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夏の雪  作者: sakura
~宿泊研修~
9/28

09.宿泊研修~私のキモチ、君オモイ~

-翌日-


よく晴れている。良かった。いい研修になりそう!!

早く寝たから、早く目が覚めた。

これで直輝に迷惑をかけなくても済んだ。

朝日、気持ちイイ~~~  って、ん?あれは?

直輝?! 早くない? まだ20分も前だよ?

いや、まさか!!直輝はいつもこれくらいに来てるとか?

じゃあ、私はどんだけ待たせてんのよ。

今日くらいは急がなくちゃ!!


荷物ok!よし!!直輝が待ってる!


 バタバタ……


『行ってきまーす!!』


「気をつけてね。結希奈。行ってらっしゃい」


『うん!!お母さん、ありがと!』


「はい」




『直輝!!!』


「へ?」


上の空だった直輝はなんだか、

今まで見た事のないようなものを見ました!

みたいな目でこっちを振り返った。


『お、おはよ』


「あ、あぁ。 てか、大丈夫か?お前早くね?いつもより15分も前だぞ?何かあったのか?」


『いや、部屋から直輝が見えたから、待たせちゃいけないと思って』


「あぁ、そういう事。  ん、じゃあ、行くか」


『うん!!楽しみだね!!』


「っ!!  お前さぁ…」


『ん?』


ため息交じりで直輝が呟いた。


「いや、やっぱなんでもない」


『うん?』


それっきり直輝は、しゃべらなくなってしまった。

話しかけても、「そうだな」とか「あぁ」しか返ってこない。

やっぱり、何かあったのかな?私、何かしちゃったの?


どうしてだろう。なんでこんなに胸が痛いの?

直輝? 私、分からないよ… どうすればいいの?

不意に、涙が出そうになった。



-3時間後-



「わぁ~すごい!」「海、綺麗だね!!」「ホテル、超豪華じゃん!」


ホテルに到着した。皆は、口々に感動を表わしている。

でも、私は


心:「ゆき?大丈夫?」


莉:「顔色、悪っ!」


『え?あ、ごめん!ヘーキだよ?』


私、上手く笑えてるよね?

折角の研修なんだ!楽しまなくちゃ!

莉沙と心に迷惑かける訳にはいかないんだから!

しっかりしろ!自分!!


「ゆき…」


『ホント大丈夫だって!気にしないで』


心:「なんかあったら、ちゃんと言ってね?」


莉:「無理は絶対しない事!!」


『分かりました。ありがと。心、莉沙』


莉:「ゆき~~~~!!!」 ギュゥ!!


心:「うるっ!」 ギュウゥ!


『わぁぁぁ~  って、痛いよ!!』


「「「ははは」」」


3人で、笑いあった。きっと、大丈夫だよ。


で、今日は、午後から自由行動なんだけど

その前に。お昼を作らなきゃいけない。

私たちのグループは、王道のカレーを作ります!

女子は、カレーの下準備をして、男子は、火熾しをする事になった。

でも、直輝はクラス委員なので今も、クラスのみんなに

指示を出している。忙しそうだなぁ。無理しないでね…。


まぁ、私たちは野菜を切る事になったんだけど


『わぁー!莉沙!危ないから!!』


『て、心!!指、気をつけてよ!!』


そう、この二人。はっきり言うと、料理には向かない。

今だって、包丁を握る手が震えている。

私は、小さい頃から母の手伝いをしていたし、

それなりに料理もできる。

本当のお母さんとお父さんに再会した時に、

手作りの料理を食べさせたいと思って手伝い始めたんだけどね。

という事で、二人には洗い物を頼んで。

私が下準備をすることになった。


莉:「ゆきって、ホント料理できるよね~」


心:「羨ましいなぁ~」


『こんなの誰でもできるよ。今度、二人にも教えてあげるよ』


莉:「え?イイの??」


『もちろん!!』


心:「ありがとー!ゆき」


『ふふっ』


私は、こんな二人が大好きです(笑)

二人のおかげで、元気が出てきた。

すると


隼:「莉沙は、昔から料理は向かないもんな~」


莉:「隼!! うっさいわね!人は一つくらい向かないものはあるわよ!!」


隼:「はいはい、分かったよ」


心:「で、隼くん。何かあったの?」


隼:「あぁ~、そうそう。ゆき。お前さ、直輝と何かあったの?」


『っ?!  …分からない…』


隼:「分かんない、かぁ~」


莉:「七河がどうしたのよ?」


隼:「ん?いや、直輝さ、昼は別グループで食べるとか言い出したからさ…」


「「「え?」」」


隼:「変だろ?何かあったのかって聞いても、答えねぇし…。ゆきなら何か知ってるかな?と思って」


『そうなんだ…』 


体から何かが抜けたようだった。



隼:「え?ゆき?大丈夫か? なんかごめんな?」


『うんん、いいの。 あ、隼くん。これ、下準備、終わったから』


隼:「あ、サンキュー じゃ、火にかけてくるわ~」


隼くんが行ってしまった後、なんだか体が重く感じた。


心:「ゆき?」


莉:「七河も何考えてんだか…」


『私は、大丈夫だよ?ホント気にしないで?あ、でも、ちょっとトイレに行ってくるね!』


「…………」


二人の心配そうな顔を見て、

思わず泣いてしまいそうだった。

私、完全に直輝に避けられてるな。

そう思ったら、ホントに涙が溢れてきた。

皆に知られたくないから、ホテルのトイレまで走った。


『直輝…』


声に出したら、急に切なくなった。

私、どうしちゃったんだろ?

直輝の態度一つで、こんなに落ち込むなんて。

らしくもない。だけど、だけど!

今の涙は止まらない。止まってくれない。

涙の正体を理解するのに時間はかからなかった。




私は、直輝の事…好きなんだ。

でも、こんな気持ち、伝えられないよ。

私は、直輝とこのままでいたいよ。

直輝…。お願いだから、避けないで…。

何かしちゃったんだったら、謝るから…。

いつもみたいに、笑ってよ…。お願い…!!


『直輝!!!』


気づいたら小さな声を上げながら、

私は、泣いていた。



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