美少女と家事
「ふぁ〜」朝9時過ぎ夏樹は目を覚ました。
今日は休日なので一人でゆっくりと読書をしようそう思ったがあることを思い出した。
夏樹は今一人ではないこの家には人がもう一人いるのだ。そう結上真白である昨日いきなり両親に同居するよう言われたのである。
昨晩はまともな会話もせず就寝したので今日色々と話をしなければそう思いながら着替えをしようと起き上がったら何故かキッチンに居た結上と目が合った。
「そこで何してるんだ?」
「あの…朝ごはんを作ってました勝手に冷蔵庫漁ってしまってごめんなさい…」謝られた。
「いや別に大丈夫だよ、碌なものは言ってなかったでしょ自炊なんて普段しないからな。」
冷蔵庫に何があったのかぼーっと考えていたら結上が何やらお皿を持ってテーブルに向かっていた。
「和泉さんも良かったらどうぞ簡単なものですが作りました。」
まさか俺の分も作ってくれたらしいここはお言葉に甘えて頂くことにした。
「俺の分も作ってくれたのかありがとう」
テーブルには美味しそうな卵焼きと白米、お味噌汁が並べられていた。
「「いただきます。」」作り手へ感謝を伝えてからご飯を食べ始めた。
卵焼きを一口食べると「お、美味しい!」冗談でもなく今まで食べた卵焼きで一番美味しかった。他にもお味噌汁や白米全てが優しい味で食べる人の心に染みる味だった。
「こんなに美味しいご飯は初めて食べたよ。」お世辞でもなんでもなくそう伝えたら「お口に合ってよかったです!私なんかでよければ毎日作りますよ?」
「それはぜひともお願いしたい!」こんなに可愛い子の手料理を食べられるなんてワクワクする夏樹はそんな事を考えていた。
「でも一つ問題が…」結上が口を開いた「なんだ?問題って」もしやお金を請求されるのだろうか。
「その…冷蔵庫の中身がほぼすっからかんで、今朝の朝食も実は昨日和泉さんのお母さまが買って入れておいてくれたものなんですよ…」
母さんたちが買ったもの!?内心驚きつつ「なんで母さんたちはわざわざ食材を勝ってきたりしたんだろ?」気になっていることを口に出した。
「実は車で送ってもらっている時に和泉くんは家事は全然だめで多分今回も見栄を張ると思うって教えてもらってたんです。」
母さん何言ってるの!?まさか俺が家事がてんでダメなことを見抜いてたなんてやるな…
「な、なるほどだから今朝も朝食を作ってくれたと…」
「そうです」優しく笑いながら結上は言った。
はぁなんてカッコがつかないんだ…
夏樹は嘆いた。
朝食が終わって一段落つきソファでゴロゴロしていたとき結上が話しかけてきた。
「和泉さん」
「なんだ?」夏樹は起き上がりながら答える
「和泉さんは私がこの家にいる事嫌じゃないですか?昨日は和泉さんのご両親がいて正直押し付けられた感がありましたよね…」少し不安気に聞いてきた。
「最初は勿論驚いたし何でいきなり?とはなったけど嫌ではないよさっきみたいにおいしいご飯を作ってくれたし」俺は精一杯優しく笑いながら答えた。
「よかったです私なんか人様の家にいて良いのか分からないし昨日の話を聞いていると和泉さんは昨日知らされてたみたいですし…」
結上は何故か自分に自信がなさげだった。
「何でそんなに卑下しているんだ?結上さんは成績も常に学年1位だし運動神経も凄く良いおまけに顔立ちも良くてスタイルも抜群もっと自分に自信持っていいんじゃないのか?」
俺は結上に言った。
「そんな事は自分でも分かってますし皆さんが私に好意を寄せてくれていることも知っています。」結上は少し声を上げた「ただ…それら全ては才能ではなく努力の上にあるんですよそれを知らずにとやかく言わないでください!」怒らせてしまったようだ。
「すまないそんなつもりは全くなかったんだ。」結上はチラッとこっちを見たあと「私も声を荒げて申し訳ありません…」うつむきながら謝った。
それから少し気まずく話すことがなく昼食の時間になった。
「え、えっと…私ごはん作りますよ!」先に口を開いたのは結上の方だった。
「お、おうお願いしてもいいかな」
「任せてください」そう言って冷蔵庫を開けた結上だが次の瞬間「あっ食材がありません…」想定通りだった。
俺は今最寄りのスーパーにいる。しかも隣に学校一の美少女を連れて。
結上の美少女レベルは道行く人すれ違う人が全員一階は振り返るレベルだ。
髪の毛は綺麗な飴色で肩甲骨辺りまで伸びているロングヘアー。目鼻は整っていて目はくりくりしていてとてもかわいらしい、いかにも清楚という見た目だ。
そんな可愛い同居人が話しかけてきた。
「あのお昼はもう時間がないでぱっと作っちゃうのですが夜ご飯の要望はありますか?食材買っちゃうので」まさか要望すら聞いてくれるというのか!?
「いやいやそんな事できないよ結上さんが作ったものなら何でも美味しいよ!」
「そう言ってもらえて私も嬉しいのですが、生憎私は和泉さんのことについて知りたいのでまずは好きな食べ物を教えてください!」
なんで俺のことを知りたいのか分からない…
「そこまで言うならお言葉に甘えさせてもらって麻婆豆腐かな…?」夏樹の好きな食べ物ランキングを作ったら上位に食い込んでくる料理を挙げてみた。
「わかりました、今日の夜ご飯は麻婆豆腐にしますね、楽しみに待っててください」るんるんでお昼ご飯と麻婆豆腐材料を籠に放り込んでいく結上の姿が見えた。
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