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夏の雪  作者: sakura
~高校生活~
6/28

06.部活~まさかの甘い時間?!~

-数日後 放課後-


今日は、部活見学+体験入部がある。

見学しながらも先輩たちと活動ができるのだ。

私は、部活に対してやる気がないので、帰宅部になる事にした。

心も莉沙も同じ感じ。

だけど、あの三人は、


隼:「おい、直輝。早く行こーぜ?」


直:「ちょい、隼!服を引っ張るな!」


奏:「隼、少し落ち着いて下さい!」


隼:「いーじゃんか~。俺、すげぇ楽しみだったんだよ!久しぶりのバスケ!!」


テンション高っ!!まるで、


直:「小学生か」


って、直輝と同じ事、考えてたんだ。


直:「たくっ。 まぁ、しゃーね、行くか。あ、奏多も参加だぞー」


奏:「……分かりましたよ。早く行きましょう」


という訳で、バスケ部の方に行ってしまった。

私達だけが教室に残された。

すると、莉沙が


莉:「お願い!ゆき、心!バスケ部、見に行きたいんだ!」


「「え?!なんで」」


思わずハモってしまった。


莉:「私、あの…その…」


心:「莉沙?」


莉:「私!超カッコいい先輩、見つけたの!!だから、ついて来て!」


心と私がポカーンとしていると、


莉:「ば、べべ別に、無理にとは言わない!けど…頼めるのゆき達くらいしかいないから…」


出た。莉沙のツンデレ。


『まぁ、しょうがない。やる事もないし、行こ?心』


心:「そうだね。行こっか」


莉:「ありがとーー!!!!」


いわゆる、恋する乙女の付き添いという訳で。

直輝たちを追いかけるように、私たちも体育館に向かった。


-体育館にて-


ギャラリーに行くと、すでに沢山の女子がいた。

その視線の先にいるのは…


「キャー!直輝くーーん!!」「隼くん、素敵~!!」「奏多様~!!」


この三人。


心:「相変わらず、すごい人気だね」


『そうだね。で、莉沙。見つかった?』


莉:「うん!!あの青いシャツ着てる人だよ!カッコよくない?」


…青いシャツ? あぁ、あの人か。

整った鼻で、茶色がかかった髪。

ぱっちり二重の大きな瞳。

流れる汗もキラキラしている。

完璧に莉沙のタイプだな。



『カッコいいね。心は?』


心:「カッコいいと思うよ」


莉:「でしょ?!」


輝き続けるあの三人に、

負けないくらいの煌めきを持ってる人だと思う。

きっと、今まではあの先輩が、

こうやって叫ばれていたんだろう。


莉沙を見ると、夢の中だった。

心を見てみると、誰かを目で追っている。

誰…? 隼くん?

隼くんが動けば、心の目も一緒に動いている。

あぁ、心は隼くんが好きなんだ。頑張れ!心!!

って、肝心な事を忘れてた。


『あ、ねぇ、莉沙。あの先輩の名前は?』


莉:「え?黒野穂高先輩だよ?」


『ふーん。ん?黒野って、生徒会長じゃない?』


莉:「えぇー、気づくの遅~。心は気づいてたよね?」


心:「もちろん。あれ、ゆきは気づいてなかったの?」


『うぅ…はい』


莉:「ははー、ゆきらしい」


『うるさいな…………って、直輝?!』


直輝がコートの中で倒れた。

と、同時にホイッスルが鳴り響く。

直輝に意識はあるみたい。でも、足を引きずっている。

私は、走り出した。


莉:「え?あ、ちょ、ゆき?!」


心:「どこ行くの?!」



二人の声も聞かずに直輝のもとに走った。

自分でもよく分からないけど、走っていた。

マネージャーに聞くと、保健室に向かったらしい。

直輝は「一人で行く」と言って聞かなかったようだ。

きっと、今も一人で歩いているはず…!

