クラスの日常
本日二話目です!
「あぁー……」
加々山の呼び出しから自分の通う教室へと戻った武人は疲れたと言わんばかりの溜息を吐き机に顔を伏せた。
「大丈夫か武人、大分絞られたように見えるぞ」
武人は頭上から聞こえるその声に顔を上げて視線をやった。
するとそこには非常に美麗な容姿をした一人の男が柔らかな眼差しを武人に送っていた。
「おぉ優佳。そうなんだよ……ったく源作の奴、全部俺が悪いみたいな言い方しやがって……」
「その様子じゃあ生活態度を改善しろとでも言われたか?それなら寧ろ今まで呼び出しを食らわなかったのが奇跡だと思うけど」
「何だよ優佳。お前まで源作の味方かよ……俺、お前を信じてたんだぜ……」
わざとらしく武人は目元を押さえながら悲しそうな声で優佳に上目遣いを送った。
「ちょ、お、おい待ってくれ!! 俺はそんなつもりじゃあ……!」
明らかに心のこもっていない武人の言葉に優佳は動揺しており、どうしていいのか分からないが申し訳ない事をしたという罪悪感を感じているのは間違いなかった。
「まぁ事実だからしゃーねぇけどな」
優佳の動揺した姿を確認した武人は態度を一変させた。
「おい!何だ数秒前までのあれは嘘だったのか!!」
優佳はようやく自分が要らない罪悪感を感じた事に気付き武人に対して憤慨した。
「おう!」
サムズアップをして笑顔で言う武人に優佳は頬を膨らませた。
「いい加減嘘かどうか判断出来るようになろうぜ優佳」
「こっちだって判断出来るよう日々努力はしている!だがそれでもひょっとしたら本当に落ち込んでるんじゃないかと言う可能性に目を瞑れないだけだ!!大体、何で武人はいつも俺をからかうんだ!?」
「いや……ほら、えーっとなんつーの?男って、好きな奴に意地悪したくなるもんじゃねぇか」
武人が恥ずかしそうに頬をかきながらそう言うと優佳は堪らず叫んだ。
「だから俺は男だと何回言わせるんだ!!」
成宮優佳、一年前からの武人の友人であり特徴は(女性のような)美麗な容姿を持っている事である。正直そこら辺の美少女よりも美少女しているため、学年内の男女比が凡そ100:0であるこの学年では彼の存在によって多くの男が優佳を心の拠り所としている。
名前もどちらかと言うと女性のようであり本人は自分の容姿と名前をあまり良く思っておらず日々指定される量以上の筋力トレーニングに勤しんでいるが体つきは一切変化しない。仲間内の間で勝手に七不思議の一つとして認識されている。
「おーおー朝から大変だな優佳」
武人と優佳のやり取りに何の脈絡もなく一人の男がそう言って入り込んできた。
「昌義!!助かった、お前からも何とか言ってくれ武人に!」
優佳は会話に入ってきてくれた男にそう助けを求めた。
頼紋昌義、武人と優佳の友人の一人。しかし特出すべきはそこだけではない。彼は代々ある令嬢の側近家系の人間だ。それも次期当主であり、後学のためにこの学園で学んでる。
「武人朝から優佳が可哀そうだろ」
「いやぁ・・・でも分かるだろ?」
「分かる」
「おいちょっと待て何が分かるんだ!?」
昌義の即答に優佳は堪らずツッコんだ。
「「まぁまぁ。落ち着けって優佳」」
「落ち着けるか!何だ二人して声をそろえて!!」
武人と昌義は優佳の怒声に顔を見合わせ笑い合った。
これが防守学園での武人を取り巻く周囲の日常である。
◇
その後武人のクラス担任が入室して間もなく朝のHRが始まった。
「よーっし、じゃあホームルーム始めるぞー。まず最初に武人ー。この前の人身護衛論のレポート課題が出てないから終わったら職員室に」
「先生、武人は先生が入ってきた瞬間に教室を音も無く出ていきました」
スッと挙手をして優佳がそう言うと
「ったくあいつはぁ!!!!」
担任教師はそう言って出席簿を教卓へと叩きつけた。
課題をやらず授業を平気でエスケープする。それが武人自身の日常である。
「っておいお前ら何で後ろで麻雀してるんだ早く席に就け!」
担任教師は次いで目に付く生徒たちを注意した。
『着いてますぜ?』
四人の生徒は声を揃えて言った。
「雀卓にだろ!?」
「先生、急性脳梗塞で頭が痛いので保健室行っていいですか?」
今度は別の生徒が症状を訴えて退席を望んだ。
「お前急性脳梗塞の意味分かってないだろ!頭痛の上位互換かなんかだと思ってるだろ!?行かせるか馬鹿野郎!!」
「先生武人と違って申告してから退席しようとしてるだけ俺はまだマシだと思って下さい
ね!!」
「お前はどっからモノを言ってるんだ!? ……はぁ、どうしてこんな事に……」
問題のある生徒は一緒に集めた方が他への影響も抑えられるし楽だろうという事で教員
が厳密な職員会議をした結果そう決まった。
武人の所属するクラスは問題児、落ちこぼれ、その他ボディーガードになる気はあるの
かと疑わざるを得ない男たちが一堂に集まる超問題クラスである。
改めて、これが武人を取り巻く周囲の日常である。
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