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記憶喪失の大量殺戮者(ジェノサイダー)  作者: 黒雨みつき
第1話『記憶喪失の大量殺戮者(ジェノサイダー)』
2/32

その1「記憶喪失の大量殺戮者(ジェノサイダー)」

 俺は夢を見ていた。

 過去形だ。だから、今はもう見ていないってことになる。先ほどまで鮮明に映っていた映像も、リアルに響いていた音も、全て消えてしまった。

 目の前にあるのは、闇、闇、闇。

 視覚も、嗅覚も、聴覚も、全てが遮断されてしまっている。

 その代わり、俺の体が唯一感じていたもの――

(あー、腹減った)

 空腹である。どうやら意識の半分はすでに覚醒しかけており、この怠惰な肉体も起きることを要求しているらしい。

(ふむ、今日の朝飯はなんであろうか……)

 思わずそんなことを想像してしまう俺。これは別に食い意地が張っているわけではなく、動物の本能による極めて自然な反応である。

(昨日はあまり好きな物じゃなかったしな、今日こそは――)

 そうそう。

 昨日の朝食は確か――

(……ん?)

 思い出せなかった。

(なんだったか……)

 とにかく、嫌いなものばかりで、ほとんど手をつけなかったような記憶はあるのだが。やはり思い出せない。

(なんだ? おかしいぞ?)

 だいたい、俺はそれほど好き嫌いはないはずで。嫌いなものといえばせいぜい限られていて――

(なんだったか……)

 それもやはり思い出せない。どうやら、頭がまだ完全に覚醒していないらしかった。

(やれやれ、この歳で健忘症か)

 そんなことを思って、感覚だけで苦笑する。そうしながら、現実でも寝ながら笑っていたら不気味だろうな、などと考えてみるが、まあそんな心配はない。何故なら、俺には寝顔を見られる心配をしなければならないような、そんな関係の人間は――

(……いない、はずだな)

 多分、いない……だろう。

(うん? 何か変だな……さっきから)

 いくら頭が半分寝ているといっても、思い出せないことがあまりに多すぎる。

 それも、生活に深く密着した部分まで思い出せないという……なんか、あまりにも不自然な気がした。

 そして、

(そもそも――)

 そして、俺はそこで重大な問題を発見してしまったのだ。

(……俺って……誰だっけ……?)





 

~記憶喪失の大量殺戮者ジェノサイダー






(うーむ。俺は一体誰なんだ?)

 これは大問題だった。理由はよくわからないが、俺は自分が誰なのか思い出せないらしい。

(名前すら思い出せないってのは、もしかして相当ヤバいのではないか?)

 いくら頭が半分寝ているとはいえ、さすがにありえない話だ。

 そもそも、俺はどこでどうやって寝ているのだろうか。

 昨日はなにをしていたのだろう?

 寝る直前は――

(……思い出せないな)

 はっきりとわかるのは二つだけ。

 どうやら、俺はこの世に存在していて。そして、どこかで寝ているらしいということ。

(そういや、さっきから少し眩しいな)

 瞼の裏に微かな光を感じた。ということは、少なくとも朝なのだろう。どうやら、体の感覚も少しずつ覚醒してきているようだ。

(それでも思い出せん)

 本格的にヤバい。

 そして、達した結論。

(もしかして……俺、記憶喪失というやつではないのか?)

 それは非現実的な発想でありつつも、今のこの状況にはマッチしている気がする。

 とはいえ、それにしては頭の中が嫌にすっきりとしているが……こんなものなのだろうか? 俺にとっては未体験ゾーンなので、はっきりとしたことは何も言えないのだが。

(さて、どうする)

 考える。

 考える頭が残っているということは、それほどひどい状態ではないと考えられる。脳に異常があって余命幾ばくとか、実はどこかの療養所で寝たきりとか、そういうことではないはずだ。

(とりあえず自分の名前もわからんのでは困るな。思い出してみよう)

 考える。

 一秒。

 二秒。

 三秒――。

(……ま、いいか。起きればなんかわかるであろう)

 すぐにそんな結論が採択されてしまった。この結果から推察するに、俺は相当楽観的な性格なのだろう。

(ネガティブよりはよっぽど良いではないかッ!!)

 意味もなく力説しているうちに、体が目覚めることを脳に要求し始めた。

 いや、脳が体に要求してるのかも。

(まあ、どっちでもいいか)

 そんなこんなで、俺の体はついに目覚め始めたのである――

 

 ポカポカとした陽気が心地よい。俺が寝ているところには、太陽の光が直接射し込んでいるらしく、少しの眩しさと心地の良い温もりを注いでくれている。

「ぅ……む……」

 体の感覚は完全に戻っていた。それとともに、後頭部に若干の痛みが蘇ってくる。

(ああ。記憶がはっきりしないのって、これが原因ではないのか?)

