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第2話 異世界生活始めました…?

「うわあああああ!!」


気付けばどこかの空の上にいた。

スカイダイビングならパラシュートがあるが

今の俺には生憎そんなものは持ち合わせていない。

重力に従いただただ下に向かっているだけと

なっているこの状況。

俺…異世界生活する前に死ぬのでは…??

これも全部…


「あんの無気力神いいいいい!!!

 って……!?もう地面が近い………!!

 ぶつかるううう!!!」


どっかの平野らしきところを見たのが最後で

ぶつかる寸前に目を閉じた俺は衝撃と轟音はあったが

痛みは全く感じることはないまま目を開けると

地面に倒れていた。

あれ……?どおおおんって音した割には何もない…?

身体を見てもどこも怪我している様子はない。

もしかしなくもあの神さまのおかげかな…。

それにしても、ちゃんと地面に降ろせるよう

してくれたらいいよな…。

地に足を付けて辺りを見渡してみると、

草すら生えてない地面と自分より遥かにでかい岩

しかなかった。

ここは…崖の下とかかなあ。

取り敢えず歩いてみるしかないか…。

漫画の展開なら村人Aと出会って町へと行けるに

違いない…!

まあ…なんやかんやいろいろあったけど…

突然デビューしたけど今日から俺の異世界生活

始まるんだな…!

きっと夢と希望と時々切ないラブロマンスな

感動ストーリーが俺を待っているに違いない…!

そして最後は嫁と一緒にゴールイン…!

待ってろよ〜俺の異世界生活〜!

こうして妄想しながら俺は異世界生活の第一歩を

歩き出したのであった。


□□□□□□□


「康介さん、お食事出来ましたよ。」

「…?」

「康介さん、起きてください。」

「え……あれ?俺、今…寝てたか?」


寝ていたらしい身体を起こすと俺は見慣れた

自宅にいた。

そして、目の前には金髪碧眼ロングの美女が

俺の顔を覗き込んでいた。

この顔…どこかで…?


「康介さん、具合でも悪いんですか?」

「え?いや…どこも悪くは…」


すると美女が俺の近くに屈んで額に手を当てた。

………って!お姉さん!?胸が目と鼻の先なのですが!?

ただでかいだけでなく絶妙な谷間で

どこか品を感じる胸が揺れる度に顔に熱が昇ってくるのが分かる。


「康介さん、熱があるんじゃないですか?

 顔が赤いですよ…。」

「へ…!?あ、いやいや…」

「いつも無理しちゃうんですから…。

 そんな人にはこうしちゃいますよ!」


そう言って美女は俺の手を引くとベッドに連れて

俺を寝かせた後に一緒に入ってきた。


「あの…!?これは…!?」

「眠るまで添い寝させていただきます!でも…」


美女は俺の耳元まで唇を近づけて


「優しくしてくれるなら…少し触ってもいい

 ですからね…。」


□□□□□□


「思い返せば…あの夢見れた時が、

 一番最高だったな…。

 美女が…無気力神の顔だったのが…腹立つけど…。」


一昨日見た夢をなんとなく思い出しながら歩くこと

恐らく5日。

日が昇る回数を正確に数えてないから

何とも言えないが。

視界がかすみ足元もおぼつかない中で、かろうじて壁に手を当てて歩いている。

嫁ときゃっきゃうふふを夢見たあの日の俺に言いたい。

異世界生活そんな甘くない。まじで。

まず普通に考えて崖の下を歩いてて人間に出会えることはほとんどない。

そして川も流れてない中で食べ物も水もないし、

当然飲まず食わずで過ごしている。

なぜ生きていられるのか自分でも不思議だ。


「最早…餓死でくたばる方が…早いかな……あっ。」


岩か何かに躓いてバランスを崩し俺は倒れこんで

しまった。

起こそうとしても完全に腕に力が入らないのが分かる。

倒れこんだ衝撃を最後に意識を失った。


□□□□□□


「……………っ……。」


目を開けるとぼんやりと白い天井が見えた。

身体を起こそうとするも腕に力が入らず

起こすことが出来なかった。

首を左右に動かすと右には暖炉とテーブルと椅子、奥にはキッチンらしきスペースがあり、左には窓があった。 

窓は起き上がらないと見えない高さにあり外の景色を

見ることはまず無理だ。

少なくとも俺のいた崖下とは思えない場所ではあるが…

すると足元からガチャリと扉が開く音が聞こえた。


「……ん?おお、お前さん、ようやく目が覚めたか!」


俺の目と目が合って口に白ひげを生やしたおじいさんが嬉しそうに駆け寄ってきた。


「えっと…?」

「お前さん、丸々3日も眠っておったんだぞ。

 こりゃもう駄目だと思ったが…お前さん、

 よく無事だったな。」

「3日も寝てたんですか…!?」

「そうじゃよ。どれ、水でも飲むかい?」


そう言っておじいさんはコップに水を入れて

俺に差し出してくれた。

喉がカラカラだった俺はありがたく頂戴すると待ってましたかのようにお腹がぐうう〜と部屋に鳴り響いてしまった。


「そりゃお腹も空くわい。

 どれ、朝食の残りがあったと思うから

 ちょっと見てくるかの。話はそれからじゃな。」


そうして奥に引っ込んでしまったおじいさんを見つめながらようやく初めて異世界で人に出会えました。




















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