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【完結】前世は剣聖の俺が、もしお嬢様に転生したのならば。  作者: 自転車和尚
第三章 混沌の森(ケイオスフォレスト)編

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第一二四話 不知火(フォスフォレセント)

「な、慰み者……嫌すぎるわ!」


 私は伯爵の言葉に一人でツッコミを入れながら刀を構える。伯爵の攻撃は単純だ……基本的に高い身体能力による天井や壁を使っての多面攻撃、魔法に対してはあの謎の液体を撒き散らして消失させている。

 つまり……対処方法としては相手が一人であることを利用して、エツィオさんと私が連携して攻撃を仕掛ける、だな。

「エツィオさん……やりますよ」


 私の視線に気がついたエツィオさんが、同じような結論に達していたようで黙って頷く。彼はすぐに両手に魔力を溜めていく。跳躍電撃(チェインライトニング)……(ドラゴン)を消し炭にした超高火力の魔法である。

 単体の敵相手だと複数の電流が直撃するのでそう簡単に避けることもできないだろう……その瞬間に私が突進して叩き斬る……これがまあアイコンタクトで私とエツィオさんが考えている作戦、だと思う。

「では……行きますよ!」


跳躍電撃(チェインライトニング)ッ!」

 私の宣言とともに、エツィオさんの両手から複数の電流が迸る……その攻撃を見て伯爵は口元を歪めると、口からあの臭い液体を霧状に噴射する。

 電流がその噴射された霧に触れると見るからに減衰して勢いを失っていくのが見える。私はその光景を見ながら、全速力でその横を走っていく。刀を軽く回して握りなおすと一気に伯爵へと躍りかかる。

「……ミカガミ流……」


「貴様……ッ! 連携か!」

 伯爵が一気に距離を詰めてきた私を見て表情を変える……そりゃそうだろうな。私はそれまでほんの少し速度を落としていたのだから、その速度差が伯爵の判断能力を一瞬だけ鈍らせていた。

 伯爵は咄嗟に複数の魔法の弾幕(マジックミサイル)を召喚して私へと投擲する。この魔法は魔力を集中させた矢……と言っても自律的に飛翔するダーツのような弾丸を飛ばせる。

 放たれた魔法の弾幕(マジックミサイル)は現代兵器で言うところのミサイルの一斉斉射に近い状態で私へと飛来するが私は全て破壊するもの(グランブレイカー)を振るい、魔法の矢を叩き落としていく……。


『こんな咄嗟に出た低級魔法で……我の所有者を倒そうなど甘いわッ!』


泡沫(ウタカタ)ッ!」

 私は魔法の矢を破壊しながら一気に伯爵へと迫ると、伯爵の首を横薙ぎの一閃で叩き落とす。寸分違わず……真一文字に切り裂かれた首から、驚愕の表情を浮かべたままの伯爵の頭が地面へと転がり落ちる。

 あまりにあっけない状況に、強い違和感……始祖吸血鬼(バンパイア)がこんな簡単に倒せるか? 


「ウフフ……強いなあ、そうかお前が……剣聖(ソードマスター)だったか」

 地面へと落ちた伯爵の頭、その頭頂部から不気味な色合いの甲虫の脚が生え、上下逆向きだが生きている?

 笑みを浮かべた伯爵の頭はカサカサと動きながら地面へと倒れている体へと近づくと、足を使って首へとつながり、再び立ち上がった。

「全く……剣士ってことに気がつけばよかった。テオーデリヒを倒した女だな」


 伯爵の体が急に壊れた人形のようにねじれていく……腹部から蜘蛛のような足が六本皮膚を突き破って突き出す。そして小柄な伯爵の背中から、蜻蛉の羽が四枚メリメリと音を立てて生えていく。そして触覚が……まるで蜚蠊(ゴキブリ)のそれを思わせるものが生えてきたことで、私は背中がゾクリと寒くなる。