 だとしたら相当ヤバいんじゃ、とか思ったが、それは言わない約束である。

 考えたら負けなのだ。

(さて、あとは目を開けるだけなのだが……目を開ける前にやっておかねばならないことがある)

 そう。それはとても重要だ。

 ――なにが、って?

 考えても見るがいい。人間はだいたい一日に一回は睡眠をとるわけで、眠りから目覚める機会なんてのは月に三十回ほどもあるのだ。

 ――え? なにを言っているのかわからないって?

 つまりだ。俺が言いたいのは、普通に眠りから覚めるだけなら、別に記憶喪失じゃなくても出来るってこと。これなのだ。俺はそんな当たり前の人生など、これっぽっちも望んでいない。せっかく、記憶喪失などという、誰でも体験できるわけじゃない出来事に遭遇したのだ。楽しまなければ、記憶をなくした分だけ損であろう。

(ということで……目を開けた瞬間、どんな光景が待っているのか想像してみようではないか!)

 なにしろ、こっちはなにも覚えていないのである。

 もしかしたら、大金持ちの一人息子かもしれないし、どこかの国の王子様、なんてことも考えられる。それを、この、現時点で感じられる少ない手がかりから想像してみるのだ。

 名付けて“記憶喪失でびっくり! 俺って○○だったの? ゲェーム!!”である。

(こんなゲームをやったのは、世界広しと言えども俺ぐらいのものだろう……)

 それって結構すごいことだと思うのだが、どうだ?

 さて、そんなこんなで。

 まず最初に、出来うる限りの情報を集めてみよう。

 第一に、俺が寝ているところ。

 これは紛れもなくベッドの中だ。そして、近くには窓があり、そこからは太陽の光が射し込んできている。

 第二に、雀の声が結構近くに聞こえている。ということは、大きな屋敷の奥深くとか、どこかの地下室とか、そういう場所でないことは確かだ。

(おそらく、少し小さめの一軒家らしきところ……)

 近くに人の気配は、ない。多分。少なくとも、大勢の人間が動いているような気配はない。

 この時点で、大金持ちであるという望みは薄れてしまったようだ。

(なんか、いきなり楽しみが薄れてしまったな……)

 こうなったら、もっと一般的な楽しみに期待するしかない。

(そうだな……目が覚めたら、とてつもなく可愛くて優しい女の子が看病してくれている、というのはどうだ?)

 確かに、人の動いている気配はしない。が、例えば、ベッドの脇で看病に疲れて寝てしまっているとか、今はここを離れて朝食を作ってくれているとか。

 有り得ない話ではない。というか、記憶喪失になっちゃったのだから、それぐらいの役得があってもいいではないか。

(次。職業でも予想してみるか)

 これは難しい。職種など大量にあるし、手がかりがあまりにも少なすぎる。

 とりあえずは体の感覚から、自分の外見予想でもしてみよう。

(……結構背が高いように思えるな)

 俺の予想では百九十センチといったところか。結構細身で足も長いような気がする。

(実は、結構いい感じか?)

 これに関してはちょっと期待してもいいようだ。

 そして、ここから職種予想であるが――

(細身にしては筋肉が結構ついている)

 ということは、ある程度体を使う仕事なのかもしれない。

(大工! ……ってのは)

 そう思ったが、あまり格好良くない。どうせなにもわからないのだから、もっと夢を見てもいいだろう。

 考えを巡らせる。

 体を使い、希少価値があり、格好の良い職業――

(デビルバスター! ってのはどうだ)

 結局、俺が行き着いたのはそこだった。

 デビルバスターというのは、いわゆる、この世に害の成す“魔”を退治する、まあ、俺たち一般人にしてみれば、憧れの対象なのである。

 ただ、これも“魔”を退治していれば勝手に名乗れるというようなものではなく、年に一度、帝都ヴォルテストで半月にも及ぶ選定試験が行われ、合格率一パーセント未満という狭き門をくぐって、ようやくデビルバスターを名乗れるわけだ。

 これには人魔を退治する技だけではなく、人魔たちに関する幅広い知識の他、一般的な教養もかなり深く拾得していなければならないのだが――。

(……あんまり知識持ってないな)

 しかしこれは、記憶喪失の影響ということも考えられる。

(よし。決定ということにしよう)

 俺の職種はデビルバスターだ。

(おぉ、なんだか明るい未来が見えてきたではないか)

 特別裕福なわけでもないが、しっかり看病してくれる女の子がいて(恋人かどうかはまだ決めてなかったが、少なくとも悪い関係ではないだろう)長身、細身でルックスが良く(?)、そしてみんなの憧れの的、デビルバスターである。もちろん強いのだ。

