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クラス鑑定スキルについての薄~い考察 ~私は何になるのかな~

「まぁクラスのことは大体うっすら把握したわ、ありがとう。んで、私は何になるのかな?」


 私は言いながら、ワイルドボーにぺこりとお辞儀をさせてみた。フーガ殿がヒッ、と喉の奥で引きつった悲鳴を上げ、ヘイゼル殿にはガチでキレられた。


「ミオちゃんさっきもうしませんって言ったよね? 言ったよね!?」


 はい、今度こそホンマにもうしませんエライすんません。


「ミオちゃんはまだ魔法覚えて2ヶ月? 3ヶ月は経ってないよね? 今のところは経験不足で評価不能の扱いじゃないのかな」


 ヘイゼル殿は顎にこぶしを当て小首をかしげて考え込む仕草。ガックリがっかりの私を見かねてフーガ殿がとりなすように、


「聖女様は魔法使いだから……主武器は杖? だったらマージとして、ウィンドマージ? あ、でもみずまも使えるからウォーターマージ?」


 フーガ殿、ええ子やな……気使いが身に染みるわ。


「あれっ? でも聖女様って中級のアクアも使えるから、アクアマージ? でもでも上級のアイスもだから、アイスマージ?? でもでもでも、かぜまもあるから、ウィンドアイスマージ??? でもでもでもでもそんなの聞いたことないし……うあーん混乱してきたー!」


「機会があったらラディウス卿に訊いてみるといい。あの人は『鑑定』のペンデュラムを扱える人だから」


「ペンデュラム?」


 って、魔法の素質を調べる時に使った、アレ?


「あんなんで判るの?」


 ついぺらっと口を滑らせたら、かぜまコンビにガチで〆られた。


「不敬罪! 不敬罪ですよ聖女様!!」

「神託の主を疑うのかい? あの人はどこぞの辺境伯爵のテキトー領主とは違うよ?」


 スピッツ系男子とアラサー王子様がマシンガンのように語るによると、『鑑定』のペンデュラムを扱うには国家資格的なモノが必要で、治政者――いわゆる領主とか村長とか呼ばれる人々――には『クラス鑑定』の資格は必須なんだそうな。

 とは言っても有資格者の個々の能力はピンキリで、必要最低限のクラス鑑定ができる程度のユタ領主アガリエ卿から、個有スキルも見られる人、果てはカノン様のように発動前のスキルや魔法の素質に至るまで見極めてくれる神レベルまでと結構なバラツキがあるらしい。


「言っとくけど、ラディウス卿みたいに魔法の適性まで『鑑定』できる人はそうそういないからね? あの人が普通だと思っちゃ駄目だよ?」


 ウチの領主様が特別劣ってるってわけじゃない、と、ヘイゼル殿は念を押した。

カノン様は特別的なその手の台詞、あなた以外の複数人から幾度となく聞いてますわよヘイゼル殿、もう耳タコですわ。へいへいおおきに毎度あり、ようわかりましたわカノン様はハイスペック、カノン様は現人神、カノン様は神様ね。表情筋ポンコツで頭板状筋が終わってて肩甲挙筋が不感症で外側広筋イカレてるけどそれは別問題ね。ガチの高所恐怖症で異様に涙腺弱いっぽいけどそれも全然関係ないわけね。


「ってゆうか、アガリエのおじょーさまも武道? とかどーでもいいからそうゆう勉強した方がいいって僕は思うんですけど。変な踊り踊ってる場合じゃないと思うんですけど」


 フーガ殿は人畜無害な顔をして超剛速球をど真ん中に放ってきた。グレイス様が広場辺りでピンでやってるだらだらり~んなMPガッシガシに削ってきそうな武道のおけいこ()はヴァルハラ騎士団員の中では「変な踊り」で定着してしまった。ちなみに出典は私だ。


「それを言われちゃうと一領民には何の申し開きもできないね、正論過ぎて」


 ヘイゼル殿は開き直って肩をすくめて、


「『鑑定』の初級なんてきっちり勉強して試験さえ受ければ9割方受かるはずのものなんだ。何もラディウス卿レベルを求めてるわけじゃない、領主として最低限のレベルをクリアしてもらいたいだけなんだよ一領民としてはね。

 アガリエ卿がとっくに成人済の娘に領主の座を譲れないでいるのは――お嬢様の失言癖のこともあるけど――それが一番大きいね」


 立ち話中の(しかも、ワイルドボー連れの)軍人+αに道行く人の視線が刺さる。すんません通行の邪魔でしたね、すぐどきますわ。私はかぜまコンビを促し、よいしょっ、と気合を入れ直して今晩のおかずのお散歩を再開した。


「魔法発動の呪文が、『よいしょ』って……」


 ちびっこ魔導士が何か言ってるけど知ったことか。


「それで発動するのか……俺なんか我が内なるから全部言うのにな……」


 世の不条理を感じるな、と恨み節全開のアラサー王子様についてはあえて何も触れない。

 人流が商店街一直線になってきた。そろそろここも戦場になる――夕市タイムセールという名の戦いが始まる時間だ。長居は無用、わざわざ巻き込まれることもないだろう。

 そして、私達の戦いもこれからだ! 何せホバリング状態で二足歩行させてるこの新鮮なワイルドボーを解体せなあかんのやからな!

ブクマ評価等ありがとうございます。とても嬉しく励みになっております。


魔法の素養を見るのに使用したペンデュラムは有資格者のみが扱えます、という裏設定。

魔法の素質鑑定の時にカノン様に「私、有資格者なんですよ!」と自慢して欲しかったのですが、どうも彼はエラそう風吹かすとか苦手なようでイマイチ主張してくれませんでした。


ので、ここで補完してみます。

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