05.秘密の会話~君との時間~
-翌日-
「あ、ヤベ!!」
SHRが終わったら、突然、直輝が言った。
『直輝?どうしたの?』
「あ、いや。 ま、いっか」
『???』
「すぐに分かるって」
疑問いっぱいの状態で一時間目は始まった。
今日の一限は、数学。
数学は得意な方なので、テキトーに聞いとけば、終わる。
まぁ、教科書くらいは開いて、話を聞こうと思ったら…
直輝がさっと教科書を奪った。
『ちょ、直輝?何やってんの?』
「俺、教科書、忘れたから、見せて?」
と、さらっと答えが返ってきた。
『あぁ、そういう事ね。さっき、忘れたのに気づいたんだね?』
「大正解」
呑気だなー、こいつ。
てか、私の教科書、奪うなよ!
「あれ?ゆき、ノート書かないの?」
『あ、うん』
「書かなくても分かるって?(笑)」
『そーだけど?』
「………そう。」
私の返事が、意外だったらしい。
だけど、直輝のノートも真っ白だ。
そこで、私は良い事を思い付いた!!
〝ノート使わないんだったら、これで話さない?″
ノートの隅に書く。直輝に見せると、
‴いいけど それで頭、良いとか正直ありえない(笑)‴
〝うるさいなー。直輝も同じじゃん″
‴まぁ、そうだな‴
私たち以外の誰にも聞こえない
秘密の会話がはじまった。
〝そういえば、直輝と小中高と一緒だね?″
‴あぁ、そうだな。だけど、隣の席っていうのは‴
〝初めてだよ″
‴だよなー‴
こんなどうでもいいような会話をしていると、
一限目は終わりそうだった。
‴教科書、ありがと‴
〝使ってもないし、見てもないけどねw″
‴確かにwww‴
「じゃあ、今日はここまで!」
先生の声で号令が掛かる。
一限目、終了!!!