 これ以上を望んではバチが当たってしまうに違いない。

 目を開けるのが楽しみになってきた。

(……もっとも、どう考えても期待ハズレなんだろうが)

 考えてはいけないことを考えてしまった。

 ……が、せめて一つぐらいは現実になることを祈ろう。

(開けるぞー、目を開けるぞー……)

 誰に言うでもなく、心の中でそう呟くと、俺はゆっくりと目を開くことにした。

「……ん……眩しいな」

 薄く目を開けると、まず真っ先に太陽の光が飛び込んできた。視界が真っ白になって何も見えなくなる。

 だが、眩しかったのもその一瞬だけ。

 すぐになにかが太陽の光を遮るようにして、俺の視界の中に現れた。

(ん……人、か?)

 その人物はまるで覗き込むようにしてこちらを見ている。ただ、逆光になっているため、その顔は全く見えなかった。

「お目覚めになりましたか?」

「!?」

 その声は――俺の錯覚でなければ若い女の子のように聞こえた。

(そ、そんな馬鹿な!?)

 先ほどの妄想が現実になったのかと、俺は内心ドキドキしていた。

(……だが、待て)

 冷静になるよう努力する。

(声はちょっと可愛い風にも聞こえるが、だからといって顔が可愛いとは限らないし、優しいとも限らないではないか)

 だが、そう考える頭とは裏腹に、俺の期待感は全く止まらなかった。

(落ち着け……わかっているのだ。どうせ喜ばせておいて、いきなりどん底に突き落とすに決まっている。それが奴の手口なのだ。騙されるな……)

 誰の手口だがさっぱりわからないが、ぬか喜びなどゴメンである。期待すればするほど後で馬鹿を見る。もしも、俺の期待通りだったとしても……期待していなかった方が嬉しいではないか。

(そう、不細工で性格の最悪な女に違いない……絶対そうだ)

 そんな俺の心の葛藤など全く無視して、目は徐々に太陽の光に慣れてくる。眩しくてまともに見ることの出来なかった女の子の顔が、俺の視界のなかではっきりと形を取り始めた。

 そして、俺の目に映った女の子は――

「……のわああああああああああっ!!!!!!」

 ずざざざざざざっ! ←ベッドの端に後ずさる音

 ずるっ……ゴンッ! ←ベッドから転げ落ちる音

 ドダダダダダダッ!!! ←木の床を四つ足で移動し、ベッドから離れる音

「はぁっ! はぁっ!!」

「……?」

 そうして部屋の壁に背中を張り付かせた俺を、女の子は少し不思議そうに見ていた。

 が、今の俺にはそんなことを気にしている余裕などない。

(や、ヤバい!)

 俺は冷や汗が背中を伝うのを感じていた。

(ま、待て! 落ち着くのだ!!)

 誤解のないように言っておくが、俺が逃げたのは、視界に現れた女の子がとてつもなくブサ――いや、つまり、その、オブラートに包み込んだ言い方をすると、いわゆる“地球外生命体”だったから……ではない。

 その“逆”である。

(やたらと可愛いではないか!!)

 そう。可愛いのだ。俺の頭の中にいた“可愛くて優しい女の子(想像図)”が一瞬で吹き飛んでしまうほどに。

 とてもベリーでキュートなぐらいに可愛いのである。

 汚れのない澄んだ水のように綺麗で大きな瞳。

 これ以上ない、というぐらいに整った顔立ち。

 首をかしげて、不思議そうに俺を見つめるその表情。

 どこにも、俺にとってマイナスになる要素は持ち合わせていなかった。

(た、ただ――)

 そんな中、なんとか冷静さを少し取り戻した俺は、もう一度、女の子の出で立ちを観察して……そして、結論を導き出した。

(少し……年齢的に、な)

 目の前にいる女の子はせいぜい十歳を少し越えた程度だった。“可愛い”と感じたのは確かだが、それはどちらかというと、男が女に、ではなく、大人が子供に対して感じるそれに近い。

 俺の歳がいくつなのかはっきりしないが、おそらく歳の差は十歳以上あるだろう。

(う、うーむ……ま……まあ良い。まだなにもわかってないのだし、もしかしたら、兄妹とかそういう関係かもしれないではないか)

 ひとまず自分の心を落ち着かせた。というより、看病してくれていたのだから、そういう可能性の方が却って高いわけで。娘ってことはさすがにないと思うが、それすら定かではない。

(とにかく、ここはこの娘に話を聞こう。このままではなにもわからん……)

 そう決心し、まずは何から聞こうかと、ようやく冷静になった頭を働かせ始める。

(まずは名前か……うむ。そうだろうな)

 が、ここで再び、静まり始めた俺の心の小池(謎)に大きな巨石が投じられることとなった。

 それは、女の子が首を傾けながら放った一言。

「御主人様? どうなさったのですか?」

「……な、なななななな……なにぃぃぃっ!!???」

 再び後ずさりそうになって、後ろが壁だったことに気付き、そのままずり上がるようにして立ち上がる。

「ご、ごごごごご、ごしゅじんさまって、だ、だだだだだ、誰のことなのだっ!!?」

(も……もしかして俺は、こんな女の子を隷属させて喜んでいる、超絶変態野郎なのかぁっ!!!?)

