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第21話:連鎖

1/6

午前9時。

世界各地の港で、赤い旗と「#TransparentWorld」の横断幕が風にはためいていた。

韓国・釜山、フィリピン・マニラ、オランダ・ロッテルダム——

港湾労働者たちが作業を止め、コンテナクレーンが無人のまま空に伸びている。

《現時点で、世界17港がストライキ状態》光の声が淡々と告げた。

2/6

海外メディアは連日トップニュースで報じ、各国のSNSが怒号で埋め尽くされていた。

だが、相変わらず日本国内のテレビは相変わらず沈黙を守っている。

ニュースを目にするのは、海外ソースを追う一部の人間か、都市伝説系の動画配信を覗く者たちだけだった。

匿名掲示板には断片的な画像や翻訳記事が貼られ、

《やっぱり失踪者ネットワークは本当だった》

《茅葺は闇を握ってる》

といった書き込みが連なっていく。

3/6

国会前。

野党議員が緊急会見を開き、「政府は茅葺グループへの捜査に着手せよ」と要求する。

だがその映像はほとんどの放送局で流れず、ネットの一部で拡散されるだけだった。

与党幹部は「事実関係の精査が必要」と繰り返すばかり。

《政界も動き始めていますが、報じられなければ影響は限定的です》

光の声が淡々と刺した。

4/6

一方、海外では茅葺子会社の看板が抗議デモでペンキまみれにされ、その映像がライブ配信で数百万再生を突破していた。

香港の活動家が生配信で叫ぶ。

「日本の港と我々の港は同じ血で繋がっている!」

コメント欄は各国語の怒号と寄付リンクで埋まり、炎はさらに拡大していった。

5/6

同時に、茅葺グループの株価が急落。

証券取引所の電光掲示板に真っ赤な数字が連なり、海外経済ニュースのトップを飾る。

光が静かに解析報告を重ねる。

《主要取引先の一部が契約を一時停止。国際輸送ルートの再編を検討中》

朝比奈は短く笑った。

「外からは効いてる。……でも国内は壁が厚いな」

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