を覚ますと、見知らぬ天井が…ってレベルじゃない。
目を覚ますと岩の天井がありましたってか。
いや、此処が何処だかは分からないけれど、とにかくここから逃げないといけない気がする。
なにせ、ここはきっと多分恐らくmaybe、敵地なのだから。
ここから出るには、見回したところ一つしかない扉を通るしかないはず。
・・・抜け道とかないかなあ。
そんなことを考えているうちに、外から聞こえてくる、数人の足音。
それに従って聞こえてくるのは、人の声。
まだ遠くて、何を言っているのかはわからない。
でも確実にここに向かってきてる。
さて、どうしようか・・・?
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side???
やっと引き離した。
長いこと、キミと俺を追い続けた。
なのに、キミは僕のことなんか気にもせずに、彼等についた。
そして、僕と敵対した。
そんなことが許されるわけないだろう?
だってキミは僕と一緒に生きていくと決まっているんだから。
ねえ、アヤ――――――――――
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sideユーリス
「なんなんだよアイツはっ!!」
町中に響き渡るんじゃないかって思うくらいの、リットの苛立ちを含んだ怒声が響いた。
珍しいな、リットが叫ぶなんて。
そう思いながら、僕が彼の立場ならと考えると気が狂いそうだった。
ベルを連れ去るなんて、赦される訳がない。
犯人を手にかけてもきっと何も思わない。
むしろ、手にかけない事の方が不思議に思えてきてしまう。
まあ今はそんなことよりもリットとアヤの事だ。
彼らには、僕が関わる前からの繋がりがある。
だからこそ、リットがアヤを連れ去られて平気なわけがないと思う。
それに、それは連れ去られたアヤのほうも。
リットを仲間にして旅立とうとしたあの時、二人とも離れる選択も残ってた。
辛い旅だし、女の子にはキツいからって説明もした。
けど、二人は別れる選択を選ばなかった。
幸いにもアヤにも戦えるくらいの魔力があったし、自分の身は自分で守るって約束で連れてきたんだ。
それで今までやってきた、なのに――――
旅が一段落した今になって、その均衡が崩された。
今アヤが何処にいるのかすらわからない。
そんな状況で、迂闊に動き回っても仕方がない。
それは、誰よりも状況判断と戦力分析に長けるリットが一番よくわかってる。
助けに行きたいけど、今すぐに動くわけにはいかない。
その苦悩が、リットの表情に、如実に表れていた。
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sideとある女精霊使い
「こんなこと、早く終わらせてゆっくり暮らそうっスよ」
そう言ってくれた彼とは、今は一緒にはいられない。
でも、きっとすぐに・・・すぐにゆっくり出来る世界になるはずだから。
私はそう言った彼を信じているから。
そして、それに関与する彼等の力量を。
ならおとなしく仕事をするのが最優先。
だから、案内しよう。彼等の望む場所に。
彼女が捕らえられている、その場所に。
ねえほら、幸せに暮らすことなんて、きっとありふれた世界のありふれた日常。
私たちがそれを望んでも、誰も否定なんて出来ないでしょう?
だってそれがこの世界の当たり前なんだから。
そんなことを考えながら歩む私は愚か者?
でも、それでも構わないの。
だって彼は、そんな私を受け入れてくれるのだから。
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さあ、宴の始まりだ。