 話がいきなり飛躍しすぎであった。

「御主人様?」

「み……見るなっ! そんな目で俺を見るでないっ!!」

 壁に背をつけたままでブンブンと首を振る。

「わかりました」

「……へ?」

「これでよろしいですか?」

 女の子は俺に背中を向け、全く冷静な声でそう言った。

「は、はぁ、まあ……」

 そんな女の子の行動に、俺は少し落ち着きを取り戻す。――というか、半分はネタだったので、冷たく流されたようでちょっと淋しい。

「……今のはちょっとした冗談だ」

 ちょっと気抜けしたままトコトコとベッドに戻る。

 これ以上、ネタに走るのは気が引けたので、本格的に事情を聞くことにした。

「なんというかだな……その、驚かないで欲しいのだが」

「はい。わかりました」

「……いや、その前にこっちを向いてくれんか?」

「? もう、いいのですか?」

 背中を向けたまま、不思議そうに聞き返してくる。どうも、相当に律儀な子らしい。……それとも、単なる嫌味か?

 現時点ではどっちか判断するのが難しいが、とりあえず、ここは振り向いてもらわなければ困る。

「うむ。振り向いても構わんぞ」

「はい。ありがとうございます」

 こちらを振り返って、ゆっくりと律儀な感じに頭を下げた。

(……なんか反応がちょっと変だな、この娘)

 俺は初めてそう思った。

 だがとにかく、彼女の口調や反応からして、俺がどうやら彼女の“御主人様”であることは間違いないらしい。どういう経緯でどういう目的かはわからないが、俺はこの女の子を雇っているのだろう。

 周りを見る。

 どこかの一軒家かと思っていた場所は、少しだけ立派な小屋だった。日用品は一応揃っているが、長く住むのに適したような場所ではない。

 これらから察するに、やはり俺は少々金持ちの家の人間で、ちょっとした小旅行に召使いの少女を連れてきた……という感じなのか?

(……待て待て。結論を出すのはまだ早い)

 そう。まずはこの少女に事情を話し、そして俺が何者であるのか、正しい情報を手に入れるべきではないか。

「ということで、どうやら……俺は記憶喪失らしいのだ」

「記憶喪失ですね」

「ぜんっ……ぜん、驚いておらんな」

「御主人様が驚くなと言いました」

「……なるほど。正論ではある」

 とはいえ、普通は少しぐらい驚くものだと思うのだが、どうだろうか?

「では、どうなさいますか?」

 やはり動揺の色さえも見せない女の子。やはり奇妙な娘だと思ったが、今はとりあえずそんなことを気にしている場合ではなかった。

「俺に聞かれても困るのだが……まずは、俺の名前と君の名前、それに、俺と君との関係を教えてもらいたい」

「わかりました」

 女の子はゆっくりと頷いた。それと一緒に、彼女が頭につけているサークレットの宝石が、太陽の光を反射してキラリと光る。

 黒い宝石。

 なんという宝石だろうか。見たことがない。

(そういえば……格好も妙だ)

 彼女の出で立ちをもう一度観察する。

 高価そうな黒い宝石のはまった銀色のサークレットに、法衣のような白い装束。どう見ても一般人の服装ではなく、かといって、どこかの貴族に使える召使いの出で立ちでもない。

 敢えて近いものを挙げるとするならば――女神官と言ったところだろうか。

 まあ、彼女の主人が変わった趣味の持ち主で、召使い全員にこういう格好をさせているというのならわからんが。

(変わった、というか、そこまでいくと変人ではないか……)

 どんな主人か見てみたいものである。

(……俺だ)

 心の中でやっても誰もウケてくれない。

 ちょっと空しい。

「御主人様のお名前はヴェスタ=ランバート様とおっしゃいます」

 そうこうしているうちに、女の子の説明が始まった。

「ヴェスタ、ランバート?」

 聞き覚えのない名前だ。

(……って、それはヤバイではないか!)