「……なんで甲虫系なんですか……」


 伯爵はその口からまるで、芋虫のような器官を伸ばすと、その器官がクワっと口を大きく広げて威嚇するようなポーズをとる……完全に昆虫系の何かが体内に内蔵されているのだろう。

 始祖とはいえこのケースはあまり見たことがないな……吸血鬼(バンパイア)はそのルーツとなる生物に本性が似てくるというが……昆虫系のルーツというのは聞いたことがないな。

「とりあえず、繰り返し攻撃するぞ、炎の嵐(ファイアーストーム)!」


 エツィオさんが炎の嵐(ファイアーストーム)で伯爵を炎で包み込むが、伯爵は遥かに巨体へと変化した体のあちこちから霧状の何かを噴射して炎を消失させていく。

 私はそのまま矢のように走り出すと、伯爵の本体であろう人間型の体に向かって技を繰り出し……この場合は切り裂くよりも突きを使った方がいいだろう……目標が思ったよりも小さすぎる。

「ミカガミ流……絶技、無双(ムソウ)ッ!」


 構えを突きの体勢に変化させると私は一気に超高速の連続突きを繰り出す……ミカガミ流絶技の一つ、無双(ムソウ)。ノエルから数えて一〇代ほど前の剣聖(ソードマスター)が完成させた技の一つで視認できないレベルの突きを凄まじい数繰り出し、相手を串刺しにする技だ。

 まあ、ノエルの時代には対処方法が既に確立されてしまっている技だったので、それほど多用できなかったわけだが。今この現代では使い手がいないから……十分脅威になると思う。

「たあああああっ!」


「ぐああああっ! き、貴様ッ!」

 伯爵は皮膚を破って突き出した器官をまるで盾のように展開して防御するが、私の無双(ムソウ)が盾のような器官を突き破る。

 全て破壊するもの(グランブレイカー)の威力と私の技で、突き出した器官が完全に破壊されていく。伯爵は慌てて脚を振るって私を引き剥がそうとするが、私はその攻撃を体を回転させて避けると、そのままカウンター攻撃を叩き込む。

幻影(ゲンエイ)っ!」


 私の幻影(ゲンエイ)による横薙ぎの攻撃は、伯爵の甲虫系の脚を叩き切り、不気味な緑色の体液を吹き出しながら、伯爵は後退する。

 そこへエツィオさんの魔法……複数の火球(ファイアーボール)が着弾して爆発を起こす。

「逃すかっ!」


 爆炎の中から体液を吹き出しつつ、傷ついた伯爵が姿を現す……火球(ファイアーボール)は使い手も多く、メジャーな魔法だ。火球を生み出し敵にぶち当たると炸裂して火炎に包み込む効果を持っている。

 派手さと威力の高さから、戦争などでもよく使われ弓の一斉射撃の後に両軍による火球(ファイアーボール)の射撃などがよく見られたものだ。花火みたいで結構見所があったんだよねえ……火球が交差するところとか。

「ガアアアアアッ! この程度でっ!」


 伯爵が苦しみながらも巻き起こる爆発を無効化しながら前に進む。伯爵の体はボロボロに崩れかかっており、私の目に不可思議な器官……脈動する心臓のような赤い腫瘍のような形をした部位が露出している。

「灯ちゃん、あそこだ!」


 エツィオさんの指示と共に私は全速力で走り出すと同時に刀を回しながら納刀する。一撃だ、一撃で切り裂かなければ多分回復する時間が生まれる。

 私は伯爵が口から噴き出す液体を避けながら走る……当たらなかった液体は地面を激しく溶解させている。強酸性の液体か……当たったらカケラも残らないほど体が溶けてしまうかもしれない。

 伯爵が必死に器官を触手のように伸ばして私を押しとどめようとするが……私は攻撃を避けながら走って一気に伯爵へと接近する。

「クソがぁッ!」


『どうやら……あの腫瘍のような器官が弱点のようだな、やってしまえ』


「ミカガミ流絶技……不知火(シラヌイ)

