第五話 永遠屋
A君の押したナースコールにより数名の看護士がA君達のいる部屋に駆けつけました。
部屋に駆けつけた看護士達は吐血しているB君に驚きながらも、止血を施しつつ数名いた内の一人が部屋を飛び出し、誰かを呼びに行きました。
帰ってきた看護士と共に部屋に入ってきたのは年輩の医者でした。その人を見てA君は、看護士だけじゃ手におえない危険な状態なんだ、と悟りました。
A君が呆然と立ち尽くしている内にB君の血は止まり、A君は年輩の医者に部屋からでるよう促され、病室の前でB君が吐血したときの詳しい状況を聞かれました。
すべての質問を終えるとその年輩の医者は「よく逃げ出さなかったね 偉いよ」と言って病室の中に消えていきました。
A君はその後も暫く呆然と立ち尽くしていました。
すると病室の中から微かに声が聞こえてきました。A君は病室の扉に耳を近づけて部屋の中の会話を聞こうとしました。
よく聞くとその声の主は先ほどの年輩の医者と看護士でした。聞いているとその年輩の医者たちは少し焦ったような声でこう言っていました。
「まだドナーは見つからんのか 早くしないと手遅れになるぞ」
「しかしドナーを探すには圧倒的に時間が足りません」
A君はそれを聞いてショックを受け、近くのイスに座り込んでこう考えました。
「もっと……時間があれば」
それを聞いて私はA君の元に現れました。彼は「時間があれば」と考えましたからね。
A君は私を見て驚いたように私に質問を投げかけてきました。
私は彼の質問に答えて、先ほどあなたに説明したように『永遠』について彼に説明しました。
そうしたら彼、目の色を変えて
「本当か!?本当に『永遠』が手にはいるのか」
そう聞いてきました。私は、不完全な『永遠』なら、と答えました。
そうしたらA君は、あいつが助かるならどんな『永遠』でもいい、そういって私に『永遠』を貸すよう頼み込んできました。
私は彼にいつから『永遠』にするか聞くと彼は、今日からにしてくれ、と言ってきたので私はその日から彼に『永遠』を貸しました。
彼は喜んでいましたが、その先にはもっとつらいものが待ち受けていました。