 心の中で突っ込みを入れる俺。

 やっぱり空しい。

「私の名前はミュウと申します」

「ミュウ、か。ふむ」

 女の子によく似合った……可愛らしい名前だと思った。

 そして、ミュウは言葉を続ける。

「御主人様は私の御主人様です」

「それは当たり前だ」

 思わず素で突っ込んでしまったが、ミュウは笑わなかった。

「そして、私は御主人様の奴隷です」

「なるほど」

 まあ、簡単な説明ではあったが、それ以外に説明のしようがなかったのだろう。

 とりあえず、俺の名前はヴェスタで、彼女の名前はミュウ。そして俺がミュウの御主人様であり、ミュウは俺の奴隷である、と……

「奴隷?」

「はい」

 何か引っかかった。

「……奴隷?」

「はい」

 ミュウはただ頷くことを繰り返すだけだ。

「……って、待たんかぁッ!!!!」

 俺は両手を大きく振り上げて、ぼふっ……と、それを布団に叩きつけると、ミュウの方に向かって身を乗り出す。

「奴隷!? 奴隷ってあの、シモベとかゲボクとかドボクとかいうのと同義で、ドレイともヌレイとも読んだりする、あの奴隷のことかッ!!!?」

「いいえ。下僕や奴僕というのは、通常、男性に適用するものですから、私の場合には当てはまらないかもです。でも、シモベというのはだいたい近い意味合いでしょうか」

「冷静に分析するでないっ!!」

 思わず強烈に突っ込んでしまった。

 ちなみに、一般的に“奴隷”といえば、いわゆる金銭で売買された人々のことをいい、俺たちの住むこの大陸の大半では、現在、認められていない制度だ。

(って、そんなことは覚えてるのか、俺……)

 ま、まあ、それはいいとして。

「いかん! それはいかん! 俺は絶対に認めんぞっ!!」

 強い口調で言って、勢いに任せてミュウの肩をがっしりと掴む。

「いいか! 人というのは元来自由なものなのだ! 人が人を買ったりすることなど、言語道断! 犬畜生にも劣る行為なのだッ!!!」

「ですが、それが私と御主人様との契約ですから」

「だああああっ! ダメだと言っているだろうがっ!!」

「それでは、私との契約を破棄なさいますか?」

 ミュウが真っ直ぐに俺の瞳を見つめてくる。

 なんとなく、その言い方に少し引っかかるものを感じたが、それでも、考えるまでもなく、答えは決まっていた。

「当たり前だっ!」

「わかりました」

 ミュウが目を閉じる。

 そして、ゆっくりと立ち上がると、額のサークレットに手を移動させた。

「……ん? 何をしているのだ?」

 その行動を不可解に感じて、そう聞いてみる。

「御主人様との契約を破棄します」

「……それと、そのサークレットを外そうとしていることとは、一体、どのような関係が?」

 俺には全く理解できなかった。

 もしかして、そのサークレットと引き換えに、俺は彼女を従えていたのだろうか? まあ、確かに高価そうなサークレットではあるし、金額的にはそこそこなものになるだろう。

 一応、納得できなくはないのだが――。

「いいえ、サークレットではないです。御主人様から頂いた力をお返しするのです」

「俺から……力?」

 ちんぷんかんぷんである……が、なんとなく、嫌な予感がした。なにが、というわけではないのだが、それを許してしまうと、とんでもないことになってしまうような気がする。

「その力ってのは、なんの力なのだ?」

「闇の力です。そして、私にとっては生命の源でもあります」

「……やみのちから? せいめいのみなもと?」

 ますますわけがわからないが、非常に気になる単語なのは確かである。“せいめいのみなもと”というのが万が一“生命の源”という漢字を書くのであれば、それってかなりヤバイのでは。

「参考までに……それを外したら、ミュウ、君はどうなるのだ?」

「外したことはありませんけど、私の知識が正確なら、一週間も経たないうちに死ぬと思います」

「な、なるほど……」

 彼女があまりにもさらりと言ってのけたため、俺の頭はその言葉を理解するのにかなりの時間を要し――そして、言葉を理解した後でも、いまいち、どういう反応をすればいいのかわからなかった。

「と、とりあえず……待て。契約とやらを破棄するのは、もう少し話を聞いてからにしよう。うむ」

 彼女の言葉はにわかに信じがたいものではあったが、絶対に有り得ないと否定するだけの材料もない。

 そしてそれ以上に、彼女が嘘をついているとはどうしても思えなかった。

 しかし、だ。

 その言葉が真実であるとするならば……この先の話は、どうも人間の世界だけでは収まりきらない話になりそうである。

「さて、ミュウよ」

 ミュウが再び椅子に腰を下ろす。俺は大きく深呼吸をして、まずは気分を落ち着かせた。

「次はその“契約”のことについて聞きたいのだが」

「はい」

「つまりだな。君は……何故、俺の、その……奴隷になっているのだ?」

「そういう契約だからですが?」

「いや、そうではなくて、だな」

 決して理解力に乏しいという印象は受けない。だが、何故か目の前のミュウという少女には、正確な意志が伝わりにくかった。なんというか、言葉の表面しか理解できていない感じがする。