体育館から保健室まではなかなか、遠い。


私は必死に直輝を追いかけた。

体育館からは、また黄色い歓声が響きはじめた。


しばらく走って、廊下でうずくまっている人影を見つけた。


『直輝!!!』


「?!  って、お前かよ…。」


『何やってんのよ!!』


「いや~、足を挫いたらしくてさ、あはは」


『だから、そーじゃなくて!ああー、もう!!ほら!肩、掴まって』


「え、あぁ、うん」


直輝は自分より人の事を考える。

だから、素直になれなかったり、人に頼る事をしなかったり…

不器用だし、変に遠慮するし…

まぁ、私も人の事は言えないとこもある。

莉沙にも心にも

「ゆきはちゃんと人を頼らなくちゃ!何の為の友達なの?」

と言われた事がある。


だけど、たとえ人の事を言えなくても、

直輝には無理しないでほしい。

一番最初に助けに行くから、助けを求めてよ。

もっと、もっと…


『頼ってよ…』


「え?」


『もっと、もっと頼ってよ。私の事…

私って、そんなに頼りないの?

直輝を支えるくらいの強さは

持ってるはずなんだけどなぁ~』


私のバカ…!なんで、ここで泣くのよ。

いつも助けてもらってばっかりの私。

直輝と話した事もなかった小学4年生の頃。

母さんと父さん(←叔母と叔父です)とはぐれて、

迷子になった時、直輝が何故か隣にいた。

中三の時。変な人に話し掛けられて、連れて行かれそうになった時も、

直輝が来てくれた。

一番助けてほしい時、隣にいるのは、

友達でもなく、母さんと父さんでもなく、

いつも直輝だった。


「ゆき?」


『直輝が…助けて…って言った…ら、ちゃんと…助け…に行く…から…

 だからね…直輝の…こと…守らせてよ……うっ…くっ……』


「ゆき…。 ゆき、分かったから、泣くなよ」


そして、いつだって直輝は、


「泣かないで…。」


優しいんだ。


「なぁ、ゆき。俺の一番の助け、知ってるか?」


私の頭を撫でながら問いかける。


『…? 知ら……ない…』



「俺の一番の助けは、お前が、ゆきがいる事だよ?」


『…え?』


今、なんて言ったの?という言葉は、

言えなかった。それは、気づいたら

直輝の腕の中だったから。



「俺はずっと、助けられてきたんだ。ゆきにずっと」


『嘘だよ…だって…私……何も…ヒクッ…して…ない』


心臓がドキドキしてる。だけど、なんだか心地良い。


「いーや、ゆきは俺を助けてんだよ? 今だって、一番最初に来てくれたじゃん」


『そ、それは…』


直輝が心配だったからだよ?

でも、それは言葉にできなかった。

上手く言葉が出てこない。

こんな風に直輝と、

男の人と話すのなんて、初めてだから。


「じゃ、ゆきに頼もっかな。俺と保健室、行こ?てか、連れてって?」


『う、うん』


私はきっと、真っ赤な顔をしている、はず。

こんな顔、見られたくないから、直輝より一歩早く歩いた。


-保健室にて-


「あぁ。結構、派手にやってんなぁー」


そんな事を言いながら、手当をする

北川先生。


「2、3日はあんまり動くなよ?」


「はい」


「ん、出来た。たっく…気ぃつけろよ。学園の王子様の七河直輝君。」


嫌味っぽく笑った先生。



「やめて下さい、それ。つーか、俺、王子じゃないですから」


「ほぉー。  本人は無自覚か…」


「はぁ?」


「ま、いっか。いいじゃねぇの?

俺も高校ん時は、女子にキャーキャー言われて、

お前みたいな感じだったから(笑)」


「いきなり自慢ですか?嫌味ですか?」


「別にー」


「…。ありがとうございました。行くぞ、ゆき」


『あ、うん。失礼しました』


私たちは先生の言った事が、理解できずに保健室を出た。


-北川side-


保健室来室者

1‐3 七河直輝 捻挫


はぁ~ 面倒くさい奴。いや、奴ら。だな

4月から俺の仕事が一気に増えた。それの原因は。

「七河直輝・松本隼・林奏多が、

とりあえず何かをしてその仕草に

ノックアウトした女子生徒の世話と処理」というもの。

‷なんでこんな事をしなきゃ、なんねぇんだ。

たかが、男三人にやられるなんて…。

ここの女子は、ホントに大丈夫か?‴

と本気で思っていた。ついさっきまでは…。

七河がここに来た瞬間、それは覆された。


そして、俺は確信した。‘これは、奴らの所為だ’と。


まぁ、奴らも運び込まれてくる女子もかわいい生徒だし、

俺の後輩でもあるから、見捨てはしないが…

あの3人、あれは犯罪の領域だな。

やっと、女子の気持ちが理解できた俺だった。


-北川side end-


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