新しい姿
便利屋ドリューの一室である病室では、
モロと看護師姿の骸骨がエヴァの看病をしている。
「うっ……」
エヴァがゆっくりと身を起こした。
「エヴァさん!よかったぁ。」
「あら、モロ…と……」
エヴァの顔が、みるみる青ざめていく。
モロの背後で一仕事を終え、待機していた骸骨と目が合った。
「……ギャー!」
「…エヴァさん?まだ、どこか…痛みますか?」
看護師姿の骸骨に看病されるなんて、普通の人なら恐怖でしかない。
だが、突然叫び出したエヴァに、モロは見当違いの心配を向けた。
「そうじゃなくって!それ!それよ、それ!」
寝起きなのにも関わらず、エヴァは大きな声を張り上げた。
「おはよう、エヴァ。」
扉の前で紅茶を飲みながら、何食わぬ顔で、ドリューが挨拶をした。
「ドリュー!やっぱりあんたの仕業ね!」
「ふふっ。看護師姿の骸骨に看病されるなんて…中々できる経験じゃない。」
「いい経験じゃないことは確かだわ……」
頭を抱えるエヴァ。
「で、でも!ちょっと似合ってると思いませんか?」
モロが、勇気を出して口を開く。
「言われてみれば…確かに……」
改めて、その骸骨の姿を下から上へと見上げると...
「……いや、やっぱりなし!」
ガーン―
ガクッ―
モロと背後の骸骨は、そろって肩を落とした。
「—僕は先に仕事部屋に行っているから、準備ができたら来てくれ。」
というと、ドリューは病室を後にした。
「ぼ、僕も先に行って、待ってますね。」
ドリューの後を追うモロと看護師姿の骸骨。
そんな二人を横目に、
「負けたのね…私。」
エヴァは呟くようにそう言った。
——
ドリューの仕事部屋に集まる三人。
「よし、全員揃ったね…早速だ。今年の〈魔術功績章〉を取るための作戦会議を始めよう!」
「ま…魔術…功績章?」
「君も昨日見ただろう、あの賞状。あれの正式名称だ。」
「ちょ…ちょっと本気?あいつが抜ける抜けるって言ってたから…今年は見送るんじゃなかったの?」
「ふむ。僕と君の二人なら…見送ってもいいと、思っていたんだが…」
モロに目を向ける。
「それに、この子にとっても”目標”があるほうがいいだろう。」
「そうは言っても…危険すぎない?それに、この子の魔術は…」
「それについては、対策を考えている。」
再びあの服一式をエヴァにも見せる。
「モロ、お披露目式といこうじゃないか。」
——
ドリューに言われ、服一式を持って、更衣室までやってきたモロと骸骨。
魔術を使い、スーツのジャケットやスラックスを丁寧に着せる。
―
白骨が丸出しだった骸骨から一変、仮面を被った、白い顔のミステリアスなそれに…
「こ、これが…新しい…骸骨さん…」
「か…かっこいい…!」
彼は目を輝かせ、感嘆の声を漏らした。