「つまり、何故、君は俺と契約しなければならなかったのか、ということだ」

 これでもまだ満足な答えが返ってくるとは思えなかったが、とりあえずは手探り。

 ただ、結果的にこの質問が糸口としては最適だったらしい。 

「それが、私たちの種族の掟だからです」

「……掟? 種族?」

 なんか怪しい雰囲気の単語が出てきてしまった。

 これはやはり――

「はい。感応幻蝶と呼ばれる、私たちルーミス族の掟です」

「……」

 出た。これはもう確定の青ランプだ。

「つまりだな……ぶっちゃけた話、君は、いわゆる、普通の人間ではない、と?」

「それは、人間界の主位種族である人間族としての意味ですか?」

「あ……ああ、まあ、そういうことだ」

 人間族だなんて単語が出ること自体、異世界の人間であることを示しているのだが、一応、そう言って頷いて見せる。

 もちろん、結果はすでに見えていて。

「それなら違います。私は魔界に住む、俗に“契約者”と呼ばれる分類の生物です」

「……なるほど」

(しかも“契約者”か……)

 俺だって、専門家ほどの知識はないにせよ、人魔や獣魔といった、いわゆる魔界に住む者たちのことを少しは知っている。

 魔界の主位種族……いわゆる、人間界における人間に位置するものを“人魔”といい、それ以外の獣の姿をしたものを“獣魔”といい、そして、そのどちらでもない、人魔たちですらその全てを把握していない、人(人魔)と同等、あるいはそれ以上の高い知能を持ち、獣と人の特性を併せ持つ者たちを“契約者”というのである。

 そして、契約者たちはそのほとんどの場合、数多くの規律や掟に縛られ、表に出てくる場合、基本的には人魔や人間と主従関係を結び、その命令によってのみ活動するという。

 もちろん、ミュウの言うルーミス……感応幻蝶族のことなど知りはしないのだが、それはおそらく人間界の専門家とて知らないだろう。契約者とはそれほど秘密のベールに包まれた生き物なのだ。

 それはつまり、彼女がよっぽど度胸の据わったホラ吹きでない限り、その言葉が真実であることの証明でもある。

(参ったな、これは……)

 どうやら俺は想像していたよりもとんでもない人間であるらしい。契約者を従えている人間なんて、いわゆる、一般的に言う大金持ちより数が少ないだろう。

「わかった。君のことはもういい」

 というか、これ以上聞いたところで、俺には理解できない。

「契約を破棄する云々の話もなしだ。とりあえずは今のままでよしとしよう」

「はい。ありがとうございます、御主人様」

 ミュウがペコッと頭を下げる。

「が……御主人様と呼ぶのはまあいいとして。君は奴隷ではない。それだけは覚えておくように」

「でも、契約です」

「だからだな。……そう。君は俺の従者ってことで。奴隷じゃなくて従者だ」

「従者、ですか?」

「うむ。これから誰かに質問されたら、必ずそう答えるように」

「……御主人様がそうおっしゃるのでしたら」

「というか、そうしてもらわなければ困る」

 先ほども言ったように、この大陸の大半の場所に奴隷制度はない。そんな中で、ミュウが誰かに俺の奴隷だなんて口走ったりしたら……ヘタをすれば俺は牢獄行きだ。

「さて、と……では最後に、俺のことを教えてくれんか」

 本当は一番最初に聞かなければならないことだ。が、色々と驚きの事実がありすぎて、結局後回しになってしまった。

 はっきり言って“記憶喪失でどっきり!”どころの話ではない。

(あ、“記憶喪失でびっくり!”だったか)

 まあ、どっちでもいい。

「はい。……と言っても、何からお話すればいいでしょうか?」

「ふむ? そうか、それは確かに困るな」

 俺のこと、と言っても、あまりにも漠然としすぎだろう。

「うむ。では、俺がここに来る直前、何をしていたか話してくれ」

「はい。それでしたら」

 ミュウは改めて姿勢を正した。

 やはり澄んだ真っ直ぐな瞳で俺を見つめる。

 ……まるで精霊のようだな、と思った。

 そして、ミュウはそのまま口を開く。

「ここに来る直前、御主人様はここから徒歩で二時間ほどの距離にある、小規模の村を訪れていました」

「ふむふむ」

 やはり、俺はここに定住しているわけではなく、彼女の口調から察するに、何らかの事情で旅をしている人間のようだ。

(謎多き旅の若者ってとこか)

 なんかちょっとカッコいいことを想像しながら、説明に耳を傾ける。

 そして、ミュウは言葉を続けた。

「御主人様はそこで、推定七十八名の人間を殺害し、家々を全て焼き払った後、その村を離れ、こちらへとやってきました」

「ほうほう。推定七十八名の――」

 ピタ。

「……七十八名の……なに?」

「人間です。あ、人間族のことです」

 そんなことはわかっている。俺が聞き返したのはそこではないのだ。

「それを? どうしたって?」

「殺害しました。ついでに家々を全て焼き払いました」

「……」

(は?)