 次の瞬間、私は伯爵と交錯しそのまま彼の後方の地面へとゆっくりと着地する。

 伯爵は何をされたのか分からなかったようで、自分の体と私を交互に見やってまるで何をしているんだ? と言わんばかりの表情を浮かべる。

 ぱっと見は全く傷一つついていない……腫瘍のような器官もきちんと脈動しているわけだしな。でも……私の攻撃はきちんと当たった。

「な、なんだ……? 不発か?」


「いいえ、残念ですけど私の勝ちです」

 私は振り返って、まだ完全に納刀していなかった全て破壊するもの(グランブレイカー)をぱちん、と音を立てて納刀する。その瞬間……伯爵の脈動する器官が地面へと真っ二つになって落ち……その伯爵が驚愕の表情を浮かべながら、絶命しゆっくりと地面へと崩れ落ちる。


 絶技不知火(シラヌイ)

 閃光(センコウ)刹那(セツナ)と同じく超高速の抜刀攻撃である。ただし……通常の技と違い、鞘の中で刀を加速させることによって視認できないレベルの速度で抜刀、相手を切り裂く技だ。

 元々不死者(アンデッド)は痛みを感じる感覚が乏しいが、不知火(シラヌイ)は生きている者が感じる痛覚よりも早く相手を切り裂くことを可能とする超高速斬撃であり、見てから防御することは不可能……らしい。


 いや、というのも前世のノエルは感覚でこの不知火(シラヌイ)を防御したことがあって防御不能攻撃というわけでもないんだよな、前世の私スッゲーなと思うこと然りである。

 ちなみに無尽(ムジン)も痛覚を感じるよりも早く相手を切り裂くわけだが、不知火(シラヌイ)はその超高速斬撃、痛みを感じるよりも早く切り裂く攻撃の原型となった技でもあるのだ。


 まあ、つまりこういった絶技をきちんと使いこなすことで無尽(ムジン)が生きてくるわけで……やはりひとつひとつの技は密接に絡み合っているのだな、と思うし日々の練習が本当に大事なのだとノエルさんも仰っているのである。


『ま、我の能力も高いからな……本当に痛覚を感じる間も無く死んだと思うぞ』


 全て破壊するもの(グランブレイカー)が誇らしげな声で語りかけるが……まあ、そりゃそうでしょうね。野菜切るよりも簡単に相手を切り裂ける魔剣なんだし。

 所有してから数回降魔(デーモン)騒ぎがあって出動してるけど……びっくりするくらいの切れ味なのだ。

 正直いえば私はこの魔剣を使って料理をしたら、恐ろしく捗るのではないか? と常日頃考えている。牛肉とか結構大きめの肉を捌くのが大変なのでこのサイズの包丁があったら便利だなーと考えてる。


『絶対やるなよ? いいな? 料理になんか我を使ったらもうその時点で我とは絶交だぞ』


「お疲れ、灯ちゃん……って僕がそう呼ぶのは良くないか」

 エツィオさんが笑顔で私に話しかけてくる……ここ最近彼とも少しギクシャクしていたものの、ある程度戦闘でアイコンタクトなどやっていると普通に連携できるもんだな、と少し感心する。私は微笑むとエツィオさんに軽く頭を下げる。

「いえ、大丈夫です。でも……こんな個体が出てくるのって、おかしくないですか?」


 エツィオさんも私の言葉に表情を引き締めると頷く……伯爵は正直いえば私やエツィオさんのような戦闘能力の持ち主でないと対処ができないレベルの個体だった。

 そんな個体が普通に野放しになっている現状……それがやはり異世界からの侵略が本格化しているのだと感じさせる。

 エツィオさんが伯爵の死体を見ながら呟く。


「ああ、これはもう以前のような認識では対処が難しいだろうな……KoRJも方針転換を迫られるだろう」

_(:3 」∠)_ あかりんによる絶技祭りの開催や!(壊


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