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『誰にも…彼女は…渡さない!!』
いつか叫んだ無力な少年の誓いは
一つの歴史の始まりだった。
眩しい…
窓から燦々と太陽の光が入ってくる
いつの間にか眠っていた作業机の上から顔をあげて伸びをする。
「ん……ん!もう朝か…」
多少目が覚めたところで思い出す。
「やば!魔石は!!」
居眠りする前にしていたこと魔石の魔力補充中だったのを思い出しすぐさま魔石を確認する。
その手にあった魔石は弾丸の形をしていてそれぞれ綺麗な青と緑の光をたたえていた、その周囲には無造作にくすんだ魔石が置かれ他にも光をたたえている大小様々な魔色も少し置かれていた。
「光が弱い、もう少し補充したいけど時間が無いか…」
時計を見て落胆した様子を見せた少年はしかしすぐに気持ちを切り替えたのか手の中の魔石を愛用の拳銃型魔具の空いていたシリンダーに込めくすんだ魔石をまとめて袋に入れて急いで着替え始めた。
「皆学院にいき始めてる急がないとな」
着替え終えた少年は準備を急いで済ませると部屋を出て早足に食堂に向かった。
始まりの世界かつて創造神が最初に造り異なる次元に分けられていたものが旧科学文明時代の実験失敗の結果別れていた次元が融合しそのさいに魔王や七人の王が誕生し空想と思われていた神等が現れ新たなる土地や都市が出てきて果ては世界事態が拡大したりして当時は大混乱になった動乱の時代から約三千年たち今一つの魔法学院に一人の少年が現れていた。
「オッハヨ! 今日は月の始まりなのにのんびりだな三日月!」
食堂に向かっているといきなり背後から肩を叩かれ声をかけられた。
「おはよう、そっちは相変わらず元気だなぁ、ロズ」
振り返るとそこには笑顔で挨拶をしてきた一人の少年がいた。
彼の名はロズ、ロズ アースタ 俺の友人の一人だ。
「朝は元気な方がいい事ありそうだろ。ほら早く食堂にいこうぜ!」
「ああそうだな。」
先に食堂に向かい始めたロズに続いて廊下を歩き始めた。
食堂に着いたら何時ものようにロズが朝食を取りに俺が、席の確保に向かう。それがロズと友達になってからの習慣だった。
「三日月は何がいい?」
「俺はロズに任せる」
「了解、じゃ席の確保よろしく。」
そう言ってロズは食堂のカウンターに向かっていった。
「さて、どこの席にしようかなっと」
ぐるりと食堂を見渡す。
(相変わらず広いな…)
ここの食堂は寮生全員を一度に受け入れてもまだスペースに余裕ができるほど広く品よく置かれた観葉植物や光を多く取り入れる為に外に面した面は一面窓になっていて初めて見た時は食堂だと言われて酷く驚いたのを思いだしたりしながら席を探す。
「よし、あそこにするか。」
そう呟くと目的の場所へと歩き始めた。