「あ、いえ。七十八名中の九名は、御主人様の命により、私が殺害しましたけど」

「……あ、あの……俺には君が何を言っているのかよくわからないんですけど……?」

 俺はかなり狼狽していた。

 そりゃそうだ。いきなりそんなことを言われても、どう反応すればいいのか全くわからない。

 というか、冗談だろ、これは絶対。

 が、ミュウはそんな俺の心の中など全く気にした様子もなく、

「“殺害”の意味がわかりませんか? では、“殺しちゃった”ということで」

「それぐらいわかるわッ!!」

 言っておくが、記憶がないこと以外、頭の中身は正常である。

「申し訳ありません」

 ミュウが若干、申し訳なさそうな顔をする。それを見て、ちょっと胸キュン……じゃなくて、胸がチクリと痛んだ。

 っていうか、それどころじゃない。

「あー……一応、聞いておくが……ギャグだろ?」

「ギャグではないです」

「じゃあネタ?」

「ネタでもありません」

「じゃあ……」

「マジです」

 ミュウが妙に真剣な顔でいう。

 ――こいつ、遊んでるんじゃないだろうな?

(けど、ミュウが妙……っての、ダジャレみたいだな。わはははは……)

 ……現実逃避。

 わかってるのだ、そんなことは。

「……死のう」

 結論。

 七十八人? そりゃどんなずさんな裁判だって死刑になるぞ。

 捕まって、民衆の注目の中、罵声を浴びせかけられながら処刑されるよりは、ここで自ら命を絶った方が良いだろう。全く記憶にないことではあるが、いくら楽観人間の俺とはいえ、そんな事実を突きつけられては、のうのうと生きていくことなんて出来ない。

「?」

 だが、そんな俺の言葉に、ミュウはものすごく不思議そうな顔をした。

「どうして死ぬのですか?」

「どうして、って……」

 そんな彼女の態度に、俺は怪訝な顔を向ける。

(……聞きたいのは俺の方だぞ)

 どうして彼女は平然そうな顔をしているのだろうか?

 そう言えば、彼女も九人殺したと言っていた。

 俺の命令で――俺の命令で?

(……なるほど)

 先ほどの話から、頭ではわかっていたものの、感覚として理解してはいなかった。

 俺から生命力を受け取っていること。生き死にを俺の判断に左右されるということ。

 そこから導き出される結論は一つ。

(絶対隷従……)

 彼女にとっての“契約”とは、つまりそういう意味なのだ。俺の命令が正義であり、俺の言うことが真理であり、俺の全てが彼女にとっての全て。

 それは、ある意味、純真。……そしてある意味、冷酷だとも言える。

 何も知らない子供が親の言うことを聞いて、それを達成したときに笑顔を見せる。それと同じなのだ。

 たとえその内容が、誰かを殺すことであったとしても。

(俺が死ねば……彼女も死ぬのか?)

 きっとそうだろう。彼女の言い分からすると、そうに違いない。

 少し、可哀想な気がした。

「……」

 俺は黙ってミュウを見る。

 真っ直ぐな……そう。最初に感じたように、純真な瞳で俺を見ている。

 実際に俺が死んだとしても、彼女は俺に対して恨み言一つ言わないのだろう。そして、今のように俺を見つめたまま、黙って死んでいくのだろう。

 なにも……本当のことはなにもわからないまま。

(……考え方を変えよう)

 思考の方向転換を試みた。

 俺は七十八人の人間を殺した。ミュウが俺をからかっていない限り、それはおそらく事実であり、そして今までの話を総合するに、彼女が嘘をついている可能性は限りなくゼロに近い。

 だから、やはり事実なのだろう。

 だが……それは俺であって俺ではない。

 以前の俺はどうだか知らないが、今の俺は、どんな事情があろうとも、七十八人もの人間を殺したりはしないだろう。

 つまり、全くの別人だ。

 他人が犯した罪を、俺がかぶる必要など、どこにあるだろう。

 ――都合の良い解釈だということはわかっている。だが、俺の命は俺だけの命ではない。二人分の命なのだ。

(……別に妊娠してるわけではないぞ)

 どんなときでもジョークを言えるのが、俺の特技らしい。

 ……と、それは置いといて。

(早い話が、俺は死にたくない、ということだ)

