03.高校生活~入学~
4.8mon
Am6:00
ピピピ、ピピピ、ピィィィー バンッ!
ん~、眠っ…。
って、アカン!!
入学式から遅刻とかあり得ないから…。
今日、白汐 結希奈、高校生になります!
よし!制服OK!髪型OK!我ながら完ペキ! キラッ
さて、準備はできたので、出掛ける前に。
『おはよう。お父さん、お母さん。
高校生だよ?すごいでしょ?えへへー。
じゃあ、今日も元気に頑張るねっ』
真っ青な空に挨拶をする。
父と母は、外国に行ったと聞いている。
私が、小学生3年くらいからだそうだ。
それからは、叔父と叔母に育ててもらっている。
まぁ、朝のこの挨拶は、小学生からの日課みたいなもの。
正直言うと、私は本当の父と母の顔は覚えていない。
最初は、寂しいと思う事もあったけど、今は大丈夫。
絶対にいつか会えるって、信じてるから。それに私には、
『いってきまーす!』
「「いってらっしゃい」」
この二人がいるから。なによりも安心できている。
『おはよう』
「よっ、お前が寝坊しないなんて、珍しい事もあるんだなぁ~」
『うるさいなー』
家の前で待っていた彼。彼は、七河 直輝。
紺色っぽい髪に、すっきりとした顔。
身長は、186㎝くらい。
まぁ、普通にイケメンと呼ばれる人なのかな?
あまり、意識をしたことがないので、分からないけど…。
直輝と仲良くなったのは、一年前。
進路が、同じ高校という事で話すようになった。
しかも、直輝の家は、私の家の隣の隣だった。
直輝は、遅刻をしやすい私のために、毎日迎えに来てくれる。
おかげで、去年から遅刻が0になった。
「お前が、ちゃんと起きるなんて“なんか”あるんじゃねぇの?」
『“なんか”って、何よ!これから、ちゃんと起きようって思ったの!』
「へぇ~。まぁ、今日は嵐だなぁ…」
『何、切なげに言ってんの?!訳分かんない!!』
「お前が、ちゃんと起きれるようになったら迎えに行けねぇじゃん…」
『なんか言った?』
「別に。誰かさんの鈍さに感心してた」
『???』
もーう、ニヤニヤして。なんかムカつくなぁー。
直輝は、いつもこうだ。小言の一つ二つ、言わないといけないみたい。
それを向けられるのは、いつも私。
確かに、寝坊はするけど…
人が努力しようとしたら、すぐバカにする。
もういい!考えない。考えない。
『そうだ。直輝って、新入生代表の話だっけ?』
「あぁ、そうだったなぁ。」
『嫌そうな顔~』
「だって、嫌だも」
『即答はダメでしょ。』
「ま、これが実力だよ?二番手さん」
そう、直輝はこんな感じだけど、頭が良い。
テストをやると、直輝が一番で、私がいつも二番。
未だに、直輝の壁を越えたことはないなぁ。なんか、地味に悔しい…。
そんな事をしていると、二人の女の子がやって来た。
「おはよう」「おっはー」
『おはよう。心、莉沙』
二人は、私の親友。同中で、これから三年間も一緒。
心は、黒いショートボブの髪に、とろんとした目。
笑うとできるえくぼが可愛い。
そして、雰囲気がほわぁ~としている。
癒しキャラみたいな感じ。性格は大人。
すごく普段は優しい。でも、一度キレると怖い…。
莉沙は、心とは違い、イマドキの女の子って感じ。
長いふわふわのロングヘア。
ぱっちりした二重の目に、無駄がない顔のライン。
かなりの美人さん。
性格は、ちょっとツンデレが入ってるけど、普通の女の子。
莉:「あれ?初日から、一緒に登校ですか?仲良しさん」
心:「ホント仲イイよね。もうすぐ、手を繋ぎだして…」
莉:「段々と私たちの居場所がなくなっていく。って感じ?」
心:「そうだね」
『そんなんじゃな~~~~い!!!!』
心:「え?違うの?」
莉:「違わないでしょ」
『あり得ないよ。絶対!』
「「な~んだ。残念…。」」
二人は、こんな感じ。
全く、もう!直輝と私がカレカノ?ないない。絶対ない。
まず、あり得ないでしょ?考えてごらんよ!直輝はさぁ~
「莉沙、ゆきが変」
「ホント忙しい子だよねー」
「ゆきらしいけどな」
