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リンデンホフ物語  作者: 雨晴気嵐(あまはらしけあらし)
第ー部 秘書と信頼
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プロローグ 猛吹雪の朝

 天井から床まである二重窓の向こうは猛吹雪だ。紅茶を入れたマグカップを持って、窓の向こうに見えるはずの湖に目を凝らしているのだが、見えるものは荒れ狂う雪ばかり。六階のこの部屋からは、湖はおろか建物の地上階にあるテラスすら見えない。

 朝8時を過ぎ、そろそろ日の出の時間のはずだ。でも外はまるで真夜中のように暗い。この部屋の真っ白な照明がガラス越しに猛烈に吹き荒れる雪を照らし出している以外、外は真っ暗で、吹雪の中に坂の街灯が黄色く点灯していることがぼんやりわかるぐらいだ。風もでたらめに強い。風でこの建物が振動したりすることはないし、外の音も室内には殆ど入ってこないが、テラスに植えられているもみの木の枝が吹雪で右に左にと振られているのだろう、ごうごうと大きな音を立てているだろうことが微かにわかる。

 朝の気象省の予報では真北から降りてきた史上例を見ない大寒気団がこの国の全土を覆っており、この猛吹雪はあと二、三日間続くだろうと言っていた。市政府も市内で積雪が四十五センチメートルを超える可能性があると警報を出している。

 今日はクリスマスの翌日で多くの市民は休暇のど真ん中。家族の元に帰っている人も多いだろう。僕を担当してくれている秘書さんも今日の夜の直行便で帰省すると言っていた。空港のWebサイトを見るとさすがに運休表示は多いが、しかし全面的に止まっているわけではなく、まだ一部は飛んでいるものもあるようだ。


 窓から外を眺める。目の先には本来なら朝日に光り輝く湖があるはずだ。しかし雪の猛攻に湖は沈黙し、そこにあるのかどうかすらわからない。



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