 ミュウも死なせたくない。……だから死なない。

 勝手な話だが、つまりはそういうことだ。もちろん、タダで生きていくつもりはない。俺が以前、どのようなことをしていたのか知らないが、それを償うつもりで生きていく。

 それが最善の選択であるような気がした。

(ついでに……)

 俺はチラッとミュウの方を見た。

 ……相変わらずの瞳で俺を見つめている。

(この少女に、大事なことを教えてやらねばなるまい……)

 契約者だから。魔だから。

 そんなことは関係ない。

 この人間界で生きている以上、人間として、この世界の一員として、生きていくことを彼女に教えてやりたい。俺の命令だからなんでもする。人をも無表情に殺す。……それではいけない。それでは、カラクリ人形と同じだ。

「ミュウ」

 俺は真剣な表情で彼女を見た。

「はい」

 ミュウは相変わらずの瞳で俺を見返す。

(うお、可愛い――って、そんなこと言ってる場合ではない!)

 一人漫才もいい加減クセになりそうだ。

「いいか。これから俺の言うことを良く聞くのだ」

 というか、これでも本当に真剣なのだ。

「はい」

「まず、これからは俺のことを“お父さん”と呼びたまえ」

「……?」

(ちがぁぁぁぁぁぁう!!!)

 いかん。俺の頭の中は完全に腐っているらしい。

「……というのは冗談だ」

「はい」

「まず……そうだな」

 どう切り出すべきか迷う。いや、迷っていたからこそ、さっき、余計なセリフが口をついてしまったのだ。

 ということにしておこう。

「うむ。ひとまず……これからは、人を殺めることを禁ずる」

「はい。そうご命令ならば」

「いや、そうではなくて。誰の命令でも、だ。人を殺すのは絶対にいかん。……いいか?」

「はい。御主人様のご命令ですから」

「違う違う。俺の命令でもダメってことだ」

「……?」

 ミュウが不思議そうな顔をする。

 混乱してしまったらしい。

(むう……)

 どうやら、わからせるには相当時間がかかりそうだ。が、見たところ、自分で考える、ということは充分にできているらしい。

「あー、まあよい。とにかく、人を殺めるのはいかんということだ」

「はい……わかりました」

 ミュウは完全に納得できていないようだったが、それでも頷いてみせた。

 とりあえず今はそれでいいだろう。何度もしつこく言い聞かせてやれば、そのうち理解できてくるに違いない。

「それと、だ」

 もう一つ、言っておかなければならない。

「俺はこれから、人々への償いに人生を捧げるつもりだ」

「償い、ですか?」

「そうだ。……記憶にはないのだが、俺は七十八人もの人間を殺してしまったのだろう?」

「はい」

「その償い、だ。まあ、一人一年として……最低、七十八年は人々のために尽くすことになるであろうな」

 それはつまり“一生”という意味だ。もちろん、俺の一年が一人の命と釣り合うとは思っていないが、それは俺の決意の現れであり、俺流の冗談でもある。

「だから、ミュウ。君もそのつもりで……俺についてきてくれ」

 俺は今度こそ真剣度マックスでそう言った。

「はい。もちろんです」

 ミュウはすぐにそう答える。

 彼女がそうやって答えることぐらい充分承知の上だった。が、それでもこうして言葉で答えてもらえると、なんとなく嬉しい。

(ふう……やれやれ)

 なんだか奇妙なことになってしまったが、目的があるというのはとりあえずいいことだ。

 人々への償い然り、ミュウのこと然り。

(新しい人生の第一歩ってやつか……)

 こう思ってはいけないのだろうが、何故か少し、清々しい気持ちだったりもする。

 逆にいえば、記憶を失うまでの俺が濁っていたということだろうか?

 ……と。

「ですが、御主人様」

 そんな俺の清々しい想いをブチ壊すかのように。

 ミュウが衝撃の事実を口にした。

「一人一年だとすると、最低五百年は尽くさなければならない計算です。御主人様はその前にも村を三つ滅ぼしていますので」

「……は?」

 完全に思考停止する俺。

 淡々と、ミュウは続けた。

「御主人様はここ最近で、村を三つと人間を五百人ほど殺害しております。それ以前の話となりますと、私も細かいところまで覚えてはいませんが、おそらくは――」

「……」

「その前には道行く旅人を――」

「……」

 ミュウの口から俺の様々な罪状が紡ぎ出されてくる。

 が、俺はすでに聞いていなかった。

(……っていうか、俺って……大量殺戮者……?)

 七十八人でもすでに想像の範疇を超えているというのに。

 ……五百人? ごひゃく……

(は……ははははは……)

「御主人様?」

「……ミュウ」

「はい」

「……やっぱ死んでいいか?」

 俺の決意は早くも崩れ去るのであった。

 

 こうして……全く先の見えない俺たちの奇妙な旅は、始まりを告げたのである。

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