「「うんうん」」
こんな事を考えている私の耳には、三人の会話は入ってこなかった。
何がともあれ、学校に到着。
やっぱ、高校は広いなぁ。って、感心してる場合じゃない。
『まずは、クラスを確認しなきゃね』
「三人一緒がイイよね」
「私も、莉沙とゆきと一緒がいぃー!!」
数分後―
『んーと、白汐…白汐…』
「あ、あった!ゆきも莉沙も一緒だよ!」
「あ、ホント。三組だよ?ゆき」
私と莉沙、心は1‐3で同じクラス。
『やったー! また一年、莉沙と心と一緒!』
すると、直輝が近付いて来て、
「あれ?お前も三組?」
『あ、うん、そうだよ?』
「ふーん。と、まぁ、俺も三組」
『へぇ~ え?!』
「ついでに、隼と奏多も三組」
「よろしくな!ゆき」
「よろしくお願いします」
『よろしくね!二人とも』
隼くんと奏多くんは直輝の友達。
隼くんは、子供っぽいけど爽やかで、
運動神経抜群。
それで、女子からの人気は半端ない。
奏多くんは、クールでいて、すごく優しい。
みんなへの気遣いができるし、
莉沙いわく‘敬語でやられる女子が多い’らしい。
だから、この人も女子からはモテる。
ちなみに、私たち6人は同中。
だけど、クラスが全員一緒なのは、初めて。だが
莉:「はぁ~?! なんであんたと同じクラスなのよ!!!」
心:「莉沙。落ち着いて…」
隼:「うるせーぞ。莉沙。俺だって、嫌に決まってんだろ?!」
またやってるよ…。あの二人。
奏:「はいはい。隼、行きますよ?」
直:「置いてくぞーー」
隼:「て、うぉい!!待てって!」
莉沙と隼くんは口げんかが絶えない。
目が合えば、けんか。すれ違えば、けんか。
けんかばかりするので、
中学ではかなり有名な二人になっていた。
そんな二人を止めるのは、私たち四人。
ま、莉沙も隼くんも本気でけんかしてないって、
分かってるからいいけど…。
それは、今は置いといて。
とりあえず、あの方たちは、
単体でいてもかなりのイケメン。の三人がつるんでいたら、
女子たちが放っておく訳ない。
三人が動けば
「何、あの人たち!!」「めっちゃ、イケメン!!」「超ヤバいじゃん」「てか、誰?あれ」
こんな話題で、持ち切り状態。
これに巻き込まれると、マズいので、一足先に教室に向かった。
-教室にて-
「ほっんと、ムカつく!!!」
莉沙は、隼くんを何故か敵視。
『まぁ、莉沙。落ち着いて?』
「ゆきは、思わないの?」
『…何を?』
「隼がムカつくって」
『ん~。ないかな。ね?心?』
「そうだね。ちょっぴりあるけど、莉沙ほどじゃないよ。ね?ゆき?」
『うん』
「あぁ、もうなんなのよー!二人して!!」
莉沙さん。あなた完敗です(笑)
噂をすればなんとやら、
人が教室に向かってくる感じがしてきた。
廊下は、人でいっぱいになりつつある。
お?あれは、男子かな?
先輩っぽいなぁ、あの人達。
って、おいおい。大丈夫か?ここの学校…。
教室にいた人たちも「まさか、来たんじゃない?」「噂の三人?」「絶対来てるよ!!」
とかなんとか言って、騒ぎ始めた。
「賑やかだね?」
「嬉しくない」
『ちょっと、莉沙…』
「だってさぁ…」
キァァーーーーー!!!!
莉沙の言葉は、絶叫に消えていった。そして
ガラッ
いつも通りに(←今日が初日です)
何事もなかったように教室に来た、この三人。
直:「すごいな。高校って」
隼:「あぁ、人数半端ねぇし。なんか、疲れたぁ」
奏:「確かに。でも、隼?歓迎されてるんですよ。なので、そんな事言わない」
隼:「はいはい」
席に着くなり、愚痴と自慢。
奏多くん。こんな歓迎されるのは、あなたたちだけです…。
天然っていうか、なんというか。
責める気にもならないなぁ。
心も気にしてないみたい。だけど
「あんたたちねっ!!!
朝っぱらから、うっさいの連れてこないで!!迷惑。
中学の時からじゃない!!
少しは、直しなさいよね!
それに、こんな歓迎されんのあんた達だけだから!!!」
莉沙がキレた。
大波乱の高校生活がこの瞬間、幕を開けました…。