第2話:消えた足跡
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日本では毎年、8万人以上が行方不明になる。
その大半は家庭の事情や事故とされるが、中には理由も手がかりもなく、突然、地図から名前が消える者もいる。
——そして、一部は“失踪者ネットワーク”と呼ばれる都市伝説に吸い込まれていくと囁かれてきた。
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このネットワークは裏社会や企業の影で動く非公式な労働力供給源。
古くは暴力団や海外の犯罪組織が関与していたとされるが、近年はもっと洗練された方法と表の顔を持つ組織が担っているという。
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奇妙なのは、行方不明者の発生地点が 横浜港・釜山港・上海港といった東アジアの主要港湾都市 に集中していることだ。過去5年分の警察統計を地図に重ねると、赤い点はまるで同じ“流れ”に沿って連なっていた。
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その流れの終着点の一つに、茅葺グループ傘下の港湾倉庫がある。
表向きは物流拠点と保養施設——だが、夜間には港湾直結の通路が利用され、外部の目を避けた搬入搬出が行われているとの証言もある。
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真偽は不明。
だが、この“失踪者ネットワーク”の噂は、ある人物たちの行動によって現実へと変わりつつあった。
それが日本全土を揺らす連鎖の始まりになることを、この時はまだ誰も知らない——。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体・名称などとは一切関係ありません。作中に登場する病気(双極性障害など)の描写は、物語上の演出として描かれています。実際の病気については、必ず専門の医療機関にご相談ください。




